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優しい誘拐犯達と寂しい女の子

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優しい誘拐犯達と寂しい女の子

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「とりあえず、捜査関係者には知らせておかないとな。彼女の両親と先生には君達が偶然、迷子になった絵音ちゃんを連れて来て保護したが、帰りたがらないと。そういう風にしておこう。出来れば、今日一日時間をくれるように伝えてみよう。念のために言っておくが、嘘をつくと……」
 買い出しを見送った後、洋は絵音のことを先に陽一に伝える必要があるため、賑やかな部屋を出た。出る前にもう一度三人組に釘を刺した。
「嘘なんかついてないわ」
 イリアルは少し怒りながら答えた。誘拐犯に間違われて不安でたまらないのだ。

「俺、忘れ物を取りに行って来るぜ」
「わしも少し電話をしておこうかのう」
 一段落着いたところで忘れ物を思い出したウォーレンは、取りに部屋を出てルファンは絵音の話で雪だるまの件に参加した人が今回も参加していることを知り、電話をすることにした。

 まずは捜索依頼が来た陽一に連絡を。

「メールの少女と三人の民間人と接触。彼らは、亡き妹と勘違いしたため連れ去った次第で悪意は一切無い模様。少女の保育士にはこちらから連絡をしたいので番号を頼みます。その際は迷子になった絵音ちゃんを彼らが保護したとして伝え、今日一日時間を貰えないか頼んでみるつもりです」

 今の状況と一緒にナコに伝える内容も話し、ナコの携帯電話の番号を手に入れた。
 それからすぐにナコにも連絡を入れた。

「教団少尉、相沢洋。そちらがお捜しの絵音ちゃんを保護した民間人と接触。ただ、絵音ちゃんが帰りたくないと訴えているので今日一日時間を下さい。責任は私がとります。放校、降格も覚悟をしてますので、お願いします。……そうですか、感謝します」
 安宿にいる人達と陽一に話した内容をナコに伝えた。伝えたところ、絵音が帰ろうとしないのならということでもうしばらく預かることを許可して貰った。

「また人数が増えるな」
 電話を終えた洋は陽一がすぐ近くにいることに呟き、部屋に戻り電話のことをみんなに伝えた。当然三人組は真っ青だったが。

「ルファンじゃ。……そうか、じゃ、伝言頼もうかのう。お捜しの絵音ちゃんは今、見つかってのう。妹に似ていたために思わず連れて来てしまったんであって誘拐した三人組に悪意は無いそうじゃ。ただ絵音ちゃんが帰りたくないと言っておるから、もうしばらくこちらにおることになるからのう。ナコ先生の方は迷子になったところを民間人が保護したということで他の生徒が連絡しておるから心配しなくて大丈夫じゃ」

 ルファンは、図書館で子供達の相手をしているネージュに電話をしたが、出てきたのは水穂だった。そのため、彼女に伝言を頼むことにした。しっかりと居場所も伝えて。それが終わったらまたルファンも部屋に戻った。