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リアクション
葦原明倫館の放課後の教室に真田 佐保(さなだ・さほ)が残っている。
少しずつ日が暮れ懸かって来ているが、まだ仕事は終わっていない。
「佐保見つけました」
そんな佐保の元にミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)が駆け寄って来た。
ミーナは、佐保がなかなかやってこないので、教室まで様子を見に来たのだ。
「あ、ミーナ殿」
「ミーナ待ちきれなくて来ちゃいました。まだお仕事残っているのですか? ミーナお手伝いしますよ?」
「ありがたいでござる。少しだけ、手伝ってもらえるでござるか?」
ミーナが手伝ったこともあり、ほどなくして仕事は片付いた。
夕暮れの雰囲気の良い教室の中で、二人っきり。
まだしばらく教室からは出ず、ミーナと佐保は沈んでいく夕日を見つめていた。
「先輩……じゃなかった。佐保……夕暮れ……きれいですね」
「そうでござるな……こうしてミーナ殿と綺麗な景色を見ることができて、拙者はうれしいでござるよ」
幸せそうに微笑む佐保の隣で、ミーナは佐保の横顔を見る。
夕日に照らされて少し明るく見える佐保は、綺麗だ。
「夕暮れの中にいる佐保もきれいです♪」
不意打ちで、佐保のほっぺにちゅっとキスをする佐保。
「なっ」
慌ててミーナの方を向いた佐保の唇に、ミーナの唇が触れた。
「……えへへ」
「と、突然でびっくりしたでござるよ」
目を丸くする佐保に、ミーナは窓の外を眺めながら微笑んだ。
「ミーナね、はじめは佐保のこと一目ぼれで好きになって。いろいろがんばってる佐保を見ていっぱいあこがれて尊敬して、一生懸命佐保の後を追いかけたんだ。佐保がミーナの恋人になってくれてすっごくうれしかったの」
「ミーナ殿……」
静かに話し始めるミーナに、佐保も自然と真剣な表情になる。
「ミーナ、佐保の後ろを追いかけるんじゃなくてこれからはずっと……ずーっと佐保の隣にいたいです」
ミーナがそっと差し出したのは、指輪だった。
「拙者もミーナ殿と一緒に過ごしてきて……これからもずっと一緒にいたいと思っているのでござるよ」
佐保は、ミーナに幸せそうな笑みを見せた。
「だから……喜んで、お受けするでござる」
佐保は微笑んで指輪を受け取った。
「お二人は、恋人同士だったのですね」
ミーナと佐保は、突然聞こえてきた声に驚いて教室の外を見る。
たまたま通りかかった葦原 房姫(あしはらの・ふさひめ)が、ミーナのプロポーズを見ていたのだ。
固まっているミーナと佐保に、房姫は優しく微笑んだ。
「とても嬉しいことです。おめでとうございます」
「姫様……!」
「お幸せに」
房姫に祝福され、佐保とミーナは微笑み合った。
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