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終章 最後の協力者

「もう大丈夫だよ。ほらっ」
 アリア・セレスティは抱きかかえたウサギを離した。
 所はプリッツご自慢の花畑である。無事に迷宮を脱出した一同は、ウサギをこのまま捕獲したままでは可愛そうだという意見に賛同し、野に返しにやってきたのだ。アリアは追い掛け回されて身体に傷を負っていたウサギを治療し、迷宮の外まで連れてきた、いわば獣医、というわけである。プリッツ、そしてヴァル・ゴライオンが一緒にウサギを見送っている。
 アリアの手から駆け出したウサギは、途中で後ろを振り返った。その目はプリッツを見つめている。まるで、何か伝えたいことでもあるかのように、ウサギはしばらく動かずにいた。だが、やがてウサギは森の中へと帰っていった。
「きっと、あのウサギはおまえを写真の部屋まで案内したかったんだろう」
 ヴァルはそう言って、にやりと笑みを浮かべてみせた。
「つまり、最後の協力者ってわけだな」
「最後の……協力者」
 プリッツは森を見つめた。その先にいる、名も知らぬ仲間を思う。
「ありがとう、ウサギさん」
 プリッツはその胸にぶら下がるロケットを握り締めて、呟いた。
「なに、お前の想いは無事に届いているとも! ウサギにも、そして母にもな! ははは、よくやった」
 ヴァルはわしゃわしゃとプリッツの頭を撫でた。
 プリッツは、そんなヴァルの優しさに、照れくさそうに笑う。そんな彼女を、仲間達は微笑ましそうに見守っていた。こうして、冒険は終わったのであった。

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 数日後――律儀なプリッツは約束を忘れていなかった。
『なぁに、心配するな。そう高額な報酬を寄越せだなんて言わないさ。報酬はそう……、君の自慢の花畑で、俺達に飛び切り旨いアップルパイを御馳走する……なんてのはどうだろう?』
 という、レン・オズワルドの台詞をずっと覚えていたプリッツは、ようやくお礼の準備が出来ました! と、依頼に集まってくれた仲間達を自慢の花畑に呼び出していた。
 花畑の横に巨大なシートを広げて、プリッツの作ってきた洋菓子や、初めて挑戦したという和菓子までが並べられる。もちろん、レンご所望のアップルパイも忘れずに、だ。並べられるのはお菓子やデザートだけではない。プリッツは、たくさんのお弁当も用意していたのである。
「さぁ、皆さん遠慮なく食べてください!」
「「いただきます!」」
 プリッツの掛け声を皮切りに、仲間達は全員一斉に食事タイムだ。
 お礼とは言っても、プリッツ自身もまた、皆と一緒に楽しんでいた。自慢の花畑に見ほれる者にはその苦労話や花の種類を説明し、ガールズトークという新しい花も咲かす。男達は彼女の手料理の美味さに感動して、取り合いも取り合いといったところだ。
 つまりはピクニック。誰もが仲間達とのイベントを楽しんでいた。
 その光景を見つめるのは――森の白ウサギ。
 どこかで、ぴょこっという、ウサギの跳ねる音が聞こえた。

担当マスターより

▼担当マスター

夜光ヤナギ

▼マスターコメント

シナリオにご参加くださった皆様、お疲れ様でした。夜光ヤナギです。
当方初のシナリオでしたが、いかがだったでしょうか?
僕自身、色々と初体験なことばかりで、ドキドキながらも楽しませて書かせていただきました。
これも、ご参加くださった皆様の躍動感溢れるアクションのおかげです。

地下迷宮はプリッツの母親である、ミアード・アミュリアさんが作り上げたものだったんですね。
いや、実はこのエンディング、僕も意外でした。
皆様のアクションを試行錯誤している内に辿り着いた最後です。

しかし、一義賊団が作り上げたアジトにしては色々と謎も残る部分があるようで……。
これがまた次回に繋がるかどうかは分かりませんが、機会があればぜひまた別のシナリオででもお会いしましょう。
では、失礼します。ご参加ありがとうございました。