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【創世の絆・序章】涅槃に来た、チャリで来た。

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【創世の絆・序章】涅槃に来た、チャリで来た。

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第十章 そして、手にしたもの 4

 そして。
 少しの後、「ギフト」はゆっくりと起き上がると、納得したようにこう言った。
『見事だ。お前たちをふさわしき者と認めよう』
 その言葉に、一同は歓喜の声を――あげるには、さすがに疲れすぎていた。
 その代わりに、皆ほっとしたような表情で大きく息をつく。
 長い戦いであったが、ついに「ギフト」を手に入れることに成功したのだ。
『お前たちのような者が来るのを待っていた。我はお前たちの力となろう』
 その言葉とともに、「ギフト」の身体が光に包まれ――その形と大きさを変えていく。
 一同が声もなく見守る中で、「ギフト」は一振りの剣へと姿を変え――。

 当たり前のように、良雄の手の中に収まったのであった。

「……え? お、俺……っスか!?」
 良雄からしてみれば、最後にラッキーヒットの一撃を当てただけの自分が選ばれる、などというのは完全に計算外である。
『ああ。だが、我の真なる力は然るべき時のために』
「然るべき時……そんなこと言われても困るっス!」
「ギフト」の指す「然るべき時」がどのような時を指すのかはわからないが、なんにしても、良雄は一刻も早く帝都ユグドラシルに戻らなくてはならないのだ。

 と。
「ね、ちょっといいかな?」
 何かを思いついたように、美羽が良雄に駆け寄った。
「何っスか、美羽さん?」
「その剣、良雄になら力を貸す、って言ってるんだよね?」
『うむ』
「それじゃ、良雄が認めたら、他の人にも力を貸してくれるのかな?」
 なるほど、これはうまい発想の転換である。
「もしそうできるなら、その剣、ニルヴァーナ探索隊に預けてもらいたいんだけど、ダメかな?」
 美羽のその言葉に、良雄はおそるおそる「ギフト」に尋ねてみた。
「……ということなんスけど、どうなんスか?」
『そのようなことは認めぬ……と言いたいところだが。何やらお前にも事情がありそうだし、特例として認めてやらんこともない』
 さすがは「ギフト」、やっぱり話のわかるいいやつである。
「それなら、この剣はニルヴァーナ探索隊の皆さんに預けるっス!」
「ありがとう!」
 良雄から「ギフト」を受け取り……それから、美羽は少し考えてこう言った。
「お礼に……って言えるほどのものはないけど、これしかないし」
 美羽が渡したのは、先ほど地下二階でベアトリーチェやゲルバッキーと一緒に取ったプリントシールの一枚であった。
 それを見て、今度は葵も同じようにシールを一枚手渡す。
「あ、あたしのもあげる! お土産に、みんなから一枚ずつもらっていったらいいんじゃないかな?」
 それがきっかけとなって、良雄のもとにみんなのプリントシールや、それ以外のものまで集まり始めた。
「なるほどなァ! そいつはいい考えだぜェ!! ほら、オレのも持ってけよォ!!」
「あ、ボクのもあげる!」
「お嬢に言われて撮影してたデータだが、パソコン持ちも大勢いるし、今コピーを用意しよう。持っていけ」
 そしてもちろん、この人も。
「それじゃ、るるのも一枚あげる。アスコルドさんによろしくね」
「あ……ありがとうっス!!」
 喜ぶ良雄に、ケンリュウガーが何やら大きな板を持ってきた。
「せっかくだし、最後にみんなで記念撮影だ。ここにいない人たちには申し訳ないが、とりあえずいる人だけでも撮ってしまおう」
「わ、わかったっス! それで、これは……?」
「取り急ぎ、大帝へのメッセージを書いたものを用意してきた」
 言われるままに良雄が板を見てみると、「アスコルド大帝! 早く元気出してね!」という文字が、元気のいい大きな文字で書かれている。
「ありがたく使わせてもらうっス!」
「よし、それじゃとりあえずタイマーセットするから、みんな集まれー!」





 かくして、ここにまた新たな良雄伝説が誕生し、一同はその目撃者となったのである。

 御人良雄、ニルヴァーナのシェルター跡にて、仲間たちとともに「ギフト」と戦い、これを打ち破って我が物とする――。