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グリフォンパピーを救え!

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グリフォンパピーを救え!

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 クレアにはわかっている。亞狗理には、死ぬつもりなどかけらもないのだ。ただ、孤独で、空腹で痛くて苦しいパピーを抱きしめてあげたいだけなのだ。
「それだけですか」
 思わぬ声に、全員の目が洞窟の入り口に向けられる。万宗が入ってきて、睡蓮の手を握ったのだ。
あなたがたのちからはそれだけなのですか。そのていどの覚悟で、このパラミタ大陸のフロンティアになれると思っているのですか
 睡蓮がなんとか立ち上がり反論する前に、万宗の手を、入ってきたレイディスが握る。
「パピー一頭、たかが一頭。で、俺も一匹、男一匹だ。あんまり違いはないと思うぜ、いのちの価値によ」
 そのレイディスの手を悠が握る。
「外の敵はすべて片付けた。救助したパイロットたちは、尋問を受けている。つまり、私たちは、ヒマでね」
 悠が微笑み、その悠の手を刀真が握る。
「俺は、魔物に殺された親の復讐のためにここに来た。その魔物がなんなのか、まだわからない。もしかしたら、このパピーの仲間なのかもしれない。だが、たとえそうだとして、復讐するにしても、相手が子供でケガまでしてるとなれば、フェアな決闘にはならないと思っている」
 まさか!
 悠に似た刀真の笑みに優菜は、駆け出し、洞窟の外に出た。そこに集まっているたくさんの生徒たち。襲来した飛行艇と戦った多くの生徒が集まり、その全員が手をつないでいる。
「早くしてよ、優菜。さっきからあたしのお尻触るヤツがいるのよ」
 未沙が遠くから笑って手を振る。
 みんな…!
 優菜の目から、ふたたび熱い想いがあふれだす。
 トオルの応急手当を受けた亞狗理も、黎に肩を借り、その光景を声をもなく見つめる。
「ご感想は?」
と、黎が笑顔で問う。
「こんなもん、当たり前のことじゃ。昔から、農業は、互助会制度でつづいてきたけえ。ひとりとか1軒とか、そんな単位ではできんのじゃ」
 そう言いながら亞狗理の涙は、地面を濡らし、なお、その流れは止まらない。
「てめえら、手をつないでいるのは、ここにいる全員のちからを洞窟内に伝達するためか」
 怒鳴るように訊ねながら、怜史は、なぜか過去のなかにいる。オレは、大切な人を喪った。絶望の中で、ハンスに会わなかったら、オレは今頃どうしているだろう。
 そうだよ、という陽気な声がいくつも返ってくる。
「てめえらのなかには、パピーが嫌いなやつ、どうでもいいやつ、いろいろいたはずだ。なのに、なんで、パピーを救おうとする?」
「簡単な質問ばかりするんだな」
 遙遠が応える。
「可能性だよ、怜史」
「可能性?」
 怜史が訊き返す。