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リアクション
武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)とセイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)がやってきたのは……ウェディングフェア中の、結婚式場だった。
「な……っ」
牙竜に行き先を任せていたこともあり、セイニィはあからさまに狼狽えた。
牙竜とセイニィが付き合い始めて半年、セイニィにとってはいきなり結婚式場に来て、混乱しないはずがない。
「その……セイニィ」
牙竜はここに連れて来た理由を「デートで」と誤魔化そうかと思ったが、その言葉を飲み込んだ。
「結婚式は、どんな式が好みだ?」
「と、唐突すぎるわよ!」
まだセイニィは混乱しているのか、「突然そんなこと言われたって……」と、小さく呟いた。
「俺は、セイニィとの結婚を意識している」
赤くなるセイニィを牙竜は正面から見据えて、真剣にセイニィの目を見て話す。
「セイニィは、どうだ?」
「そっ、それは……」
頬を少し赤らめて、セイニィはふいと近くの結婚式場を見た。
「したくないと思うの?」
牙竜の位置からは耳と頬しか見えないが、どちらも先ほどより明らかに赤くなっている。
「なあ、セイニィ」
「な、何よ」
「将来のことについて、話さないか?」
牙竜とセイニィは、式場を巡りながら展示されているドレスやタキシードを見て回った。
「ゴタゴタが解決したら、俺はシャンバラから離れてマホロバで貢献したい。未来のヒーローを育てるのも悪くない」
「未来のヒーロー……ね」
「そんな俺でも、結婚してくれるか?」
会話の流れからの唐突なプロポーズに、セイニィが目を白黒させる。
「返事は急いでないから……お?」
牙竜がふと、足を止めた。牙竜の前には、美しい純白のウェディングドレスが飾られている。
「このドレスはセイニィによく似合いそうだな……金糸のような金髪がよく映える」
セイニィが、黙ってドレスを見つめた。隣に飾られているタキシードを見て、そのまま動かない。
「おーい! セイニィさーん?」
はっ、と意識の戻ってきたセイニィ。
「結婚式のことを夢想しました?」
「な、な、なっ……」
アクセルギア、ON。
「からかうんじゃないわよっ!!」
あ、来る。そう思った瞬間、牙竜はセイニィの顔を見た。それだけで、牙竜には分かる。セイニィの言動が照れ隠しであることは。
次の瞬間。牙竜は勢い良く蹴り飛ばされたのだった。
その後、式場の前でセイニィに土下座する牙竜の姿があったという。
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