 |
 |
リアクション
★ ★ ★
「ふう、ミヤルスは無事帰ってきて私を助けてくれたのに、レテリアはどこに行ったきりなのでしょう。七尾さんの姿もいつの間にか消えてなくなっているし……」
鷹野栗は、周囲を見回して淋しそうに言った。
キョロキョロしていると、なぜかパートナーを叱っているジーナ・ユキノシタと目が合う。この間はどうもと、軽く会釈をしあった。彼女の周りには、ビスマルク以外のペットたちも集まってきている。
「しかたありませんね。もう少し、みんなの帰ってくるのを待つことにしましょう。行きますよ、ミヤルス」
ミヤルスに声をかけて伴うと、鷹野栗は大会本部の方へと移動していった。
★ ★ ★
「コトちゃん、こっち、こっちですぅ」
神代明日香は、ゴールしたまままったりと動かないでいるコトを必死で呼んだ。気紛れは猫の美徳とはいえ、今は困る。せっかくゴールしたのに、助けてもらえないでスライムの海に落ちるのは嫌だ。
「コトちゃーん！！」
必死に呼び続けると、やっとコトが動いてくれた。
「ふう。危なくアーデルハイト様の代わりにエリザベートちゃんにスライムに突き落とされるところでしたぁ」
コトに縄を切ってもらった神代明日香は、急いで舞台の上を離れていった。
★ ★ ★
「よく頑張りました！」
縄を解かれたマティエ・エニュールが、ミーシャの頭を撫でてあげていた。
「ふう、助かったねえ。二人とも今日は頑張ったし、凄いよねえ。帰ったらネコ用缶詰あげようかねえ」
背後に遠ざかったマジックスライムをチラリと見て、曖浜瑠樹が言った。
★ ★ ★
「あー、帰ってきた。まあ、どうでもいいけど……」
飛んでくるフクロウのテオルを見て、『空中庭園』ソラがソア・ウェンボリスに言った。自分の本体の行方にくらべたら、ソア・ウェンボリスがスライムに飲み込まれようが、雪国ベアがスタート地点で倒れたままであろうが、彼女にとってはどうでもいいことであった。
「さすが、テオルです。賢い！」
縄を食い千切った後に、ちょこんと頭の上に止まったテオルに、ソア・ウェンボリスはきゃあきゃあと喜んだ。
★ ★ ★
「毒島大佐さんのヨシテルさん、どうやらアーサー・レイスさんのカレーに興味を持ってしまったようです。ピンチです」
ゴール直前で止まってしまったヨシテルを見て、シャレード・ムーンが叫んだ。
「武者人形でも、カレーのよさが分かるなんて通デース。おや、なぜ刀を向けますか。えっ？ ノー、ヘルプミー！！」
ヨシテルに敵と認識されたのか、アーサー・レイスは必死にその場をグルグル回って逃げ回り始めた。
「何してるのよ、ヨシテル。早くこっちに来るのだ。カレーなんてほうっておくのだよ！！」
その様子を見て、毒島大佐が焦りながら叫んだ。
★ ★ ★
「こちら最後尾だよ。スラの助さん、氷を食べ尽くして再び動き始めたよ」
クロセル・ラインツァートとのんびりと最後尾を歩いているレテリア・エクスシアイが報告した。
残り３ターン
「毒島大佐さんのヨシテルさん、なんとかカレーの誘惑を振り切ってゴールしました。如月玲奈さんの黒竜さんと白竜さんが続きます」
★ ★ ★
「ううむ、助けてもらったのになんじゃが、このような成績とは、まっこと情けない」
ゲキとフレキを前にして、ウォーデン・オーディルーロキは説教の真っ最中だった。
「全然特訓の成果が生かされていないではないか」
ウォーデン・オーディルーロキの説教に、ゲリはシュンとして頭をうなだれていたが、フレキは何を言われているのか理解していないかのように、嬉しそうに尻尾を振り続けていた。
「まあよい。好きな物はだめじゃが、カリカリなら好きなだけ食べさせてやるぞ」
やれやれと、半ば諦め気味に、ウォーデン・オーディルーロキは言った。
★ ★ ★
「来てくれたやん。信じとったでー。あたしと甚八くんの絆は、カレーよりも上やん」
「そんなことはどうでもいいから、早く縄をかみ切ってくれ。もう時間がないぞ」
駆けつけてきた甚八を見て喜ぶソラ・ウィンディリアを放っておいて、酒杜陽一が甚八を急かした。
「急いだら、お肉やるぞ」
酒杜陽一のその一言に、甚八が猛烈に反応する。やはり、アーサー・レイスのカレーだけではお腹が一杯にならなかったらしい。
張り切りまくる甚八のおかげで、ソラ・ウィンディリアと酒杜陽一はなんとか舞台から逃げだせることができた。
★ ★ ★
「ふう。危なく切り刻まれるところでしたデース。さあ、引き続きカレーの普及を……。うぎゃあ！！」
ヨシテルから逃げおおせたアーサーレイスに、右介と左介が突っ込んできた。どうやら、カレーの匂いに引き寄せられたらしい。二匹の体当たりをもろに食らって、アーサー・レイスの身体が二度三度宙に舞った。
残り２ターン
「さあ、いよいよ後がなくなってきました。ギルベルト・ハイドリヒさんのガブリエルさん、ザカコ・グーメルさんの風雅さん、ゴールです。もう時間がありません。夢野久さんの右介さんと左介さん、アーサー・レイスさんをどつくのに飽きてゴールしました。ああ、なんということでしょう、ウィルネスト・アーカイヴスさんのレイストリオさんが、倒れているアーサー・レイスさんをツンツンしています。半殺し状態が、ひどく気に入ってしまったようです」
★ ★ ★
「ぎりぎりだが、なんとか間にあったか。さあ、早く縄を切るのだよ」
毒島大佐に言われて、ヨシテルがアーサー・レイスを切り損ねた刀でばっさりと縄を切った。
★ ★ ★
「よし、なんとか間にあったよね。最悪の事態は回避できたんだもん」
さすがに焦りを隠せず、如月玲奈が言った。結構ボロボロになった黒竜と白竜が素早い動きで、スパッと縄を切断した。
