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リアクション
第1章 その男、天上天下天地無双につき・その4
しかし、このままでいいのだろうか。
状況は一対多数の様相を呈しているが、果たしてこれで勝ったとして、それを真なる勝利と呼べるのだろうか。
ハヌマーンは言うことを聞かせたければ自分を倒してみろ、と言ったが、大勢でボッコボコにしたところで、それが強さの証明になるとは思えない。決闘なのだから、一対一のタイマンこそ、この場に相応しいのではないだろうか。
間違いは是正しなければならない。
馬鹿正直なほどの正義漢青葉 旭(あおば・あきら)は思った。
「やめるんだ! 奴に言うことを聞かせたいなら、正々堂々タイマンをはるべきだ!」
「ちゃんと夜なべしてくじも作ってきたんだからー!」
三角くじの入った箱を持って、山野 にゃん子(やまの・にゃんこ)も声を上げている。
だが、やはりと言うかなんと言うか……、誰も聞いちゃいなかった。
戦いの場で悠長なことを言ってられないと言うのもあるが、もうひとつ、大きな理由がある。
現実的に考えて、頑張ってサシで戦っても勝てる見込みがないと言うことである。
「何故だ! 何故、タイマンをはらない! そんなんで勝って満足なのかっ!」
「ううう……、誰も相手にしてくれないよぉ……」
うおおおおっと声を上げて、旭は頭を抱え悶えた。
「ファイトよ、旭くん! 頑張ってればいつか認められる日が来るわ!」
「にゃん子……」
「彼方くんだって頑張ってたら、教室と言うビッグビジネスを与えられたんだからっ!」
クィーン・ヴァンガードの同僚だった皇 彼方(はなぶさ・かなた)を思い浮かべる。
旭の目にメラメラと嫉妬の炎が宿った。
「彼方か……。前回は一緒に嘆いてたくせに、いつの間にやらロイヤルガードだし、教室に立つ仕事までもらえてるしな……、まったく出世したもんだ。くそ……、自分ばっかり活躍しやがってぇ、ずるいじゃないか……!」
「お、落ち着いて、旭くん」
頑張れ、旭。明日はどっちだ。
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