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リアクション
■ゆる族怪人との戦闘1
夜のたいむちゃんタワーは、
展示品のために空調がつけられたままだった。
照明の方は最低限、見回りに必要な分だけとなっているため、
よけいに涼しく感じられた。
曖浜 瑠樹(あいはま・りゅうき)が、
マティエ・エニュール(まてぃえ・えにゅーる)に問いかける。
「悪のゆる族怪人ってどんなのだろうね?」
「そうですね、古典的な感じだと、狼やクマとか、トラみたいな肉食獣や、クモとか、あと、ハチみたいな昆虫でしょうか」
そういう、マティエは猫のゆる族である。
「がおー!」
「ほら、あんな感じで……って、出ましたー!?」
まさに、マティエの言ったような、肉食獣の着ぐるみのゆる族が現れた。
「あ、ほんとに狼やクマのゆる族だー。和むなぁ」
瑠樹がほんわかした表情になる。
直後、爆炎が上がった。
「何やってるんですか、りゅーきのばかー!」
マティエがパートナーに突っ込みつつ、臨戦態勢を整える。
「我は射す光の閃刃!」
マティエの光の刃でゆる族怪人が倒されていく。
その間に、ところどころ焦げている瑠樹が戻ってくる。
「何で、ゆる族の方がこんなに……?」
マティエの疑問に、瑠樹が普段から眠そうな目をさらに細める。
「ひょっとして……一部のゆる族が何か絡んでるのかねぇ……」
「もしそうでしたら……」
このゆる族たちに事情を聞いてみたいところだけれど。
マティエがそう言いかけた時、
またも、怪人の攻撃で爆炎が巻き起こった。
「蒼い空からやって来て!
万博の平和を護る者!
仮面ツァンダー! ソークー1!」
風森 巽(かぜもり・たつみ)こと、仮面ツァンダーソークー1が、爆発を背にポーズを決める。
「皆の笑顔を脅かすものは許さない!
ソゥクゥ! イナヅマ! キィィィックッ!」
「ぐわああああーっ!」
仮面ツァンダーソークー1の、龍飛翔突が炸裂し、怪人が蹴散らされていく。
こちらは、特撮ヒーローものに出てくる怪人のような姿をしており、
動物や昆虫の着ぐるみに加えて、メカが体に埋め込まれていたり、
触手が生えている者もいる。
「あ、ティア!
ちゃんと撮っておけよ!
万博記念ヒーローショーって感じでネットで流すんだから」
くるっと振り返って、仮面ツァンダーソークー1が言う。
「うん、ばっちり撮ったからまかせといて!」
ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)が、撮影しながら応援する。
「思ったより手ごたえあるな。
だが、その方が面白いってもんだ!」
仮面ツァンダーソークー1が、さらにゆる族怪人を蹴り飛ばす。
「レン、ゆるい外見の奴もいるが、惑わされるな!」
轟炎鎚を振るいながら、
シオン・グラード(しおん・ぐらーど)が、
レン・カースロット(れん・かーすろっと)に注意を促す。
「うん、全員、光学迷彩使えるんだもんね」
咒箒オルトロスで、飛行しながらサイドワインダーによる支援をしながら、
レンがうなずく。
「轟炎鎚をいくらぶん回しても大丈夫なのはいいんだがな。
皆の道を切り開いてやる!」
シオンが、言うと同時に、轟炎鎚で怪人を弾き飛ばした。
「敵はどこから出てくるのかわからないぞ!
注意してくれ!」
シオンが、他の仲間にも言う。
「あちらですわ!」
島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)の従えた牧神の猟犬が吠えた先に、
クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)がペンキをぶちまける。
「分断して各個撃破するんだ!」
クレーメックが、【メイデン】のメンバーに指示を出す。
「まったく、昼も大忙しだったって言うのにさ!」
ハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)が、
ディフェンスシフトで味方をかばいつつ言う。
「ぼやかないの。一気に片を付けちゃおう!」
天津 亜衣(あまつ・あい)が、パワーブレスで、味方を強化する。
たとえ、相手がゆるい外見であっても、
シオンやクレーメックたちは、容赦なく戦う。
暗がりから、光学迷彩で身を隠したゆる族の集団が襲ってくるのは、
かなりの脅威なのである。