空京

校長室

選択の絆 第一回

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選択の絆 第一回
選択の絆 第一回 選択の絆 第一回

リアクション

 VS,業魔戦 後



「おおおッ!!」
 馬場の拳が業魔を捉える。それを業魔は正面から受け止める。
 だが状況は、馬場が劣勢。既に息が切れかけている。
 それを見た東 朱鷺(あずま・とき)東 朱鷺子(あずま・ときこ)が動こうとする。
「朱鷺は八卦術を駆使して、ハイナ校長をお守りします」
 朱鷺はハイナの護衛につく。
「それでは朱鷺……子は護衛もしつつ、業魔とやらに攻撃してみますか」
 朱鷺子は言って、
「未来で得た力、真言術をとくと味わってください。馬場校長! 退いて下さい!」
 その声に、馬場は退避し、業魔は朱鷺子の方を向く。
「【真言術・壱式【矛盾】】」
 朱鷺子が唱えると、矛が出現し、業魔に突撃していった。
 業魔は、カッ、と目を見開き、矛をがしりと掴む。
「ふむ。ククク。ルーン魔術に近いものだな。面白い」
 そしてそのまま地面を蹴り、朱鷺子との距離を詰める。それは同時に、ハイナとの距離も詰めていることになる。
「ハイナ校長には、近づけません」
 と、朱鷺が前に出る。
「朱鷺は、葦原の八卦術師。キミに恨みはありませんが、これもパラミタのため。ひいては朱鷺自身のため…。押し通らせていただきます」
 言って、八卦術を使おうとした時だった。
 業魔が突然その場に立ち止まり、キョロキョロと周りを見回しはじめた。やがて、何かに気づいたかのように、
「【神殿群の起動】が始まったか。ぬぅ、面白くなりそうだったのだが、時間だ」
 と呟き、突然背を向け、逃げ出した。
 突然のことだったので皆唖然とするが、
「まだ聞きたいことはある! 逃がすか!」
 と、ハイナが飛び出したのをみて、場の皆は、はっとする。
 飛び出したハイナは業魔を追うが、
「五月蝿い。誰だ貴様は」
 と、業魔は一本の腕でハイナを殴ろうとする。
「ありゃ、バレてたか。ハイナ校長に興味がありそうだったから気をそらせるかと思ったんだけど」
 ハイナはそれを躱し、変装を解いた。ハイナに化けていたのは、フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)だった。
 さらに、
「くらえ」と、一瞬立ち止まった業魔に、森 長可(もり・ながよし)は槍での奇襲をかけようとする。
 業魔はそれを軽く躱し、構うだけ無駄だとでもいいたげに、逃げようとする。
 だが逃げ道には既に、和泉 暮流(いずみ・くれる)が立ち塞がっていた。
「【ソニックブレード】ッ!」
 和泉は切りかかるが、業魔がすばやく取り出した【蛇刀・裏】で、簡単にいなされる。
「ぐぅ!? くそっ、由紀也! 逃がすな!!」
 呼ばれた麻篭 由紀也(あさかご・ゆきや)は、巨大な十字架のような銃を構えて、叫ぶ。
「分かってるよ! くらえ!」
 由紀也は【連射体勢】をとり、ドドッ!! と、連射する。
「ぬぅ! しつこい。仕方が無い!」
 射撃を間一髪で躱し、業魔は一枚の紙を取り出す。
「【テレポート】」
 業魔が何か言ったかと思うと、紙が発光する。そして、紙に吸い込まれるようにして、業魔は消えてしまった。
「なっ!? 消えた!?」
 朱鷺が近づき、残った紙を拾い上げようとするが、その紙もじりじりと燃えるようにして、燃え尽きてしまう。
「……逃げたのですか」
 朱鷺は悔しそうに呟く。
(……あの紙、ちらりと見えましたが、ルーン文字が描かれていました。まさか、業魔とやらはルーン魔術も使える……?)
 などと、思考を深めようとした時、馬場が周りに聞こえるよう、言う。
「業魔は逃げたが、まだ亡者はいる! ひとまず亡者の殲滅を開始しろ! ケガ人がいるようなら手当を!」
 それを聞いて、周りにいた者達は、すべきことを探しに散らばって行った。
「【業魔】はまた、何時襲ってくるか分かりません。それまでに彼の情報をまとめておかなければなりませんね。刀のことや、先程のルーン魔術についても。……いえ、まずは馬場校長の言う通り、この場をおさめなければ」
 朱鷺は戯言のように呟き、彼女もまた、自分のすべきことを探しに行った。