空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
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リアクション

 
「バカだバカだとは思っていたが……
 見てる奴蒸し殺す気かバカ女!
「後ろからうるさいわね! 騎馬が簡単に崩されるようじゃ務まらないのよ!」
「それもそうですわね。頼もしいですわ、リカインさん」
 ティセラを騎手に迎え、重装備による機動力の低下を超感覚と道具の効果で補ったリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が、アストライト・グロリアフル(あすとらいと・ぐろりあふる)と押し問答を繰り広げながら不思議と統制の取れた動きで進軍を続ける。リカインがあのような装備のため不足しがちなお色気分は、ティセラ一人で十分賄われていた。
「HAHAHA! ザ☆マホロバ参上! 拙者の力でティセラ陣営を勝利に導くでござる!」
「イルミンスールに与する者共には、絶対に負けぬ!」
(……揃いも揃ってイロモノね。まあ、ティセラを守るために、生贄になってもらうだけだけど)
 ジョニー・リックマン(じょにー・りっくまん)園村 ハーティ(そのむら・はーてぃ)がそれぞれ意気込みを口にする中、後ろの騎馬に組み込まれたパッフェルがティセラへうっとりするような視線を向けていた。
「……ま、あの二人はほっといても負けはしないでしょ。……あたしもこんな格好だし、出来るだけ大人しくしてましょ」
 神村 えいじ(かみむら・えいじ)を騎馬に、雪森 桜花(ゆきもり・おうか)と騎馬を組むセイニィは、先程無理やり可愛らしい水着――イルミンスールの水着に、よりフリルを足したような感じの――に着替えさせられたこともあって、一団の後方で様子見といったところであった。

「大物が続々登場だぜヒャッハー! 残らず狩りつくしてやるぜぇ!」
「十二星華が3人もお出ましとなれば、我も本気を出す他あるまいな」
 3騎の姿を認めたフィアナ騎が爆発的な加速力で突っ込み、尻尾に光条兵器、両手にブーメランタイプの強化型光条兵器を手に本気モードの大佐騎が続く。
「あなた方がその手を使うのであれば、わたくしも対抗せざるを得ませんわね」
 微笑んだティセラがビックディッパーを召喚し、横一文字に構える。重装備のリカインとの組み合わせは、もはや完全に重装騎馬兵そのものである。
「その程度で怯むほどヤワな鍛え方してないわよ!」
 フィアナ騎の上空からの落下による水飛沫の直撃を受けても、リカインに怯む様子はない。
「ん? ……いってぇ!! 何だ、足に虫が!?」
 逆にフィアナ騎は、騎馬のマイトが虫に足を噛み付かれ――リカインが呼び出した――、一旦戦線を離脱と相成った。
「スカーフごと、その気に入らない肉つきを隠してる布を切り裂いてやるまで!」
 大佐の放った2つのブーメランが、左右から迫る。しかしティセラの振るった一撃は、衝撃だけでブーメランの軌道を逸らし、制御を失ったブーメランは海に沈んでいった。
「はああぁぁっ!」
 そのまま交錯するティセラ騎と大佐騎、大佐のスカーフが外れ、騎馬諸共海中に沈むのを見届けたティセラの胸を支えていた水着が、はらり、と解けかける。
「ちょ、ちょっと!? 仕方ない、これで隠しときなさい!」
「わたくしはこの程度、動じるものでもございませんが……」
「ティセラが困らなくても色んな意味で困るの!」
 水着を切断されたティセラにリカインがマ・メール・ロアの欠片を渡して半ば強引に胸を隠させ、そして戦闘を続行する。
「どきなさい、ウジ虫ども!!」
「西洋魔術使い風情が、わらわにかなうと思うてか!」
 シオン騎とハーティ騎の激突――主にユーディットとハーティの激突――が幾度となく交わされ、2騎が一旦距離を取って相手の様子を伺う。
(むぅ、ここで足を止められては、これを機に不埒な行いを試みる者がいるやもしれん、早々に決着をつけねば!)「シオンよ、かの者に魔王の裁きを与えてやるのだ!」
(魔王様の命令がキターーー!!)「は、はいっ魔王様! えーと今の私に使えるのは火と雷の魔法……海だと火の効果は薄いし……となれば、ここは雷が有効じゃん!」
 ジークフリートの命令を受けたシオンが、意気揚々と雷の魔法の詠唱に入る。
「……む? 雷術はこちらも海水に浸かっている以上、マズいのではないか――」
 ジークフリートが首をかしげた所で、シオンの魔法が炸裂する。
「あがががががが!!」
 ……発動した瞬間、自分たちが撃った魔法を自分たちで食らう羽目になったシオン騎が、揃って海中に沈んでいった。
「ほれ見よ、西洋魔術なぞに感けておるからじゃ!」
「HAHAHA! この調子で次行くでござる――」
「……目の前に来てるわよ」
 調子に乗るハーティとジョニーにパッフェルが注意を促すも、怒涛の勢いで迫ってきた郁乃騎の接近を許してしまう。
「オラァ!!」
 そして、洋兵の頭突きをもろに食らったジョニーが崩れ落ち、ハーティ騎は続行不能に陥らされる。
「二人は女性だから手は出さねぇが、男は別だ。ユディを沈めた敵もあるしな」
 流れ着いてきたスカーフを洋兵が器用に拾い上げ、郁乃にプレゼントする形で渡す。
「わ〜い、これで1騎撃破だね!」
 喜ぶ郁乃、そして郁乃騎が移動を再開した一方で、戦線に復帰したフィアナ騎は離れた所で戦いを傍観していたえいじ騎を見つけ、爆発的な加速力で襲撃をかける。
「きゃっ!」
 水飛沫と衝撃を受けて、桜花がバランスを崩す。
「やったわね! そっちがその気なら、あたしだって!」
 馬の崩壊が免れないと見るや、セイニィが海中の砂、そして水面を蹴って飛び上がったかと思うと、フィアナ騎に取り付きスカーフを奪い、グレートキャッツを召喚する。
「そんなに飛びたかったら、望み通りにしてあげるわ!」
 グレートキャッツの一閃で、フィアナ騎は空中でバラバラに崩壊し、それぞれが揃って砂浜に逆さまの状態で打ち上げられた。
「ゴメンなさいっ、桜花のせいでえいじが怪我を……」
「この程度大したことありません、自分を責めないでください、桜花さん」
 落馬した際に軽い傷をおったえいじの治療をしながら自分を責める桜花を、えいじが慰める。
「ゴメンね、守りきれなくて。よかったらこれ、記念に持っていって」
 戻ったセイニィが、フィアナから奪ったスカーフをえいじに渡す。
「……ありがとうございます、セイニィさん」
 スカーフを受け取って、えいじが笑みを浮かべる。

