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喋るんデス!

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喋るんデス!

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「すでに戦闘が始まってるみたいです」
 儀式部屋の入り口から中を覗きながら、エッツェルが告げる。
「あいつが黒幕か、なら話は早い」
 そう言うなり、突入するエヴァルト。
「ちょっと! 作戦と言うものがですね……」

「作戦? 見たところ射撃武器しか持っていないのだから……」
 ……格闘戦を仕掛ければ良い。
 エヴァルトにはそれで充分だった。
 一気に間合いを詰め、御手洗博士に殴りかかる。
「もらった!」
 しかし……
 エヴァルトの拳が届く直前、目の前に障壁が展開された。
「!! くっ……」
 強力な障壁に阻まれ、大きく体勢を崩すエヴァルト。

「おっと、危ない危ない……まだ他にも居ましたか」
 さほど驚いた様子もなく、御手洗博士はその手の中で銃を変形させる……
 そして、そこにもう一つ『-Gire-』を詰めると、銃口部分から真っ赤な刀身が生え、剣となった。
「一定以上のエネルギーを感知して、自動生成される防御壁……まだ試作品ですが、充分機能しているようですね」
 どうやら先程のレールガンを防いだのもその障壁のようだ。
 わざわざ防御装置の説明をしながら、御手洗博士は剣でエヴァルトを刺す。
「ぐぁぁぁっ!」
 エヴァルトを痛めつけるようにぐりぐりと刀身を捻る。


「ねぇ、作戦って? なにかあるの?」
 沙幸がエッツェルに訊ねる。
「今考えてます、ちょっと待ってください」
「でも早くしないと、みんなやられちゃうよ」
 はやくはやくとエッツェルを急かす。
「あのケースに入った赤い結晶……もしや……」

 エッツェルは、御手洗博士が何度か『-Gire-』を取り替えている事に気付いた。

「あれを奪うことが出来れば……あるいは……」
「あの赤いやつ? わかった」
 再びウィンディを魔鎧化させ、飛び出す沙幸。
 まっすぐに『-Gire-』の入ったケースを狙う。

「ほぅ、それに気付きましたか……ですが……」
 沙幸に気付いた御手洗博士が不敵に笑う。

「え?」
 その沙雪の目の前に障壁が展開される。
 御手洗博士と同じものだ。
「きゃっ!」
 障壁に弾かれる沙幸、彼女の場合、突入速度の分ダメージも大きかった。
「いたたた……」
「だ、大丈夫ですか?」
 自分の近くまで飛ばされた沙幸を心配して美菜が駆け寄る。
「ちょっと! 危ないから動かないで」
 その美菜を追って歩も動く。

「確かに君達はとても強い……故に、私には勝てません!」
 そう、高速で近づく沙幸自身のエネルギーに反応して障壁が展開されたのだ。
 これでは『-Gire-』を奪うことも出来ない……勝ち誇る御手洗博士。
 しかし、この油断が仇となった。

「ひょっとして……」
 『-Gire-』を目掛けて駆け出す美菜。
「だから、動いたら危ないってば!」
 慌てて追いかける歩だが……
「歩さんは来ちゃダメです!」
「え?」
 歩を拒む美菜。

「なるほど……わかりました、援護します」
 美菜の考えに気付いた七日、御手洗博士に接近する。
「そういうことですか、なら私も!」
 呼応してエッツェルも動く。
「あ、私も!」
 わけがわからないまま、沙雪も続いた。
「まだだ、まだ終わらん!」
 重傷を負いながらも、エヴァルトが一撃を放つ。

「ふ、力を合わせればどうにかなる、とでも思いましたか?」
 どうやら御手洗博士は気付いていないようだった。
 展開した障壁によって弾かれる4人。

「ふむ、確かにエネルギーの負荷は大きかったようですね……そろそろ『-Gire-』を交換しますか……」
 そう言ってケースの方に手を伸ばす御手洗博士。

 ――スカッ。

 『-Gire-』の手ごたえがない。

「? おかしいですね……そんなに使った覚えは……」
 いぶかしんでケースを覗き込もうとする……そこにケースはなかった。
「???」


「……やった」
 放心したように美菜が呟く。
 ……その腕に『-Gire-』の入ったケースを抱き抱えていた。

「あぁぁ!! いつの間に!」
 驚きの余り美菜を指差す御手洗博士。
 すかさず全員が美菜の前に立ち、守りを固めた。

「作戦は成功しました、後は電池切れを待つだけです」