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リアクション
配備
ジャングルという言葉がぴったりのうっそうとした密林地帯。粘度さえ感じられるほどの蒸し暑い空気が全身にまとわりつき、原生生物の鋭い鳴き声が時折響く。集まった生徒たちは不安げなもの、生真面目な表情のもの、戦いを前に高揚しているものとさまざまだった。
“龍頭”を封じ込めている巨大な結界、その結界の弱い箇所から結界に引っかからぬほどの力の弱い魔物が脱出し、石原を襲おうとしている。決して強い敵ではないが、数がいる。さらにここに配備されたものは戦い慣れしていないものも多い。馬場 正子(ばんば・しょうこ)はただでもいかつい表情をさらに引き締め、鋭い眼光で危険と思われる箇所をチェックしていた。普段でも近寄りがたい威圧感――いろんな意味での――があるのだが、今の正子はその姿を見ただけでも圧倒されるほどの迫力があった。
「石原校長の守護が最優先事項ではあるが、諸君の安全もまた考えるべき事項だ。
幸いにして結界を抜けてくるものはこのあたりの動物と同程度と結界がみなした程度の弱いものだ。
注意して当たれば無事このミッションを成功させることができるはずである。
全員、気を引き締めて当たるように」
生徒たちへの簡潔な演説の後、正子は後ろに控えていた雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)と高円寺 海(こうえんじ・かい)のほうへ向き直った。
「多数出てきそうな箇所は、わしらがカバーすればよかろう。わしは近接格闘に秀でている。
ゆえに最前線での活動に適していると考える」
「私は銃での戦闘向き……後方からの支援や遠隔攻撃のメンバーと協力してあたりますね」
雅羅が言った。
「オレはこの妖刀村雨丸と、魔法も多少嗜む。やはり前線向きだと思うな」
海が刀をポンとたたく。
「では、結界の様子に従い、生徒たちの配備箇所を指定する。それと、連絡は絶やさないように」
海と雅羅はうなずいた。
馬場が結界のもろい場所をチェックし、生徒たちの持つ能力やスキル、適性に応じて組み合わせたパーティを配備してゆく。
準備は整った。
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