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リアクション
8.慰霊塔
たどり着いた場所は慰霊塔だった。
光の玉は、慰霊塔の中へ吸い込まれるように消えていく。
そこに1つの名前が刻まれていた。
「岩波ハルオ」と刻まれてある。
「岩波……たしか、定食の名前と同じだな?」
岩造が顎先に手を当てて、スッとシイナを見る。
「ああ、先頃あった空京の事件で、勇敢に戦った生徒の名だ」
「それって、さっきの……」
言いかけた皐月。
七日に袖をつかまれて止める。
「悪霊なんかじゃなかったのですね」
春美が言って、一同が頷いた。
「戦うことが嫌いなくせに、弱い者いじめが大嫌いな先輩だった」
「きっと……先輩はこれを見せたくて、夜な夜な現れていたんじゃないのかな?」
と美羽。その手には、3種のアイテムであるギター、本、献立表が握られている。
「ああ。『本当の勇気は武器や力で決するものではない』――彼はきっと、そのことを我々に伝えたかったのだろう」
とシイナ。
「仲間の力が必要だ、てこと」
サラ・アーネスト、と彼女は友の名を呼んだ。
お手製手榴弾を受け取り、慰霊塔の前に供える。
「だから、これは……」
と言って、いったん苦笑する。
「当面彼に預けることにしよう」
その様子を見た勇者達は、互いに目を合わせて微笑した。
自分達がここへ来た目的は、これで本当に達成させられたのだと。
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