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ハロー、ゴリラ!(第1回/全1回)

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ハロー、ゴリラ!(第1回/全1回)

リアクション


fairyland【4】


「まったくエコロジーの意味をはき違えるのにもほどがある!」
 ぐるぐる巻きにされた森ガールを前に、レンは腕組みをしてお説教をしている。
「そんなやり方じゃ自然に失礼、迷惑だ。親御さんだって心配してるんじゃないのか。おまえ達はまだ若い……。まずは頭を冷やすんだ。家に帰ってしばらく考えろ、それでも自然を守りたいと言うならまた帰ってくればいい」
 と言うがしかし、授受は「甘いわ!」と言う。
「まずはシャンバラ政府に引き渡して裁判してもらなきゃ。そんでスーパードクター梅の診察を受けてもらうの」
「むぅ……」
「ちゃんと反省して、罪を償ったら、それから……南カナンに行かない?」
「……復興を手伝わせるのか?」
「そう。もちろん緑の再生もね。皆が喜んで、あんたたちも嬉しいほうがいいじゃない。ね?」
 とは言え、生き方を変えるのは難しい。森ガールたちも黙り込んだまま、お互いの顔を見合わせている……。
 その時、ふと崩れたカフェ内に設置されたレトロなテレビに映像が映った。
「『ハロー森ガール!シボラに潜むエコテロリストの実態を緊急取材!』のお時間です!」
 画面にあらわれたのは、フリーライターの羽瀬川 まゆり(はせがわ・まゆり)
「今日はシボラに潜伏中の森ガールさんのところに来ています」
 場所はおそらく……コミュニティに奥にある三角屋根の細長い建物のようだ。
 しかし、金のためには手段を選ばないフリーライターとは言え、テロリストのアジトに突撃するとは豪気である。
「リーダーの【C.W.二コリーナ】さんにインタビューをしたいと思うのですが……」
 そう言って、画面外の誰かと交渉をはじめる。
 すると、パートナーのシニィ・ファブレ(しにぃ・ふぁぶれ)が画面に出てくる。
「時間がかかりそうなので、急遽わらわの特別コーナー『シニィ姉さんのなんでも相談室』じゃ」
 大吟醸をトクトクとコップに注ぎ、グイッとひと飲み。
「わらわが何でも相談に答えてやろう。あ、相談者はなにか酒を持ってくるのじゃ」
 とそこに瓶を抱えた森ガールがやってくる。
「なんじゃこりゃ。カルーアか……、甘ったるいもん飲んでおるのぅ。まぁいい、悩みはなんじゃ?」
「あの、ゆくゆくは空京センター街だけじゃなく、空京竹下通りにも勢力を伸ばしたいんですけどぉ……。あそこのゴス軍団がなかなか手強くて困ってるんですぅ。何かいいアドバイスください〜」
「ふむ、そんなヤツらがおるのか……。そなたらの重武装で陥落出来んとはなかなかの手だれのようじゃな……」
「そうなんですぅ。あそこは悪魔崇拝者(サタニスト)の巣窟なんですぅ」
「火力には更なる火力じゃ。今度は戦車でも使って攻め込んだらどうじゃ?」
 気のせいかテロを煽ってる気がするが……シニィ姉さんの相談コーナーはなおも続く。
 と、そんな姉さんを尻目にカメラが不意に別の方向に向いた。
「お待たせしました〜! 出演OKです! ではとくと喋って頂きましょう。二コリーナさんの登場ですーっ!」
 その瞬間、ゴゴゴゴと言う地鳴りとともに巨大な影が画面にあらわれた。
 それは高さ3メートルではあるだろう重ね着に重ね着を重ね過ぎた衣服の塊であった。
 その上部にちょこんと前髪パッツンの可愛らしい顔がある。
「こんにちは、皆さん〜。大自然が育んだアイドル、C.W.二コリーナですよぉ〜」
 異様……と言うか、異常な風貌と違って、その口調も可愛らしい。
「わたし達森ガールサークル『世界の合い言葉』は地道な活動で平和を守っていまぁす。今年は有害な工場と企業を8社ほど破滅させましたぁ。これからもどんどんナラカの人口を増やしたいと思います。でも、やっぱり最近は反吐のでる地球文化が入って来る空京をなんとかしないとなぁって思ってまーす。応援よろしくねぇ〜」
 テレビを見ていたアゲハは眉を寄せる。
「あ、そうそう。アゲハさん見てますかぁ。この間はあたしのお友達をよくも病院送りにしてくれましたねぇ。ほんとあたし怒りで血管ぶち切れそうでした☆あれから何度も考えたんですけどぉ、どう考えてもあなた達は環境に優しくないと思うんですぅ。なんか小汚いしぃ。コンビニの前にたまるしぃ。すぐポイ捨てするしぃ。正直、社会にいらないんですよぉ。屑です屑。超ファックなのでぇ、また近々戦争に行っちゃいますねぇ。首を洗って待っててね、クソビッチさん」
 超腹立つ笑みのニコリーナ。そして、まゆりがまたカメラの前に出てくる。
「ありがとうございましたぁ、ニコリーナさん」
 そして勝利のVサイン。
「これで私も戦場ジャーナリストの仲間入りが出来ました。あとはこのVTRをテレビ局に高く売りつけるだけです」
 次の瞬間、アゲハの投げつけたデコバットが、テレビの画面に突き刺さり、火花が飛び散った。
ぜってー泣かす!