校長室
夢は≪猫耳メイドの機晶姫≫でしょう!?
リアクション公開中!
「もう、帰ってもいいですかね……」 慣れない状況にバタバタしていた店内が、段々と落ち着きを見せてきた頃、睡蓮は誰にも気づかれずそっと帰ろうとする。 「い!?」 だが、すぐに九頭切丸に気づかれ、、龍騎士のコピスを向けられ止められた。 『一度引き受けた仕事は最後までやり通す……にゃん』 「……わかりました。ん、なんか騒がしいですね」 二度も脱出に失敗し、さすが諦め始めた睡蓮の耳に、やたらと騒ぐ声が聞えてきた。 「よぉし。一気に飲むわよ、ゴクゴク……プハァァァ」 「よっ、姉さん! 良い飲みっぷりでぇ」 ミスティーアとドゥムカは完全に酔っぱらっていた。 どんだけ飲んだのか。テーブルの上には大量の空のジョッキが置かれている。 酔っぱらったドゥムカはそのままの勢いでまたたび 明日風(またたび・あすか)に話しかけた。 「そういえば、おまえ一人旅なんだってなぁ」 「そ、そう、だねぇ」 「じゃあ、結構疲れてんだろ。俺がマッサージしてやるからそこに寝な!」 ドゥムカがほぼ無理矢理に近い形で、明日風をその場にうつ伏せにさせた。 「うわっ、馬鹿!!」 その様子を心配そうに見ていた睡蓮は唐突に走り出していた。 次の瞬間、店内に響く明日風の悲鳴。 「任せなぁ! この俺がたっぷりとご奉公してやるぜご主人よぉ!」 重量級のドゥムカが明日風の腰に座り込み、マッサージという名の拷問を与えていた。 「あ、あのすいません。ちょっといいですか?」 「なんであります、きゃっ!」 耳を触りたい衝動にかられたフミ・サギリ(ふみ・さぎり)は目の前を通った スカサハを呼び止めると、存分にその耳を触り始めた。 「や、やばいよ、これ。き、きききもちいい〜〜」 「ちょっと、やめるであります! やめないと、大変なこと――」 スカサハの制止の声に応じず、耳を触り続けるフミ。 すると次の瞬間。脇に強烈な蹴りが入り、フミは床に倒れこんだ。 顔をあげると鬼崎 朔(きざき・さく)が怒りの形相でフミを見下ろしていた。 「そんなに死にたいのか!!」 「お、おお落ち着くであります! だ、大丈夫であります。大丈夫でありますから!」 今にも殺しかかりそうな朔をスカサハは落ち着かせようとするが、普通に説得しても効き目はなさそうだった。 「それなら……ほ、ほら、スカサハでありますにゃん♪」 奥の手とばかりに、スカサハは頬を染めながら頭の上で軽く握った両手を乗せ、猫のポーズをとってみた。 じっと見つめてくる朔。 「……」 「……」 「……」 「……だめかにゃん?」 「…………はぅ」 朔は表情を崩し、幸せいっぱいでスカサハに抱きついてきた。 スカサハはそのまま朔を連れてフミから離れていった。 「死ぬかと思ったぁ……」 安全を確かめ席に戻ると、フミはほっと胸を撫で下ろした。しかし、それでも衝動は収まらない。 そんな時、周囲の警戒のため、超感覚で耳をはやしていたリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)が目の前を通ったため、フミはまたしても暴走した。 「あ、あのすいません」 「ん、なにか用かい?」 「その耳を触らせてください!」 「え……!?」 問答無用でとびかかったフミは戸惑うリアトリスの耳に触れた。 「僕は耳を触られたら……ふにゃぁぁん」 「こ、これは……」 すると、耳を触れられたリアトリスは、いきなりネコナデ声で甘えだした。 「……最高です」 フミは椅子に座り直すと感激に頬を緩ませながら、自身の膝に頭を乗せたリアトリスの耳を触りまくった。 そして――首元に冷たい感触がした。 「なんだかすごく楽しそうですねぇ、ふふふ」 背後からレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)が調理包丁をフミの喉元にあてていた。 