 『イルミン武術部』とティセラ陣営3騎との戦いは、最終的にティセラ騎と郁乃騎の一騎討ちに持ち込まれ、郁乃のちぎのたくらみによる回避などありはしたものの、やはり地力に優れたティセラ騎がスカーフを奪い取り、ティセラ陣営の勝利となった。
「……ま、まだまだ! 俺たちの戦いはこれからだ!」
 やられはしたものの、マイトを始めとしてまだまだ血気盛んな者たちは、砂浜から再び戦場へと飛び出していく。
「ティセラは着替えなきゃダメだからね!」
「わたくしは気にしませんのに……」
 その場を勝ち残ったティセラであったが、いつまでも胸を隠したままでいるわけにいかないので、着替えのために戦場を一旦後にしたのであった。

「ああ! もう少しの所で! ……しかし、今のだけでもかなり美味しい……これは、ホイップの時には期待していいのか!?
 先程までの試合を観戦していた大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)が新たなポロリに期待を寄せていたところへ、コーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)の両手が剛太郎の視界を遮ってしまう。
「あっ!? コーディリア、何をするでありますか!」
 剛太郎の問いに、しかしコーディリアは口を開かず強固に視界を遮り続ける。
「あーホンマ可愛いなぁ……さっきの胸のデカイ子、十二星華のリーダー言うとったな……ああいうんとお近づきになりたいなぁ……」
 海の家で出された料理を頬張りながら観戦していた真砂 洋(まさご・よう)、その視線は常に水着姿の可愛い女性たちを追いかけ、鼻の下は伸ばしっぱなしであった。
(まったく……剣士を志す者がカナヅチとは……)
 その隣で同様に観戦していたスタンリー・ルーズベルト(すたんりー・るーずべると)が、洋のだらしなさに頭を抱える。
(いっそこの機会にカナヅチを克服させてやりたいが……)
 騎馬戦にでも参加させれば直るだろうか、いやしかしあのような戦いの場に放り込んでは別の意味で危険であるな、などとスタンリーが考えを巡らすのを横目に、洋は懲りもなくエロい目を向けていた。
「さあ、次の戦いもポロリはあるのか!? 男も女も見逃すな決定的瞬間を!」
「試合の紹介しろよ! おまえの目的はポロリだけかよ!」
「ポロリなくして騎馬ファイトにあらず!!」
「……あーはいはい、ツッコむのも面倒だから適当にカメラ回してるわ……ったく、ダリぃな……」
 白銀 司(しろがね・つかさ)の下心たっぷりの実況および解説に、ため息をつきながら渡されたビデオカメラでセアト・ウィンダリア(せあと・うぃんだりあ)が撮影を行う。
 激しい、そして時にハプニング襲う戦いは、まだまだ終わりそうになかった――。