リアクション
●宴の後
西の空に紅く燃える太陽が沈もうとしている頃、生徒たちを見送ったトヨミとウマヤドが、縁側に腰を下ろしてのんびりとした時間を過ごしていた。
「うーん……はぁ。やっぱりウマヤドの中が一番落ち着きますー」
胡坐をかいた姿勢のウマヤド、その上にトヨミがもたれかかるように座って伸びをする様は、まるで猫とその飼い主のようであった。……実際の立場は大きく異なるにせよ。
「おば上……おば上は本当は、パラミタに戻りたいと思っているのではないですか?」
ウマヤドの問いに、トヨミがしばらくの沈黙の後、そっと口を開く。
「……私は、ウマヤドと一緒に平和な時間を過ごせたら、それでいいんですよー。もう、あの殺伐とした日々は、こりごりですよー」
あははと笑うトヨミ、しかしその脳裏には、凄惨な戦場の記憶が映し出されていた。だからこそトヨミは平和を願い、そして奈良の町は、多少のイザコザはありつつも、平和な時間を保ち続けていたのだった。
「……でも、私は、今日のあの人たちとの出会いは、何かが変わろうとしているきっかけだと思うんですよ。ウマヤド、言ってましたよね? 変わらないものはない、って。……私たちが言うのはおかしいですけど、でも、きっとそうだと思うんですよ」
「……おば上のカンは、何よりも正確でしたからね。おば上がそう思うのでしたら、きっとそうなのでしょう」
「カンじゃないですよー。もー、相変わらず失礼ですね、ウマヤド」
ぷんぷんと怒るトヨミが、ウマヤドから離れて地面にとん、と降り立つ。
「……私、パラミタに戻ろうと思うんです。そして、今日ここを尋ねてくれた人たちに、もう一度会ってみようと思うんです。そこから、きっと何かがはじまるかもしれないと、そう思いますから。……一緒に来てくれますか、ウマヤド?」
トヨミの少し不安げな瞳に、ウマヤドの醒めたような表情が映る。
「嫌です……と言ってもおば上は連れて行くつもりでしょう? ……いいですよ、お供します。こういうのもたまには、悪くないでしょうから」
微笑んで、ウマヤドも立ち上がり、地面に足を着けてトヨミと向かい合う。
「ありがとう、ウマヤド……!」
トヨミの顔が、ウマヤドの胸に埋まる。ウマヤドの手が、トヨミの頭を優しく撫でる。
二人を、太陽の光が、優しく照らしていた――。
「では、法隆寺のお掃除、しっかりやっておかないとですね。頼みましたよ、ウマヤド♪」
「…………嫌です」
数日後、パラミタ行きの新幹線ホームで、最後の修学旅行気分を味わっていた生徒たちの前に、一人の少女と一人の青年が姿を表した。
「皆さん、こんなところでご一緒するなんて、これも運命かもしれませんね♪」
「何を言っているんですか、事前に彼らがどの新幹線に乗るか調べた結果でしょう。あと、俺だけに荷物持たせないでください。せめて自分の荷物くらいは持ってください」
「魔法少女は荷物なんて持ちません♪」
……某宅急便の魔女に怒られそうな発言である。
こうして、【終身名誉魔法少女】炊屋姫と【豊聡耳】聖徳太子、もとい、トヨミとウマヤドが、学校の一員に加わることになったのであった――。
るんらら〜……(ぱたり
……倒れながら失礼の猫宮・烈です。
まさか百人集まるとは思っていませんでした。某物置は百人乗っても本当に大丈夫なんでしょうか。
自分はごらんの有様です。
……とまあ、いつまでも倒れていても問題なので(起き上がる
『【2019修学旅行】斑鳩の地で寺院巡り』リアクション公開いたします。
参加された皆さま、お疲れ様でした。
非常に面白いアクションを投稿していただき、感謝の極みです。
できる限り尊重したつもりですが、いかがでしたでしょうか。
……気分が『学芸会で百人の桃太郎』でしたので、「スポットライトを誰に、いつ、どこで当てればいいんだ?」と試行錯誤でした。残念ながらライトは一つしかないもので……。
(この辺り、『アクションの書き方』に通ずるものがあるかもしれませんね。皆さんがシナリオに参加している中で、個人にスポットライトが当たるのは一回、と思っていただければ(アクションの内容如何では、この限りではありませんが)。そして、『ライトが当たっている時にどういう行動を取っているか』を軸に書いてみると、うまくまとまるかもしれません)
今回、魔法少女を名乗っていただいた方には(それ以外の方も含め)、できる限り称号を付与しています。
既に持ってたらすみません。漏れた場合もすみません。
これ以降の新規発行及び改名、さらには【終身名誉】などの追加称号申請は、発足予定の『魔法少女協会(仮)』までどうぞ。
基本は『魔法少女〜〜』で、『○○魔法少女〜〜』もしくは『魔法少女○○〜〜』、さらには『○○(まほう)少女〜〜』まで可能です。
トヨミちゃんも何か考えてくるようなので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
……本当に発足するかは、ほどほどに期待して待っていてください。
それでは、次のシナリオでまたお会いいたしましょう。