リアクション
卍卍卍 火口・ヴァン・ガードの城門突破のどさくさに紛れて董卓城に侵入した者の中に、国頭 武尊(くにがみ・たける)達三人組がいた。 猫井 又吉(ねこい・またきち)が先頭に立ち、トレジャーセンスを駆使して誅殺槍を持つ董卓の居場所を目指す。 しかし、どこからともなく現れる城内警備兵に、その歩みは遅々として進まない。 城内兵はかなり強化されていた。 曲がり角から顔を半分を出して様子を伺おうとすれば、そのタイミングを見透かしたように魔法や銃弾が飛んでくる。 痺れを切らした又吉がとうとう通路に躍り出た。 「なめんじゃねーぞ、この野郎!」 そう怒鳴るなり、両腕に抱えた機関銃が火を吹いた。スプレーショットを受けた警備のモヒカン達が次々倒されていくが、又吉も痛手を受けた。 「又吉さんに何てことをっ」 身の危険も顧みずに飛び出したシーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)がヒールであっという間に又吉の傷を癒す。 それからはシーリルも積極的に戦闘に参加した。 途中で出くわした部隊長らしきデラックスモヒカンの男を、誅殺槍の力で超強化されたランドリーにより、超巨大な洗濯機で身も心もすっかり洗われて紳士になった姿には、思わず笑いを誘われた。 「しかし臭うぜ」 「誅殺槍はまだ遠いようだが」 首を傾げる武尊に又吉は「違う」と言う。 「どうしてこうも俺達の行く先々にモヒカン共がいるんだって話だ」 「それは……何でだろうな」 「確かに不思議ね。まるでその場所がわかっているみたいだわ」 考えても答えは出ない。 その答えを知っているのはシャノン・マレフィキウムだけだ。 上空には董卓軍にのみ見える戦場の兵の分布図がある。これにより、董卓兵は乙軍兵がどこにいるか把握していたのだ。 城内に置いては連絡兵から指示が出ているのだろう。 又吉は舌打ちして疑問を振り払うと、今はとにかく前進あるのみ、と進むことだけに集中することにした。 そんな三人への董卓兵の出迎えが緩くなるのは、階を一つ上った時だった。 兵達は董卓にとってとても大切なものが保管されている地下へ走った。 その場所は、食糧庫。 そこでは、蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)が一心不乱に食べられるものを貪り食っていた。 箱詰めにされているスナック菓子、果物、ハム。調理が必要なもの以外は次から次へと一媛の胃に収められていく。吸い込まれていくと言ったほうがいいかもしれない。 ここに来るまでにさんざん暴れて城のあちこちを破壊してきたので、お腹がすいているのだ。この食糧庫を見つけ出せたのは、食に対する本能だろう。 「それにしても、誅殺槍というのはたいしたものだな」 ハムをかじりながら得た力の感想を呟く。 素手で堅固な城の壁などを壊せたのは、誅殺槍で得た怪力による。 「けど、これで二人は進みやすくなったであろう。……うむ、うまい。腹がふくれたらまた派手にやるか」 何個目かのハムを掴み取り、一媛は楽しそうに笑った。 |
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