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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 同時刻 葦原島 イコン整備施設付近 マリア・テレジア内部
 
 マリア・テレジアの前には一台の輸送車――移動整備車両キャバリエが停車していた。
 移動整備車両キャバリエは土佐に乗艦し、到着と同時に明倫館の施設を目指して走行してきたのだ。
 そして、そこで二人の女性が損傷した鬼鎧の修理に従事している。
 一人は後ろで一つ纏めた長い黒髪とメガネ、青い作業用ツナギと同色のキャップという格好の妙齢の女性――長谷川 真琴(はせがわ・まこと)
 もう一人は金色の長い髪に青い瞳、白いタンクトップに包まれた豊満な胸が印象的な妙齢の女性――クリスチーナ・アーヴィン(くりすちーな・あーう゛ぃん)だ。
 損傷した大量の鬼鎧を見ながら、クリスチーナは呟いた。
「救援要請に応じて来たものの既に明倫館のイコン部隊は全滅か。かなり旗色は悪いみたいだね」
 その後、周囲に集まっている明倫館の生徒たちを安心させるように、クリスチーナは自信を持って言い切った。
「今のあたいらに出来る事はこの壊れてるイコンの応急修理と出撃するイコンの最終確認をしないとね。今は一機でも多くの救援部隊を送り出すことが明倫館を救う手立てだよ」
 彼女達と協力すべく集まってきた明倫館の整備班に向けて、今度は真琴が語りかける。
「整備や修理の際に注意することはその機体のダメージ状況です。それをきちんと迅速に見極めて、必要な整備や修理を行いましょう」
 天御柱学院整備教官の整備教官らしく、生徒たちに教えるような聞きやすい喋り方で真琴は説明を続ける。
「特に修理機体は損傷箇所によっては消火が必要になるかもしれません。修理・整備中に機体が爆発するのはサポートチーム壊滅に繋がりますからね」
 明倫館の生徒達に注意を促すと、今度はクリスチーナも釘を刺す。
「チェックの際は周りの整備士たちと協力するんだよ。あたいや真琴を含め様々な場所で実戦を経験した腕利きだからね。ミスはそこまで出ないだろうけど、二重、三重にチェックする事で事故は少なく出来る。戦闘中にトラブルがあっちゃ、パイロットがかわいそうだからね」
 注意を促し終えた真琴とクリスチーナは努めて元気な声を出した。
「さあ、修理や整備が必要な機体はどんどん来てください。こっちもフル稼働でいきますよ」
「さあ、一刻も早く送り出すために頑張っていくよ」
 こうして真琴とクリスチーナの主導による鬼鎧の整備が始まったのだった。