レティシアの台詞は言葉とは裏腹に全然楽しそうに聞こえない。むしろ、冷たくて、恐ろしい。 そして、レティシアは言った。 「フミさ〜ん。今ここで赤い花を咲かせるのと、ワタシにこの場を譲って後で紅の花を咲かせるの、どっちがいいですかぁ?」 フミが黙って席を譲ると、レティシアは代わりにリアトリスの耳を触り始めた。 フミは思った。……女性は怖い。 「……すいません」 「おや、私達に何か御用ですか?」 喫茶店の外。大きな木の陰で昼下がりのゆるやかな時間を過ごしていたエリセル・アトラナート(えりせる・あとらなーと)の元へ、メイド服を着たフィオナ・グリーン(ふぃおな・ぐりーん)がやってきた。 エリセルのメイド服は腕や足が本体より大きな機晶姫のために、首から下げ、両脇をホックで止めるとおいう特殊なタイプのメイド服になっていた。 「……差し入れ」 「わざわざありがとうございます」 フィオナはエリセルにラップをかけたジャムのかかったホットケーキを渡した。 「あなたはお店のお手伝いですか?」 「……はい」 「そうですか。その服、似合っていますよ」 「え?」 「とても可愛らしいです」 可愛いなどという意外な一言にフィオナは戸惑った。 すると、エリセルの後ろにフィオナと同じ形状のメイド服を着たトカレヴァ・ピストレット(とかれう゛ぁ・ぴすとれっと)を見つけた。 トカレヴァは照れ臭そうに頬をかきながら手を振り、フィオナも振り返した。 フィオナはエリセルが見た目以上に心が広い人のように感じられた。 「……ありがとうございます」 フィオナは微笑を浮かべて喫茶店へと戻っていく。 すると、ベルテハイト・ブルートシュタイン(べるてはいと・ぶるーとしゅたいん)が、会話の邪魔にならないように止めていた演奏を再開した。 「お上手ですね」 「いえいえ、私などまだまだですよ」 エリセルにはベルテハイトの演奏が、とても上品で美しい調べに感じられた。 「あなたもいかがですか?」 エリセルがホットケーキを差し出しながら尋ねると、ベルテハイトは自身の膝で気持ちよさそうに寝息を立てるグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)を指さして言った。 「起きたら、一緒にいただこうと考えています」 それからしばらくの間、ベルテハイトの奏でるメロディーが木の温もりと交わり、彼らを包みこんでいた。 「ん?」 「どうしたんだい?」 ふいにグラキエスが目を覚ました。ベルテハイトがグラキエスの視線の先に目を向けると、喫茶店から生徒達がぞろぞろと出てきていた。 「何かありましたか?」 エリセルが尋ねると、なんでもアイリス・ラピス・フィロシアン(あいりす・らぴすふぃろしあん)の提案で、今いる人達だけで一緒に集合写真を撮ろうということになったらしい。 大きな木の下に、弾とあゆむを中心にして皆が並ぶ。 中には寝ているものや、気絶しているものもいた。 自動でカメラのシャッターがきられる。 3・2……その瞬間、ツカサにかかったタルタル特製・気付け薬の効果が切れ、少女から男性の姿に戻った。 ……1。シャッターがきられる。 醜態が写真に残り、落ち込む司。 その肩にメイド服を着た男たちが手が優しく触れた。 (おしまい……ニャ♪)
▼担当マスター
虎@雪
▼マスターコメント
こんにちは、虎@雪です。 まず初めに公開が遅くなり申し訳ありませんでした。今後精進していきたいと思います。 さて、今回初めてのお仕事ということで戸惑いながらもどうにか完成しました。 書いてる最中はこんな人たちが実際いたら楽しいだろうな。とか思いつつ、にやけながら書かせていただきました。 楽しく読んでいただければ幸いです。後、素直な感想が聞ければ嬉しいと思っています。 そんな感じまた皆さんのお目にかかる日を楽しみにしています。 この度はありがとうございました。