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リアクション
3.町・占い部屋
【捜索組】のうち、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)、ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)、デーゲンハルトは、町に着くなり「占い部屋」に向かった。
エヴァルトなりの訳がある。
「どーもあの女、怪しいんだよな」
という訳で勘に基づき、3名は「占い部屋」の占い師に接触することとなった。
町は昨日と一変し「地球人御一行歓迎」ムードのため、エヴァルトも堂々と正面玄関から入れた。
ん? と気付いたのは、ロートラウト。
「あれれ? あの厳ついボディガードのオジサン達、いなくなっちゃたよ?」
正面玄関を指さす。
しかし「占い師」の女のことで頭が一杯な一行は、それ以上特に気にかける様子もなく屋根裏部屋へと進んだ。
赤いビロードの豪華な廊下を進み、大きな螺旋階段を最上階まで上がり……。
「……とここまではいいが、俺達は一体何を聞けばいいんだ?」
部屋の前まで来て、エヴァルトはへの字口で意見を尋ねる。
パートナー達はズッコケた。
「えー! エヴァルトってば、何にも考えてなかったのー?」
「とりあえず、『迷いの森を安全に抜ける方法』でも尋ねればよいのではないか?」
デーゲンハルトのとっさの機転で、一行の方針は決まった。
が――。
「本当にお尋ねしたいことは、『魔術師が私の下へ通っていた訳』ですね? エヴァルト様」
部屋に入って席に着いた途端、占い師は難なくエヴァルト達の目的を正確に当てたのだった。
(さすがは「よく当たる占い師」、てことかよっ!)
「ああ、そうですよ! 占い師様々!」
エヴァルトは降参して、半ば投げやりに白状した。
「町の人達からそう聞いたんだ。『火の無い所に煙は立たねえ』って言うだろ?」
「『根も葉もないこと』という言葉は、考えなかったのですか?」
「それを信じるには、あんたはちょっと……何と言うか……」
エヴァルトは女の吸い込まれそうな闇色の瞳にドギマギしながら告げる。
(そうでなくても、美人の尋問は苦手だぜ!)
「御自分が立身出世できる最短コースはないのか? と。そうお尋ねになられたのでございますよ」
短い溜め息をついて、女は答えた。
「ですから、『迷いの森を研究し、世に役立てることこそが肝要』と。水晶の言葉をお伝えしたまでにございます」
「それだけか?」
「これ以上は戯言の類ゆえ、どうかご容赦を」
「『客の信用にかかわる』と、そういうことですな?」
デーゲンハルトの助け船に、女ははい、と頷いた。
女の占いの結果は、奇妙なものだった。
宿屋から出た3人は結果を反芻していた。
「森の攻略法はアイナ・クラリアス(あいな・くらりあす)、レアル・アランダスター(れある・あらんだすたー)、町長夫人が知っている、か」
そのうち最も確実と思われる町長夫人は、砦跡を攻略しなければならないために時間がかかり、刻限までには間に合わないらしい。
「でもアイナちゃんもレアルくんも、どっちも蝋人形化しちゃってるんでしょ?」
「そうだな。俺達はどっちにしても、自力で何とか切り開かなくちゃいけないってことだぜ」
「あとは、商店街を捜索している者達が何か見つけてくれればよいのだが……」
とにかく、3人は占い師の情報を持って、キャンパスへ戻ることにした。
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