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創世の絆第二部 最終回

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創世の絆第二部 最終回
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「生きる活力」を鼓舞せよ2

一方、
五月葉 終夏(さつきば・おりが)
ニコラ・フラメル(にこら・ふらめる)達も、
“龍頭”へと突入していく。

「ねぇフラメル。君はこの戦いが終わったら何したい?」
「終夏、それは死亡フラグという奴ではないのか?」
「何言ってんの。『生きる活力』を鼓舞するためだよ」
終夏は肩をすくめ、言った。
「私はねー美味しいもの食べて、
ごろごろして、それで気ままにヴァイオリン弾きたいね」
「はっはっは。お前、それ若干アリとキリギリスのキリギリスに聞こえるぞ」
「いいじゃないか。
あ、イルミンスールで魔法の勉強もしたいな」
終夏はヴァイオリン・ゼーレを抱きしめ、ふと、真面目な表情で言った。
「だから、こんな所で未来が終わっちゃったら、困るし嫌だな」
ニコラが、そんなパートナーにうなずく。
「うむ。私も、こんな所で未来が終わっては困るし、嫌だとも。
そして出来るならば、その未来はこのパラミタで歩みたい」
ニコラは、不敵な笑みを浮かべて見せた。
「案ずるな。このニコラ・フラメルに不可能などない!
私は【不可能を可能にする男】と呼ばれたのだ。
この事態の解決にも尽力しよう」
「うん、私もヴァイオリン弾きとして、
生きる喜びを表現するよ」

(パラミタが、大好きなんだ)
終夏は、目を閉じ、世界への愛を願った。

そして、ヴァイオリンの弦を振り上げる。
「さあ! 楽しい音楽奏でましょうか!」

終夏が、ヴァイオリンを弾きはじめる。
ニコラは、パートナーが危険に巻き込まれないよう、
周囲を警戒し、同行した。

他にも、音楽の力で「生きる活力」を活性化しようとする者がいた。
終夏は、周囲の様子を見て、それに合わせて演奏する。

(今まで出会ってきた人、友達、パートナーにして夫のアイン。
そして今も我が家で帰りを待つ、幼い子ども達。
それら全てが、今の私を形作ってきた大切なもの。
皆の笑顔を、未来を、皆の生きる大地を護りたい。壊させたりない)
蓮見 朱里(はすみ・しゅり)
アイン・ブラウ(あいん・ぶらう)とともに、
アルマイン・マギウスのヘルギに搭乗し、
ディーヴァの歌声を響かせる。
アインは、ヘルギに搭載された、
ソニックブラスターを使って、
パートナーの歌声を広範囲に響かせる。
「僕達には守るべき人達がいる……。
ここにいる皆もそれは同じはずだ」
アインもまた、夫として、父として、朱里や家族への温かい気持ちを持っている。
(機械の身体を持つ僕に、人の温もりを教えてくれた、
朱里や友人達……。
パラミタにいる皆の笑顔を守るために!)
アインは、ヘルギを操り、
マジックカノンで味方を支援する。
「最後まで、あきらめるな!」

「暖かい心を、勇気を、愛を、希望を、光を、
この歌よ……届いて!」
朱里の歌声に、終夏のヴァイオリンが重なり、
響き渡る。

「これまでも、多くの困難を私達は皆で乗り越えてきたわ。
今回も、必ず、パラミタを救ってみせる!」
朱里の、ディーヴァとしての歌声は、味方を鼓舞し、
ダメージからも回復させる。

「ありがとう。
魂を……私達の想いを。届けます」
クエスティーナ・アリア(くえすてぃーな・ありあ)
サイアス・アマルナート(さいあす・あまるなーと)の搭乗する
ストークアルテミスも、
朱里と同じく【聖歌隊】メンバーとして、
歌の力で「生きる活力」を鼓舞しようとしていた。

「大地は……生きとし生ける全ての命は……在るというそれだけで力なのです。
私は、それを音に替えて…ただ表しましょう。
想いの限り……!」
クエスティーナが、
アルテミスの両肩のソニックブラスターに歌声を乗せる。
【シャンバラ教導団医師】である、
クエスティーナは、多くの戦場で、
人の生命を見つめてきた。
パートナーのサイアスが、クエスティーナの横顔を見つめ、つぶやく。
「クエス。
貴女は以前、『私には戦う力はない』と言いましたね。
そうではないでしょう。
これが貴女の力です。
貴女の戦いは銃弾を使わない。そういう事なんですよ」

(ええ、ようやく、わかった気がするわ)
クエスティーナは、
光条兵器のブラスター銃の引き金を引いたことがない。
それでも、これまで、自らの信念の元、戦場に立ち続けてきた。

『主よ人の望みの喜びよ』に、幸せの歌の効果を乗せて、
クエスティーナは歌う。

(ありがとう、アトラス。
これまでずっと、パラミタを支えてくれて。
いままでおつかれさま。
ありがとう)
アトラスへの感謝と惜別の想い。
アトラスの力を受け取り、未来への想いをこめ、
クエスティーナは歌声を響かせた。

「あたし達も続くわよ!」
藤林 エリス(ふじばやし・えりす)が、
赤旗を振り回し、アジ演説を始める。
「愛と正義と平等の名の下に!
革命的魔法少女レッドスター☆えりりん参上よ!」

「革命的アイドル魔女っ子あすにゃんも参上!」
アスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)がポーズを決める。

「そんなに滅びを望むなら、お望みどおりあんた自身に滅びをくれてやるわ!
あたしはまだ革命を成し遂げてないんだから!」
“龍頭”に向かって、エリスが啖呵を切る。
エリスの革命とは、愛と正義と平等の共産主義である。

「真の革命は暴力でもって行われるのよ!
強大な力に虐げられる弱者を救い、ユートピアを建設する!
いまこそ立ち上がれ!
万国の勇者達よ!
革命の一挙まさにこの一戦にあり!
どんな時でもあたし達は諦めない!
団結せよ! 闘争せよ!
自らの夢も愛も希望も、自らの手で掴み取るのよ!」
赤い旗を振り回し、エリスがアジテーションを行う。
「格差と貧困に苦しむ人達を救うまでは、
革命的魔法少女レッドスター☆えりりんの戦いは終わらないわ!
邪魔する奴は、
一騎当千の古代シャンバラ式杖術でぶん殴るわよ!
これこそ、現代のゲバルト、暴力による革命よ!」

アスカが、ディーヴァの歌声で、エリスの応援歌を歌い、皆を鼓舞する。
「初めて会ったあの日から
いっぱい冒険したよね
貴女はいつも失敗ばかりで
恥ずかしい目に一杯あって
もうやめたい消えちゃいたいって
こっそり泣いてたの知ってたよ

でも貴女は絶対諦めない
何度でも立ち上がって
闘い続ける

そんな貴女が大好きだよ
いつも私に勇気をくれる
私の無冠の勇者様

明日こそきっと
信じてるよ!
最高の笑顔で
一緒に進もう!」

「ちょ、微妙に恥ずかしい歌ね……」
「いいじゃない、エリスちゃんの
ツンデレなかわいらしさがよく表現されてると思うな」
顔を赤らめるエリスに、
アスカがにっこり笑う。

「皆の想いを……メロディをひとつに!」
終夏がヴァイオリンを弾き、
朱里が、
クエスティーナが、
アスカが歌い続ける。

周りの契約者達も歌声を合わせて、
音楽が響き渡る。

“龍頭”の内部は、闇の力が浄化されて、
「生きる活力」に満ちていった。