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リアクション
逃げる≪西の豹族≫の遥か後方でトカレヴァ・ピストレット(とかれう゛ぁ・ぴすとれっと)はストラーフ・スミェルツェンを構える。
その銃身から出力を抑えたジャベリン状の弾が発射された。だが、その弾は≪西の豹族≫の皮膚をかすっただけだった。
「駄目か。弱ってるくせになかなか直撃できないね」
≪西の豹族≫はしびれ粉を受けて動きが鈍くなっているもののなかなか当てられない。
トカレヴァはエリセルを心配してこっそりついてきた。
そして作戦開始からこうして援護射撃し続けているのだが、なかなかヒットさせられない。
「早く、エリセルの手柄になってしまいなよ、っと……」
トカレヴァは再度、≪西の豹族≫に狙いを定めて射撃するが、ギリギリで避けられた。
諦めずにもう一度構えると、視界の隅に一人の生徒をとらえる。
「ん、あれは……」
トカレヴァは思考をめぐらした。だが、やはり≪西の豹族≫を捕まえにきた生徒の中にその人物の顔はなかった。
しびれ粉が聞いてきたのか、反応が鈍くなってきた≪西の豹族≫を追いかけながら、千結は妙な気配についてリアトリスに尋ねた。
「リアトリスちゃん。何だか気配を感じるぅ?」
「ちゃん付けって……まぁ、いいか。気配というかさっき【人の心、草の心】で植物に話を聞いたら、学生が森の中を歩いていたって言ってたよ」
「そっか。……何の目的かわからないし、注意した方がいいかもねぇ」
「うん。そうだね」
二人が周囲を警戒しながら追いかけている。
するとついに≪西の豹族≫がよろめき、バランスを崩して蜘蛛の巣に引っかかり茂みの中へと突っ込んだ。
「よし、【ソニックブレード】で一気に確保を――」
「ぎゃあああああああああ!!」
「「!?」」
≪西の豹族≫が飛び込んだ茂みの中から男性の叫び声が聞こえ、千結とリアトリスは顔を見合わせた。
その日はとてもよく晴れた日で……と言っても木々が生い茂った樹海の中でしたから日差しはそれほど強くはありませんねぇ。
とにかく拙者またたび 明日風(またたび・あすか)はその日、その樹海を歩いていやしたんですよ。
「なんだか、嫌な気配がしますねぇ。さっさと抜けてしまいましょうかぁ」
樹海に入ってから感じる妙な気配。自然と足が速くもなりましたよ。
そうこうしているうちに、周囲が騒がしくなってきたんで警戒していました。
「一体何、が……え!?」
すると、ころりと落ちてきたんですよ、青くて綺麗な、ねねね、猫が!?
「ね、猫……」
拙者、猫は駄目なんですよ。猫だけは駄目なんです。絶対。禁止。触るのも見るのもダメ。要はトラウマなんですよ!
「ぎゃあああああああああ!!」
思わず、叫び声をあげて、気づけばアルティマ・トゥーレを発動していましたよ……。
茂みを抜けて≪西の豹族≫の元にたどり着いたリアトリスと千結は驚いた。
「これは……」
「凍ってるねぇ」
そこには氷漬けにされた≪西の豹族≫と丸くなって震えている明日風の姿があった。
……こうして生徒達はどうにか≪猫耳メイド機晶姫≫に必要な全てのアイテムを手に入れたのだった。
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