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リアクション
「こんなところよね」
システムの改善に取り組んでいるルカルカ・ルー(るかるか・るー)が現状で考えられる点、かつ改善可能な点を列記する。
検索システムの改善
・従来の書籍名や著者名等だけでなく複合検索やイメージ検索等にも対応
・画面タッチ方式の検索端末を増やす(可能であれば学園全体)
・利用履歴とリンクさせる事で”おすすめの本”を提示
ホームページの改善
・利用者が書き込める掲示板
・図書館側のTwitter及びブログ
・利用者相互によるお勧め図書
メールシステムの改善
・メール登録で貸し出しを希望した本の返却時にメール連絡
・返却期限連絡メール及び遅延警告メール
「ダリル、できそう?」
「難しいプログラムでもない。戦友である山葉の蒼学のためになるのなら、図書館業務の改善に協力は惜しまない」
そんなダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)を見て、ルカルカ・ルーが意外そうな顔をする。
「情け深い所あるのね」
「それを言うなら”情にあつい”だろ」
「そ、そうとも言うわね」
羽瀬川 まゆり(はせがわ・まゆり)が手を挙げる。
「図書館をもっと身近なものにして、利用者が増やせるものにしたいのよ。HPを見る人が楽しめるようにするのって可能?」
ルカルカ・ルーが少し考えた末に、ホームページの改善に“演出”と書き加えてダリルを見る。
「どう?」
「具体的に言ってくれれば対応可能だ」
ニケ・グラウコーピス(にけ・ぐらうこーぴす)も発言の機会を求めた。
「他にもボランティアの方々がいるのですから、意見を聞いてみては? 業務に携わって気付いたこともあると思うわ」
それもそうだと、6人は手分けして図書館内に分かれていった。
「これは良い! ぜひ置かせてもらいたい!」
戦友のイーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)に勧められて、師王 アスカ(しおう・あすか)が持参した画集は、一も二もなく司書の許可が下り、4冊共が蔵書に加えられることに決まった。
「むしろ、実際の作品を見てみたいものだね。図書館のロビーを使って個展が時折開かれているのは知っているだろう?」
「はぁ」
のんびり口調の「はぁ」が何度か繰り返された後には、とんとん拍子に個展が開かれることに決まった。
「ちょうどボランティアの生徒さんがいるんだ。彼らに手伝ってもらえば、すぐにできるかもしれないぞ」
「はぁ、そうですかぁ」
個展の開催そのものは嬉しかったが、『ボランティアの仕事を増やしてしまったかも』と少し気が重くなった。
獣 ニサト(けもの・にさと)は、ぶつぶつ言いながら、カウンター業務を手伝っている。
「有り余っているコーヒー豆をどうするか……」
最初にコーヒーの販売を提案したが、「館内は飲食禁止ですよ。関係者が休憩中に飲むくらいなら構いませんけど」と、きっぱり断られた。
隙を見つつカウンターに来た人に「コーヒー豆、いかがっすかー?」と聞いては見るものの、さすがに買う人はいない。仕方なくカウンター業務を手伝いながら、商売のネタになりそうなものを探していた。
「ボランティアの人、ちょっと来てくれー」
ニサトを含め、ボランティアが集められる。
「急きょ、絵画の展覧会を開くことになった。そっちに回って欲しい」
ニサトは「また忙しくなりそうだ」と思ったが、実りの乏しいカウンター業務よりはマシかと、展覧会の手伝いに向かった。
「師王 アスカ(しおう・あすか)ね。上手いっちゃー上手いんだろうが、俺には絵の良し悪しは分からんなぁ」
絵が下手なニサトにとって、展覧会を開くなどは、全く縁のない話だった。と、アスカに目が留まる。
「待てよ……サイン会とかグッズ販売とかしたら、結構儲かるんじゃね?」
素早くソロバンを弾くと、アスカの方へ駆け出していった。
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