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秋のライブフェスタ2022

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秋のライブフェスタ2022

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 軽快な音楽に合わせて入場するのは、下川 忍(しもかわ・しのぶ)富永 佐那(とみなが・さな)の扮する海音☆シャナの二人だ。
 メイド服で身を包んだ下川は、恭しく客席にお辞儀をする。白のエプロンがスポットライトに照らし出され、その白さをよりはっきりと主張する。メイド服にフリルもついているが、どこと無く地味である。流通したメイド服のイメージと言えば、袖や裾のフリルや、スカートのふくらみを最大限に生かすためのボリュームのあるパニエ、様々なリボンやレースのついたヘッドドレスなどがあるが、下川のそれは一言で言えば質素だ。パニエのボリュームも有りすぎず無さすぎず、シンプルなヘッドドレスに、落ち着いた色のリボン。
 しかし、これこそがメイドたるものの戦闘服とでも言わんばかりに、その出で立ちから放たれるオーラに観客は圧倒された。
 これが、真のメイド服なのだと。
 下川とは反対にシャナはブルーのウィッグにグリーンのカラーコンタクトを入れ、ふわふわのスカートからすらりと大胆に伸びた足。きっちりとしめられたネクタイは豊満な胸の上に大人しく鎮座している。


 ――レッツメイディング!
 誰かが望んでいる希望を作り出す人を 誰もが望んでいる夢が叶う事を
 それに応えたのならもう後戻りは出来ない誰でも
 だけど誰もみんなそれには気づかない



 下川が瀟洒な衣装を身にまとい歌うのは、『I’m making the dream』。歌詞に出てくるメイディングは、作るという意味のメイキングとメイドを掛けたものだ。
 今回、846プロのアイドルとしてライブフェスタに出る事になった下川。参加するなら全力でと、歌にダンスに練習に励んできた。振り付けもメイドというものを意識して行ったので、可愛くなりすぎないように女性らしさを出すにはどうすればよいのか頭を悩ませたものだ。


 ――レッツメイディング! 作られた世界でも守りたいのは本当で
 レッツメイディング! 作られた偽りの中で本当の心見つけたい
 だからボクは夢を作っている



 関係者席から下川の様子を見ながら何か納得するように頷く社。

「これはこれで、いかるかもしれんなぁ」

 ありがとうございましたと頭を下げれば、上品に結わえられたポニーテールがさらりと揺れる。
 続くシャナの曲は下川のポップな曲とは違い、クールな感じだ。下川のときは暖色系のライトで楽しさや明るさが全面的に出る演出になっていたが、対するシャナは青などの寒色系のライトを用いてクールな印象のステージになっている。
 あの寿子さんがアイドルになっているなんて。
 最初にシャナが思ったことはそれだった。
 悔しくて、何度もカラオケに通っては歌を鍛えたのだった。
 力強く響く声に会場は熱狂に包まれる。
 パフォーマンスも可愛らしいものというよりはセクシーな方で、会場中から声があがった。


「さて、第三戦目も勝負がついたところでますます盛り上がってきたところですが、ここでいったん十五分間の休憩に入りたいと思います」

 アナウンスが入り、休憩の時間になった。

「下川お疲れさん」
「ありがとうございます!」

 バックヤードで事務所の社長でプロデューサーでもある社が下川を含めた所属のアイドルたちのもとを訪れていた。
 下川はシャナとのバトルには勝利をおさめたものの、暫定二位の月見うどんと同点で、二組とも二位として保留になっているのだ。下川は一位には惜しくも届かなかったが、846プロの出だしとしては好調である。
 現在一位のラブゲイザーfeat.千尋。そして暫定二位の下川。そのどちらもが846プロの人間なのだ。ここで事務所の人間がいい評価をもらえれば事務所が大きくなるチャンスだし、何より本人たちにとってはとてもいい経験になる。
 社はこれからのことを考えながら第四回戦以降の出演者のもとへと向かうのだった。