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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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 海の見える墓
 
 
 
 火村 加夜(ひむら・かや)の両親はこの年末年始も仕事であちこち飛び回っているとのことで、里帰りをしても両親とは会えそうもない。代わりに加夜はノア・サフィルス(のあ・さふぃるす)の両親の墓参りに行くことにした。
「その前に、ちょっと寄り道して良いですか?」
「ってどこに?」
「涼司くんの実家に、届けたいものがあるんです」
「へぇ、涼司お兄ちゃんの実家? ボク、はじめてだから楽しみだな」
 加夜はノアを連れて、埼玉にある涼司の実家に寄り道してみた。
 留守の玄関前に、涼司から聞いた言伝のメモ、今年1年の涼司の活躍を綴ったノートと思い出の写真、そこにパラミタの手みやげのお菓子も一緒に置いて。
(元気で頑張ってるので安心して下さい)
 そんな想いをこめてぺこりと頭を下げると、涼司の実家を後にする。
 会えなくてもなんだか嬉しそうにしている加夜の様子に、やっぱり好きなんだなと、ノアはうんうんと頷いた。
 
 
 寄り道を終えると今度はノアの両親の墓へ。
 墓は海の見える綺麗な景色の場所にあった。
 2人で墓を綺麗に掃除した後、花を供えて線香をともす。
「なかなか会いにこられなくてごめんね」
 ノアは墓に眠る両親にそう謝ると、手を合わせた。
 両親はノアが10歳の頃、何者かに殺されてしまった。ノア自身も命を落としかけ、その時の傷はまだ大きく背中に残っている。
(でもきっと、パラミタでも星と一緒にボクを見守っててくれてるよね)
 加夜と一緒で心配性だったから……、とノアは懐かしく思い出す。
「ボク、ちょっとは強くなったんだよ」
 ノアがそう報告すると、加夜も優しく微笑んで墓に語りかける。
「ノアはとても優しく強くまっすぐに成長してます。ですから安心して見守ってあげてください。ノアは私の家族の一員です。頼りないかも知れれませんが、これからも笑顔で過ごせるように支えていきたいと思います」
 そう言ってくれる加夜を嬉しく見つつ、その気持ちに答えられるようにとノアは思う。
「ボク、大切な人を守れるように頑張るから、これからも仲良く見守っててね。大好きだよ……」
 両親はこうして誓うノアを、どこからか見ていてくれるだろうか。
 その問いに答えるかのように、ふわっと温かな風が吹いてノアと加夜の髪を揺らした。
 2人を包み込んでくれるかのように。
「帰りましょうか」
「うん」
 加夜が笑顔で差し出した手を、ノアもまた笑顔で取る。
「パパ、ママ、また来るからねっ」
 今度来る時にはもっと強く、そしてもっと幸せになっているように。
 2人は手を繋いで、海の見える墓を後にしたのだった。