First Previous |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
Next Last
リアクション
第四章 新たな敵と最大のピンチ!!
「ここに悪の怪人を実体化できる装置があると聞いたが、なかなか盛況じゃないか」
ドクター・ハデス(どくたー・はです)は暴れ回る怪人達を眺めながら言った。
「どうされますか」
隣に立つヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)がハデスに訊ねた。
「聞くまでもなく我が秘密結社オリュンポスがいただくまでだ。装置はおそらく舞台裏だ。ただ、故障した装置の周りには誰か人がいるだろう」
ハデスは『行動予測』によって考えられる事態を想定していた。舞台裏に行って欲しいと言って簡単には貰えないだろうと。
「さて……」
装置奪還作戦を考え始めるも一瞬にして作戦を組み立てた。
「まずは」
作戦実行のためにもう一人揃えることにした。
ハデスの左の手の甲が光り輝き、デメテール・テスモポリス(でめてーる・てすもぽりす)が現れた。
「あれ? ここどこ? ソファーとテレビは……?」
突然、召喚されたデメテールはすぐには状況が呑み込めず、様変わりした景色を見回していた。
状況を呑み込み終えたデメテールは不満顔で
「あーもう、せっかくドラマがいいシーンだったのに!! もー! いきなり召喚しないでよねっ!」
ハデスに文句を言った。
「デメテール、我が秘密結社オリュンポスの今後の成長をかけた任務がある」
ぶつけられた文句を相手にする時間などある訳がなく、単刀直入に話を進めるハデス。
「えー? 任務ー? やだー、働きたくなーい。デメテールのお仕事は自宅の警護だもん」
ドラマが見られなかった上、外で働くなどずぼらなデメテールにとってはもってのほかである。
そんなデメテールを動かす言葉をハデスは持っていた。
「装置があれば、何でも実体化させることができるのだが」
「えっ? 何でも実体化できる? じゃ、それがあればお菓子やご飯も実体化させ放題よね!」
すっかりデメテールは目を輝かせ、作戦参加をあっという間に決めてしまった。
「では、作戦だ。ヘスティアおよび戦闘員は、俺と共に正面からプロジェクター奪取に向かう! その隙にデメテールが背後から気配を消して接近し、プロジェクターを奪うのだ!」
ハデスが立てたのは陽動作戦だ。
「わかりました、ハデス博士。つまり、デメテール様が奪取するために気を引けばいいんですね」
「うんっ、わかった!! デメテール、頑張るっ!」
ヘスティアとデメテールはしっかりと作戦を頭に刷り込ませた。
「さて、作戦実行だ。ヘスティア」
「ウェポンコンテナ、展開。6連ミサイルポッド、3基、発射準備完了です」
陽動作戦の要であるミサイルポッドの準備を整え、
「発射!!」
ハデスの合図で『破壊工作』、『弾幕援護』を使用しながら舞台に全力砲撃を派手に撃ち込んでいく。
「じゃ、行って来るよー」
舞台を派手に攻撃している隙にデメテールは『隠れ身』で舞台裏に突撃した。
「さて、俺は援護に回るか」
ハデスは素早く援護に回った。
舞台上では突然の砲撃に大慌て。舞台はめちゃくちゃになり、観客達は驚くが、司会者達は
「何か来るぜ!!」
ウォーレンが『野生の勘』によっていち早く気付き、他の司会者達に避難を呼びかけ、背中から蝙蝠の羽を出し、空に避難した。
「と、突然の攻撃!! わわわ、心配しなくても大丈夫だよ〜」
舞台から降りて避難する間も司会を続ける春美。
「……危なかったですわ」
無事に避難し、ほっとするアデリーヌ。
「……無事ね」
離れた場所で狼達と戦っていたさゆみはアデリーヌの無事を確認して安心していた。
「……怪人とは別の気配じゃ」
舞台下に避難したルファンは『殺気看破』で怪人とは別の気配を感じ取っていた。
「まるで注意を引きつけてるようだ。まさか!?」
舞台裏からショーの様子を覗いてたエヴァルトは目立つだけの砲撃に別の意図を感じ『行動予測』で答えを導き出し、プロジェクターを置いている場所へと急いだ。
砲撃の少し前の舞台裏。
「ちょっとぐらいいじってみるか、キスミ」
「オレ達も何か責任を取らなきゃだしな」
ダリルに釘を刺されたというのに懲りない二人は、プロジェクターに触ろうとした。彼らなりに責任は感じているようだ。
「おい、触るなと言われてなかったか」
舞台裏でレオング将軍だけになるまで待機しているエヴァルトが二人の動きを見つけた。
「……それは」
「ヒスミもオレも責任を感じてて」
しどろもどろになる二人。
そんな時だった。舞台から凄まじい轟音が聞こえてきたのは。
「何だ!?」
エヴァルトは何が起こっているのかとちらりと様子を見に行った。
「俺も見に行くぞ」
「待てよ」
ロズフェル兄弟も急いでエヴァルトの後を追って様子を見に行った。
舞台ではとんでもないことになっていた。何者かの爆撃によってめちゃくちゃになっていた。
確認した後、双子は再び装置のある場所に戻るも顔色が真っ青になってしまった。
「無い、無い」
「どこに行ったんだ。探せよ、ヒスミ」
「……これは貰って行くからねー。お菓子とご飯♪」
プロジェクターを探す双子にお別れを告げてからデメテールは静かに舞台裏を出て行った。
ちょうど入れ違いにエヴァルトが戻り、予想通りの展開を知ることとなった。
「……これが目的か」
呟くなりすぐにエヴァルトは、舞台裏を抜け出して近くにいたウォーレンに知らせに行くと表も大変なことになっていた。
怪人とは思われない者達がいたのだ。
「おい、プロジェクターが盗まれたが、あれが犯人達か」
「ってことは、陽動作戦ってわけだな」
エヴァルトの報告で『博識』や様々な経験などを持つウォーレンにはすぐに厄介なものが絡んできたと分かった。
報告を終えたエヴァルトは、双子のこともあるので速やかに舞台裏に戻った。
砲撃が収まり、ゆっくりと犯人達が姿を現す。
「ようやく、犯人が分かるようじゃ」
ルファンは明確になっていく人影に呟いた。
ウォーレンがみんなに伝えるよりも早く犯人が姿を現した。
周りのヒーロー達も戦いながら舞台の行方を見守っていた。司会を担当する者達も戦えるので心配はしていない。ただ、危惧していたは観客への被害だけ。しかし、その心配も無用だった。
First Previous |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
Next Last