リアクション
「おまえ達が彼らの仲間か」
三人に気付いたヴァルがやって来た。当然、今後の指導のために。
「そうだけど、何?」
エラナが反省の色無しに面倒臭そうに言った。
「……ショーを何だと思っているんだ。目の前に自分達のショーを楽しみにしている観客がいるというのにこれほど一座が自分勝手でまとまりがないようならパフォーマンスをする資格は無い。観客を楽しませて喜ばせたいという心はどこに置いて来たんだ」
ヴァルは、厳しく五人、特に反省の色が見られないエラナとヴァルハに向かって言った。
「……それは」
エラナはヴァルの言葉が多少分かるのか口ごもっていた。
「確かに応援とかお菓子よりずっと嬉しいけど」
口の中にある食べ物からすっかり味が消えていた。
「……僕が細かく指示していれば良かったのだが」
ビィースは副座長としての自分の責任の重さを改めて感じていた。
ヴァルの指導ですっかり重くなった一座。
「……今回の事件を反省して次こそは自分達で素晴らしいショーを作ればいいんです。終わったことよりも大事なのは次のことです」
「そうじゃ、とりあえず無事にショーは終わったからのう。座長にも伝えて安心させると良いじゃろう」
キリカの励ましとこの場にいない座長の心配を感じ取ったルファンの言葉。
座員達は励まされ力強く頷いていた。この後、座長は今回のことを知り、無事にショーが終わったことに感謝と安心を抱いた。
そして、みんなは一座の次のショーが今日よりも素晴らしいものになることを信じて帰って行った。
この事件後、ぐるりっとは、座長のぎっくり腰が完治してから再び活動を始めたという。
初心に返った熱いパフォーマンスは見る人を楽しませたという。
事件時、ドタキャンをしたエラナは相変わらずアイドルを目指してはいるが、公演日にはきっちり来るようになり、遅刻のヴァルハはショーが終わってから食いしん坊を発揮するようになった。ビィースは副座長として今まで以上に頑張っていた。
騒ぎは見事に学校に知れ渡りロズフェル兄弟は厳しく叱られしばらくの間だけ大人しくしていた。当然、そのしばらくは長くは続かなかった。
そして、騒ぎの最後の被害者がネットに投稿された動画に悲鳴を上げていた。
「あーー、あの時の様子が投稿されてるよ。コメントもすごいことになってる」
ルカルカは、正義の科学者とか言って変身して戦っている自分の姿に焦っていた。
動画のコメント欄には、
『ルカルカは正義の味方だった!?』
『この子ってシャンバラ教団のルカルカじゃん』
『うわぁ、あたし同じ学校だよ。マジで変身ヒーロー?』
など、たくさんの人達からの言葉が並んでいた。そのどれもが自分の正体を知っていると書かれてあった。
「どーしよう」
ルカルカは側にいるダリルに訊ねた。
「それは自業自得だ」
涼しい顔であっさりと流してしまった。
「ダリルの意地悪っ」
「……お互い様だ」
ダリルは事件の時にルカルカがした咄嗟の紹介を思い出していた。
ルカルカは助けてくれないダリルの相手をやめて動画を見ながら一日中、考え込んでいたという。
ゲームマスターを務めました夜月天音です。
参加して下さった皆様、本当にありがとうございます。
今回は、デパート屋上のヒーローショーということで怪人達との戦闘が主なものとなりました。それなのに戦闘描写があまりにも下手で本当に申し訳ありません。
少しでも楽しんで頂ければと切に願いながらの執筆でした。何度、皆様の素敵なアクションや嬉しい私信に励まされたことか。本当にありがとうございました。
ほんの少しでも楽しんで頂ければ、嬉しいです。