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リアクション
「装置!!」
リーシャは驚きの声を上げる共に絶体絶命な音楽が鳴り響く。
「ヒーローの大事な物が敵の手に落ちちゃったよぉ。でも負けない。みんな応援だよ!!」
怪人達を実体化するためのプロジェクターだと観客の前で言う訳にはいかないので春美は適当な言葉でごまかした。
「負けるな!!!」
「悪い奴に負けちゃだめだよ!!」
「頑張れ!!」
子供達の応援の中、ウルトやノーン、沙織の声もあった。
「……頑張って」
ローズは無事に終わることを思っていた。
「そうだ。これがあれば我らの世界征服計画もたやすい!」
騒々しい子供達の声など心に響くはずもなく、しっかりと悪の大幹部。
「まずはデメテールのお菓子を実体化だよー」
デメテールが嬉しそうに言った。頭にはたくさんのお菓子と美味しいご飯に囲まれた自分の姿が浮かんでいた。
「……くっ」
手が出せない状態に言葉を詰まらせつつもリーシャの視線が一瞬だけ別の方向、戦闘を終えた近くにいる仲間の方に向いた。
「ククク、というわけで、ありがたく使わせて貰う。テンペストニウムの戦力は、我が世界征服のために!!」
目的を達成し、優越感に浸るハデス。
しかし、そこに水を差す言葉。
「……それはまだ故障中よ。すぐには使えない」
リーシャが言った。物理的に装置を取り返すのではなく、ただ親切に故障を教え始めた。
「この天才科学者である俺には障害にもなり得ない問題だ」
ハデスは愚問だと言わんばかりにリーシャの言葉を一蹴した。
「そうかもしれないけど、その使えない間に邪魔が入ると思うよ」
リーシャは負けずに言葉を続ける。
今の膠着した状態を明らかに引き延ばそうとするリーシャの様子に何かあると察したマグナも便乗した。
「その上、改造が施されたものだ。何が起こるか分からないのだよ。突然、木っ端微塵に爆発するかもしれない」
マグナは有り得ない事を現実味たっぷりに言う。少しでも相手が動揺するように。
「ば、爆発!? お菓子とか実体化出来なくなるよー」
「博士、どうしますか」
動揺するデメテール、次第を伺うヘスティア。
「……ふうむ」
ハデスは一応嘘か真か確認しようと装置を見る。
「……何かするつもりじゃのう」
ルファンは、装置を奪還するための何かをしようとしていることに気付き、成り行きを見守るも何かあれば対応する用意は怠らない。
「む!! 装置が」
突然、ハデスの手元から装置が消えた。
「博士、あそこです」
ヘスティアが示した先にいたのは、
「正義のヒロイン☆ウルトラニャンコここに参上! 装置は返して貰うニャ」
『光学迷彩』で姿を隠してこっそりと奪還した娘子だった。リーシャが向いた先にいたのは娘子だった。密かなる合図を受け、リーシャやマグナが気を引いているうちにこっそりと奪還作戦を決行していたのだ。
「あー、お菓子、ご飯」
夢が潰えたデメテールは悲しそうな声を上げた。
「スカイピンク、装置をよろしく」
娘子は少し離れた所にいる波穂を呼びつけ、装置を預けた。
「あ、はい」
波穂は急いで預かり、戦いに戻る娘子を見送った。
「形勢逆転ね」
「終わりだ」
「ニャンコの拳と肉球がうなりたがってるニャ」
ヒーロー三人、それぞれ戦闘態勢を整え、ハデス達に睨みをきかせる。
「さすがヒーローだぜ!! 一気に形勢逆転」
「どうなる、どうなる次の展開☆」
ウォーレンと春美が安心しつつ司会をする。カンナの音楽も一気に盛り上がっていく。
ヒーローを応援する子供達の声の中、ハデスが選び取った選択は、
「……戦略的撤退だ」
ただ一つ。再び装置を手に入れるのは厳しいだろうと見切ると共にこれ以上戦力が減ってはかなわないということで。
「待ってよー」
「お待ち下さい、ハデス博士」
デメテールとヘスティアが撤退するハデスを追って消え、最大のピンチは終わった。
「ピンチは乗り越えたよ。ピンク、グリーンと共にそれを持って帰って修理して保管を」
娘子は、何とかうまい形で波穂とトゥルスを舞台裏へと移動させようとした。
ショーは最後に向かいつつあるため他のヒーロー達が集中して戦うためと二人の身の安全のために言った。
「分かったわ、任せて頂戴」
波穂はプロジェクターを持ってトゥルスと共に退場した。
「あなたの予想通り、便乗犯が出るとはね」
「これほど派手だとは思わなかったが」
こっそり会話をした後、リーシャとマグナは再びショーに戻った。
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