First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last
リアクション
第六章 先生の行方
「どうですかー、何かわかりましたかー?」
影野陽太は、大樹の天辺にいるであろう泉 椿に声をかけた。捜索班の2人は、戦闘班と別れ、先生の遺留品が見つかった大樹周辺の捜索を続けていた。
「いんやー、何もないぜー。相沢たちが戦ってるのが、見えるくらいかなー?」
椿は、大声で樹下の影野に答えた。先ほどから、西の方角で盛んに白煙が上がり、風に乗って銃撃の音や怒号が椿の耳に届いている。
「それならこっちだってわかりますよ。あんだけハデにドンパチやってれば、樹の上じゃなくったって聞こえます」
地面にほとんどへばりつくようにして調査をしていた影野が、体についた汚れを払いながら立ち上がった。
「やっぱり、これ以上は何もないみたいだな……。降りてきてくださーい、椿さーん!」
程なくして、するすると椿が降りてきた。サル並みの身軽さである。
「崖の下も探したし、血痕だって樹に少しついてるだけなんだ。これ以上何処にも行き様がないぜ?」
お手上げという顔で、椿が言った。
「そうなんですよ、何処をどう探しても、先生の痕跡が見つからない。この樹の下で、ぷっつりと途絶えてしまっているんです。まるで、ここからフッと消えてしまったとしか……」
樹の根元を見つめながら、呟く影野。
「消えたって、いったい何処に?先生が、樹の中に吸い込まれたとでもいうのかよ!?」
あり得ない、とでも言う様に叫ぶ椿。
「そうです。その方は今、その樹の中にいるんです」
突然、確信に満ちた声が辺りに響き渡った。
驚いて振り返った2人の前に立っていた者。それは、ジーナ・ユキノシタとガイアス・ミスファーンだった。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last