空京

リアクション

■ヘクトルと、龍騎士たち、契約者の想い

諸葛　霊琳（つーげ・れいりん）と
アラン・エッジワース（あらん・えっじわーす）の
センチネル、れいりんメカ一号が、
前線でイーグリットを繰るヘクトルを追ってくる。

（しばらく龍騎士団に残ってたけど、
有事の際にも騎士道を貫く「本物の騎士」は残念ながらヘクトル殿だけだったアルよ。
立派な軍人さんはいっぱいいたから気をもむ必要はないけどネ！）
「ヘクトル殿、改めて従者として働かせてもらうアル！」
「待て、無茶は……！」
ヘクトルが止めるが、霊琳は、クレイモアを構えて突っ込んでいく。
「まだやりたいことが沢山あるのに、ここで終わりなんて嫌アルね！」
霊琳の想いが響く。
しかし、多勢に無勢、無茶な戦い方に、
れいりんメカ一号は、太平洋に落下する。
「まだナラカに行きたくはないのでございます。少しばかり未練がありまして」
アランの想いが、木霊する。
「おまえたちの想い、オレが引き継ぐ！」
ヘクトルが、ビームサーベルでれいりんメカ一号を落とした
ゴーストイコンを一閃する。
「ヘクトル、大丈夫なの？」
「ああ、剣術の応用ができる分、
こいつとは相性がいいようだ！」
パートナーを案じるシャヒーナに、ヘクトルが答える。

緋桜　ケイ（ひおう・けい）と
悠久ノ　カナタ（とわの・かなた）の
アルマイン・マギウス、
赤城　花音（あかぎ・かのん）と
リュート・アコーディア（りゅーと・あこーでぃあ）の
クイーン・バタフライも、ヘクトルに追いつく。
「……背中は俺たちに任せてくれ！」
「世界を救いたい、想いは僕達と同じと信じます」
ケイとリュートが言い、ヘクトルの支援を行う。
「ありがたい！」
一行は周囲の龍騎士や、従龍騎士とも、連携を取りながら戦う。
「アイ・アム・ミュージックファイター！
地球では、昔から、歌の力で平和をもたらす物語があるんだ！
ボクの歌で、味方の士気を上げてみせるよ！」
「面白い！　ここは我らに任せろ！」
花音のクイーン・バタフライの周りを、龍騎士たちが護衛する。
（かつてわらわたちは、世界を滅ぼす闇を抑えるため、
スフィアに想いを送るため、ナラカ城の機能を使った。
想いを送るのであれば、一日の長があるはずよ）
カナタが、その様子を見てうなずく。
「死なせない……誰も！
シャンバラもエリュシオンも、こうして一緒になれるんだ！
……その未来の可能性を潰えさせはしない！」
「……世界は、滅ぼさせはせぬ！」
ケイとカナタが、さらに、龍騎士たちを援護しながら、想いを乗せる。
蒼十字に助けられた、龍騎士たちとの絆が絶たれないように。
強くそう願ったのだった。


戦場に、一時の静寂が訪れた。

「新入生のみんなが気の毒にならないように……頑張るよ♪」
花音が歌い始める。

『天の川はプラネタリウム』

銀河の海に命のゆりかご　母なる地球（ほし）の見る夢は
遙かなる時を越え　心に宿る記憶の欠片
語りきれない想いをたどり　僕らは生まれた愛の印
運命へ鼓動が響く　生きる意志は何よりも強い

耳を澄まそう　故郷の海の旋律を
太陽の恵み月の安らぎ　輝く魂見守っている

天の川はプラネタリウム　降り積もる流星の雨
一粒の光に願いを託し　ちりばめられる希望
それぞれに描く明日　世界を織り成すハーモニー
目覚める勇気　信じる力　未来の扉を開く　夢の続きへ

その歌声とともに、たくさんの人たちの想いが流れていく。

水原　ゆかり（みずはら・ゆかり）が。
「アイシャ女王陛下、私たちは何があろうと最後まで戦いを諦めません。
陛下の剣となり盾となって、陛下のシャンバラをお守りいたします。
ですから、陛下、あなたも戦って下さい。我々を信じて、最後の最後まで……」

リカイン・フェルマータ（りかいん・ふぇるまーた）が。
「ティセラが求め願うシャンバラが実現するまで、この世界を諦めはしないわ！」
またたび　明日風（またたび・あすか）が。
「まだ見ぬ土地ばかりのこの世界、壊されるには早すぎますって」

閃崎　静麻（せんざき・しずま）が。
「世界にゃまだまま終わってもらったら困るんだよな。
終わるにはやり残しが山ほどあるんだよ！」

夜薙　綾香（やなぎ・あやか）が。
「アイシャが無事に戻ってきますように」

天城　一輝（あまぎ・いっき）が。
「オレ達の故郷はオレ達が守るんだ！　そうだろう？」

透玻・クリステーゼ（とうは・くりすてーぜ）が。
「地球は故郷……パラミタは、私に希望と大切な人との出会いをくれた大地。
どちらも損なわせるわけには行かない、大事な場所だ！」
璃央・スカイフェザー（りおう・すかいふぇざー）が。
「私は、私の大切な人を守り抜くと決めているのです。
彼女の次に大事な２つの世界ごと、失わせるわけには参りません」

火村　加夜（ひむら・かや）が。
「この世界が好きだから、大切だから守りたい！」
ノア・サフィルス（のあ・さふぃるす）が。
「悲しい事も苦しい事もあったけど、それ以上に楽しい事がいっぱいなんだもん！
ボクもこの世界が好きだよ！」

