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「皆さんのネタが出揃いました……ここで現在の結果を見てみましょうか。天野君」
「あ、はい。このような感じになりました」
 そう言って翼がフリップを取り出す。

・宿木亭涼庵(涼介・フォレスト) 0枚
・佐々木 弥十郎 0枚 ※途中負傷によりリタイヤ
・九条、学人コンビ 1枚
・佐野 ルーシェリア 0枚
・アキュート、ウーマコンビ 0枚
・アルクラント・ジェニアス 0枚


 正直フリップなんて無くても『見ればわかる』状態である。一組を除き、今現在皆地べたに正座なのだから。

「というわけで、予選突破は九条ジェライザ・ローズさんと冬月学人さんのコンビに決まりました」
 わー、とやる気なさげに泉空が拍手を送る。
「このままお二方には早速決勝会場へと向かっていただきます」
「決勝でも頑張ってくださいねー」
 泉空に促され、立ち上がった九条と学人は翼に送られつつカウンセリングルームから退場していく。
「……さて、残った方々には素敵なケツバットの罰ゲームが贈られます」
 ニヤ、と愉しそうに唇を歪める泉空。
「このままケツバットの刑執行へと参りましょうか……天野君、準備はできてる?」
「あ、いいよー」
 そう言って翼が手に持ったバットを嬉しそうに掲げる。
『ち ょ っ と 待 て』
 そのバットを見て、参加者一同声を上げる。

――翼が握っているバットには、有刺鉄線が巻かれていた。

「何で有刺鉄線バットなんて用意しているんだよ!?」
「あんなので殴られたらお尻が危ないですぅ!」
「ってか最初普通のバットだったじゃねーか!」
「何時の間に有刺鉄線を巻いたのだ!?」
「何故普通のバットを使わないんですかね!?」
 涼介が、ルーシェリアが、アキュートが、ウーマが、アルクラントが、それぞれ口々に泉空に詰め寄る。
「おや皆さんあれが嫌なんですか? 御希望なら炎上バットも用意できますが」
『なんで普通のバットを用意しない!?』
 皆の心が一つになった瞬間である。
「いえ、今回我々を雇った主から言われたんですよ。『コントラクターなら耐えられるだろうから何でも好きなバットで殴ってやれ』と……まぁ普通のでもとんでもない事になると思いますよ?」
 そう言って泉空が扇子で示した方向を一同振り向く。そこには、ブォンと風を切る音を響かせて素振りをする翼が居た。
「さて、皆さん言い残す事はありませんね? では始めましょうか……天野君?」
「あ、はーい。それじゃ、手加減無しで行きますよー?」
 そう言って翼が笑った。殺る気満々の笑顔であった。
 
「さて長々とお付き合い頂きましたが、この辺で『零の笑点』はお開き」
「御後がよろしいようで」
 そう言って泉空と翼が深々と頭を下げた。

――その横では尻から煙を上げて前のめりに倒れている敗者達が居た。
 彼らがその後乳母車に乗せられて何処か連れて行かれる姿を、最後までカメラは映していた。