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リアクション
リネン・エルフト(りねん・えるふと)は、
パートナーのフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)が観客席で見守る中、
ゲストのフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)とともに、
「マジカルブッキング」に出演する。
「たまに遺跡とかの宝物で録画はみたのよ、古王国時代の。
まだ続いてるとは思ってなかったけど」
「そうじゃな、あの頃は皆、若かったのう」
「そういえば、気になったんだけど、
古王国時代にもアムリアナ女王が出てたけど……
あれ、ユーフォリア様だったんじゃない?」
「それは聞かぬが花だと思うわよ、リネン」
影武者説に対し、フリューネが言う。
「……そうね。
でも、せっかくの番組の最終回、フリューネと出ることができてうれしいわ。
アーデルハイトにはザナドゥの件ではお世話になったしねー」
リネンが、番組的にギリギリな発言をしつつトークを行う。
「そういえば、
イルミンスールはなにかとツァンダ……蒼空学園と絡みが多かったけど、
あれって昔からなの?
昔はツァンダ家とかロスヴァイセ家とかに絡んでたとか……?」
「学校同士のことは、
エリザベートが環菜をライバル視しておったからのう。
あれで、本当は仲良くしたかったんじゃよ。
ザンスカール家はヴァルキリーの、
ツァンダ家は守護天使の一族じゃし、
ヴァルキリーと守護天使はもともと祖を同じくするからの。
まあ、親戚関係と言えなくもないのう」
「というか、なんで急に最終回なんて始めたの?
もしかして蒼フロおわピーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「生放送でとんでもないこと言うでない!
今、音響さんが超頑張ってくれたではないか!」
「……じゃあ、何か心境の変化とか?」
「……コホン。
まあ、そろそろ世代交代じゃと思ってな。
もっとも、私にはまだまだやらねばならんことがある。
契約者の皆が一人前になるまで、導かねばならんからな」
「もう皆、充分、一人前じゃない?」
「いや、まだまだじゃ。
私からすればひよっこじゃよ。
……もっとも、それでも、だいぶ立派になったとは思っておるよ」
リネンにアーデルハイトは首を振って見せたが、
契約者の成長を認めてくれているようであった。
「そういえばフリューネの家も古王国時代からの家柄なのよね。
家族で観ていたりなんていう話も、残ってたりとか?」
「そうね。先祖代々、この番組は愛して来たと思うわ」
リネンに、フリューネがうなずく。
リネンは、少し意地悪っぽい笑みを浮かべて言った。
フリューネの気持ちを確かめたいと思ったのだ。
「いつも『今をなんとかしないと』って逃げられちゃってたけど……。
フリューネはこれからのこと、どう?
アーデルハイトは引退しないって言ってるけど」
「私は、やっぱり、この空を守っていきたいと思っているわ。
それに、今は、あなたもいてくれるしね、リネン」
フリューネは、穏やかに笑む。
「あなたはどうなの?」
「私?
私はね……色々。うん、平和な時代に向けて、色々」
リネンも、いろいろと思うことがあるらしい。
ここで公にはできない話だが……。
フリューネはうなずいた。
「ええ、平和になれば、また、いろいろなことが変わっていくのでしょうけど、
そのためには今、頑張らないとね」
「結局、そうなるのね?」
「それはそうよ。それに、最近は前より充実してる気がするしね」
リネンにフリューネが笑む。
その笑みの意味は、
リネンにしか本当の意味が伝わらないようなものであったが。
「まったく、リア充は爆発すればよいのじゃ」
アーデルハイトがこっそりつぶやいたのであった。
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