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リアクション
*
「今しかないですわ」
「ああ、ラストチャンスだ」
雪住 六花(ゆきすみ・ろっか)が言うと、十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)が同調した。
「それじゃ、失敗はできないわけですので、それぞれの動きを確認しましょう」
「そうだな」
六花の声に、宵一が大猿獣に視線を定めたまま同意した。
「私が、光術で一瞬目くらましさせるわ。その隙に、ウィラルはアイスプロテクトを」
「角は折れましたが、まだ吐けますかね」
「言ったでしょう、これは失敗の許されないラストチャンスなのですよ。念には念を入れて頂戴」
ウィラル・ランカスター(うぃらる・らんかすたー)が頷く。
「私の光術が切れたタイミングで、ヨルディアさんは火術で注意を逸らして」
「やってみますわ。でも、万が一にでもアイスブレスがきたら……」
「その時は、私が風術で防いでみるわ。やってくる可能性はあっても、威力が同じ可能性はないとみて問題ないはずです」
グゥ……ルルッ――!
それは必死で眠気と戦う大猿獣の唸り声のような気がした。
子守唄を破ったならば、もう時間は残されていない。
「宵一さんの装備は氷結に耐性があるから、ウィラルは宵一さんの後方から時間差で攻撃。ここからはもう致命傷だけを狙って、首――首を意識的に狙って。そして―――」
「捕獲用の結界玉、ですね」
ウィラルの言葉を合図に、全員が無言で視線を交わした。
「さあ、行きましょう」
「ああ、皆が作ってくれた最後のステージだ。外しはしない……ッ! 行くぞ、ウィラル!」
「承知しました。行きましょう、宵一さん」
宵一とウィラルが大猿獣へと駆けた――!
*
グッ、オ゛オオオオオオオオオオオッ――!
睡魔との戦いに打ち勝ったのか、獣は何度も何度も咆哮し、視線を前に向けた。
ウィラムは自身と宵一にアイスプロテクトを唱え、何があろうと引かずに踏ん張る意思を示して見せた。
「貴方のようなモンスターは、起き様の陽光を素敵だとは思わないのでしょうね……。光術――ッ!」
その眩い光をまともに直視してしまったモンスターは怯み、一歩二歩と後ずさり、力任せの投石もできなくなっていた。
「くうッ……進みづらいったらありゃしないッ!」
隆起し、また落盤の影響もあって、進みづらい進路に宵一は弱音を吐いた。
それでも、必死に自分たちが今何を目指し、何をしようか察してくれる契約者の仲間達が、頭上から落ちる岩だけは、優先的に破壊してくれていたのが、何よりも奮い立たせる出来事だった。
再び大猿獣が前を向いた。
目の焦点が合ってきたのだろうか、近くに堕ちた氷塊を丸々と持ち上げた。
「目いっぱいの炎ですわ」
ヨルディアが大猿獣へ向けて炎術を放つと、それは強烈な爆発を以てモンスターを襲い、持ち上げた氷塊を一撃で全て砕いて見せた。
「や、役に立ったでふか!?」
それは迷彩塗装を施したリイム・クローバー(りいむ・くろーばー)が少しでも威力を高めようと、火術に特製機晶爆弾を投げつけたからの威力だった。
「あ、調子に乗りすぎたですかああ!?」
砕け散った氷塊は鋭さを増し、まるで弓や槍の如く降り注ぐ羽目になったのだが、
「風術――ッ!」
六花がそれらを全て吹き飛ばして見せた。
「このまま……六花の風術を追い風に行くぜええッ!」
宵一が大きく跳んだ。
「くたばれええええええッ!」
渾身の疾風突きが大猿獣の喉に突き刺さって噴血と吐血をさせた。
「チェインスマイト!」
宵一の後方から跳んだウィラルがクレイモアで一撃を加えると、大猿獣が後ずさった。
『今だ!』
誰もが叫んだその機は、ウィラルが懐から結界玉を出したところでモンスターのブン回しの一撃に吹き飛ばされた。
終わった――。
空中で吹き飛ばされるウィラルの手から零れる結界玉を見て、誰もがそう思ったが、二度目の出現である――。
「キャッチでふ! そして、リーダーにパスでふ!」
リイムが姿を再び現し、結界玉をキャッチすると、すぐさま首元にいる宵一に投げ返した。
「よしッ!」
それを受け取り、突き破った喉の穴に、宵一がそれを埋め込むように叩きつけた。
閃光――。
そして一瞬だけ浮かんでは消えたスクエアから鎖が放たれると、崩れかけた地面と一緒にその場の大猿獣を括り付けた。
歓声――。
歓喜――。
今、大猿獣の捕獲に成功した――!
大猿獣捕獲――300点。
小型モンスター――10点。
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