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リアクション
瀬山 裕輝(せやま・ひろき)は、
忘年会会場で、
メルヴィア・聆珈(めるう゛ぃあ・れいか)を大きな声で呼んだ。
「おーい、メルヴィン!」
「なんだ、その呼び方は!
メルヴィア少佐と呼ばないか!」
メルヴィアが、顔を赤くして言う。
「ええやん、愛称や愛称。
メルヴィンは仕事とプライベートは分けるタイプやろ?
それに、少佐になったお祝いや」
「……わけがわからん」
「オレはオレがしたいことに少佐を巻き込もうと思っただけや」
そう言って、おちょくりつつ、
裕輝はメルヴィアについていく。
「そういや、メルヴィン」
「なんだ」
「ごっつ、きれいやな」
「な!?」
ふと、至極、真面目な表情で裕輝が言う。
実際に、裕輝がメルヴィアのことを異性として魅力的だと思っているのは事実だった。
「パーティーやし、いつもにもましてきれいだと思うで」
「まったく、からかうのもいいかげんにしろ」
不愛想に言ってそっぽを向いたメルヴィアに、
裕輝が、続ける。
「なあなあ、メルヴィン」
「だから、なんだ」
「パーティーやし、隠し芸」
いきなり変顔をする裕輝に、
振り返ったメルヴィアはちょうど口に含んでいた飲み物を噴き出す。
「おお、メルヴィンもなかなかやるな!」
「これはわざとじゃない!
げほっ……なんなんだ、さっきから!」
メルヴィアに怒られる裕輝だったが。
「だって、笑顔がかわいいし」
「……ッ、何を言って……!?」
そんなことを言い、さらにメルヴィアを混乱させる。
不愛想なメルヴィアを、楽しませようというのが、
裕輝の意図だったが、
何を考えているのかよくわからないので、
傍目にはからかっているようにも見える。
「おまえ、いいかげんにしろ!」
「うふふ、オレを捕まえてごらんなさーい」
「待て、こら!」
パーティー会場で、裕輝を追うメルヴィアの様子は、漫才のようだったという。
結果的に、メルヴィアを楽しませる(?)という、
裕輝の作戦は、成功したのかもしれない。
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