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「どうやら、趨勢は決したようだ……ならば長居は無用」
 異変に気付いたアンドラスが逃走を計る。
「このボクがのこのこと君を逃がすとでも?」
「ふ……逃がすさ」
 そういって最後にもう一撃放つ……しかしその標的は……
「ジュレ! く……」
 とっさにジュレールを庇うカレン。
 その隙に逃げるアンドラス……確かにジュレールを放って追いかけるわけにはいかなかった。


「む……これは予想外の事態です」
 御手洗博士は焦りの表情を浮かべた。

 確かに『-Gire-』のエネルギー残量がなくなってしまうと、彼の装備は何の役にも立たない。

「仕方ありません……」
 彼は持っていた武器から『-Gire-』を抜き出した。

 ようやく降参かとほっとする一同だったが……御手洗博士の行動は違った。
 『-Gire-』を靴に装着し、逃走する。

「な、速い!」
 慌てて追いかける沙幸……
 だがこの中で一番素早い彼女でも追いつくことは出来なかった。

「うー、あと一歩で逃げられたー、悔しいよー」
 悔しがる沙幸をウィンディが慰める。
(まぁ、今回は『-Gire-』とやらが手に入っただけでも良しとしよう、調べれば被害者達を回復させることが出来そうじゃ)
「うん……早く届けなきゃだね」
 ケースごと奪ったのだ、きっと大勢の人が助かるだろう。


 なんとか逃れた御手洗博士は隠し通路を通って地下室へ向かっていた。
 そこに『-Gire-』に関する研究成果の全てを隠してあるのだ。
「『-Gire-』はまだまだ発展途上の技術……こんなところで研究を頓挫させるわけには……」
 しかし、地下室で彼を待っていたのは……

「御手洗秀介博士、ですね? 逮捕します」
 ルカルカ達だった。
 あの後意識を取り戻したアテフェフに案内され、この地下室にたどり着いた一行は、そのままここで証拠品を漁りながら待ち伏せていたのだった。

「やぁっと来ましたわね、待ちくたびれましたふぁぁ……」
 本当に待ちくたびれていたらしく、欠伸を堪えながらブリジットが御手洗博士を指差す。
 犯人を追及するポーズのつもりなのだが、欠伸のせいでいまいち様にならなかった。

「既に周辺は警官隊が固めている、おとなしくしてもらおうか」
 有無も言わせず、御手洗博士をダリルが拘束する。
 外では知らせを受けた円達が手配した警官達によって、研究所が包囲されていた。
 確かにこれ以上の抵抗は無意味だろう。
 力なくうなだれる御手洗博士だった。