セルマ・アリス（せるま・ありす）が。
「まだこの世界で生きたい。
パラミタに来て見える世界が広がるってすごく楽しいと思えた。
まだまだ見足りないものがある。それらを勝手に奪わせはしない」
ミリィ・アメアラ（みりぃ・あめあら）が。
「幸せになるって約束したから。まだそれは達成できてない。勝手に終らせないで！」

端守　秋穂（はなもり・あいお）が。
「大切な人と、皆がいるこの場所を消させません！
僕らは、この世界で生きていきます！」
ユメミ・ブラッドストーン（ゆめみ・ぶらっどすとーん）が。
「パラミタのおかげで、一番大事な人とまた会えたし、契約できたの。ありがとうー」

狭霧　和眞（さぎり・かずま）が。
「勝手な都合で世界を終わらせてたまるかよ！俺は、この世界を守る！」

三船　敬一（みふね・けいいち）が。
「この世界をそう簡単に終わらせるか！」
白河　淋（しらかわ・りん）が。
「三船さんや皆がいる世界、私はこの世界を守りたい。」

十七夜　リオ（かなき・りお）が。
「絶望したって言うんなら、一人で死んでろ！
他人を巻き込むんじゃない！
あんたの言うこんな世界でだって、
感動があった！　悲劇もあった！　奇跡だってあった！　色んな想いが渦巻いてるんだ！良いも悪いも全部含めて、この世界で生きてきた結果だ！
独り善がりの考えで、勝手にリセットボタンを押すんじゃないっ！」
フェルクレールト・フリューゲル（ふぇるくれーると・ふりゅーげる）が。
「悲しい事ばかりだけの世界……だけどリオに出会えた。
理由なんてそれだけで十分……私はリオと一緒に明日が見たい！」

雨月　晴人（うづき・はると）が、アイシャに喝を入れる。
「シャキッとしやがれ！こんな時に寝ぼけてる場合か！！」
アンジェラ・クラウディ（あんじぇら・くらうでぃ）が。
「女王陛下バンッザァァァァァイ！」

アキラ・セイルーン（あきら・せいるーん）が。
「守るんだ。俺が守るんだ。俺が、ぜってぇ、守るんだぁぁ！」
ルシェイメア・フローズン（るしぇいめあ・ふろーずん）が。
「ワシがなぜ再びパラミタに戻ったのか
その答えが今この時のためにあったと言うのであれば……
いいじゃろう、この命、今この瞬間に全て捧げてくれようぞ！」

月舘　冴璃（つきだて・さえり）が。
「世界は玩具ではありません。独断で消していいものではないんですよ」
東森　颯希（ひがしもり・さつき）が。
「たった一人の意思で世界を終わらせてたまるかっ！」

桐生　理知（きりゅう・りち）が。
「大切な景色、大切な仲間、大切な思い出を全て飲み込んで、消滅させる訳には行かない！智緒と最期まで戦うよ！」
北月　智緒（きげつ・ちお）が。
「いーっぱある大切な宝物、人や思い出を消させないよ！
理知と一緒に守るって決めたから！」

ラック・カーディアル（らっく・かーでぃある）が。
「まだシャンバラに来たばかりなんだ、
すぐに終わったんじゃつまらないだろう？」
イータ・エヴィ（いーた・えびぃ）が。
「まだまだ食べ歩きたい物がい〜〜〜っぱいあるんだから！
食べ物の恨みは恐ろしいんだからね！」

斎賀　昌毅（さいが・まさき）が。
「やっとパイロットになれたんだ！　邪魔すんじゃねぇぇぇぇぇ！！」
マイア・コロチナ（まいあ・ころちな）が。
「もっと、もっと、もぉっっと！！！　私は幸せにならなきゃいけないんだから！！」

佐野　和輝（さの・かずき）が。
「俺が手に入れる、平穏な未来を邪魔するなぁ！」
アニス・パラス（あにす・ぱらす）が。
「和輝の邪魔をするなー！」

杜守　柚（ともり・ゆず）が。
「来たばっかりでまだ恋もしてないのに、消滅なんて困ります！」
杜守　三月（ともり・みつき）が。
「まだやりたい事出来てないよ！　スポーツとかスポーツとかスポーツとか」


「これが、契約者の力か！」
「なるほど、さすがは、決戦のあの日に、
全ての者の平和を目指して行動していた愚か者たちだ！」
かつて蒼十字に救われた、龍騎士や従龍騎士たちが、感嘆する。
「そう、オレたちは……パラミタと地球はわかりあえる！」
シャヒーナと視線を交わし、ヘクトルも言った。


「すごい……」
花音とともに部隊を組んでいた
叶　白竜（よう・ぱいろん）は、
世　羅儀（せい・らぎ）とともに、
黄山に乗り、戦場の様子を撮影していた。
そこでは、龍騎士や従龍騎士、
シャンバラの契約者たちが、ともに戦う姿があった。
「それぞれの目的はバラバラでもいい。一瞬だけ、一つになれたら。その瞬間に賭ける」
白竜も、想いを口にする。
「この場で敵を食い止め、
医療班として動く人たちも守らなければ。
というか迷惑をかけないようにしなければいけませんね。無理は厳禁。うんうん」
維暮　征志郎（いぐれ・せいしろう）がつぶやく。
壱影　封義（いちかげ・ふぎ）は、そんなパートナーを見て思う。
（意外と征志郎は腹が据わっているかも……）
青白の操縦は不慣れなものの、征志郎は確実にできることを行っていた。
補給運搬をして、前線でなるべく弾薬切れなどが発生しないように注意しているのだ。
「この戦争ははやく終わらせないと……終わらせる為に戦うというのも嫌な話ですけどね」
本当は戦争、したくないんですけどね。そうひとりごちながら、征志郎が想いを放つ。
「そういえば、医療班に可愛い子いたよなあ。無事でいるかな」
羅儀が、後方のことをふと思って言った。