リアクション
「なあ、カミロ。てめぇはこれからどーすんだよ?」 * * * 「なあ、エヴァン」 十七夜 リオ(かなき・りお)は、グエナ・ダールトンの墓標の前に来ていた08号の姿をしたエヴァンに声を掛けた。 「ヴェロニカには、まだ会ってないんだろ? 会わせるって約束した以上、来て欲しいんだよ」 (――エヴァン・ロッテンマイヤーは、海京での戦いで、グエナ・ダールトン共々死んだ。これで、旧F.R.A.G.のメンバーは、非戦闘員だったヴェロニカを除いて、全員いなくなった) 表情が作れないため、声だけで示す。 「どんな姿だって……ヴェロニカにとっては、たった一人の家族」 フェルクレールト・フリューゲル(ふぇるくれーると・ふりゅーげる)がエヴァンに向かって言った。 (それでも、だ。オレが生きてるってことにしとくと、アイツを縛ることになる。あの都市での戦いのことを聞くと、【サタン】の一件の後、アイツなりにオレから離れて、前を向けるようになったはずだ。ちょっと前までは、『兄さん、兄さん』って感じだったのによ) リオ達に背を向ける。 (……ヴェロニカを頼む。アイツと仲良くしてやってくれ。ただ、泣かしたりしたらどこにいても飛んでくるから覚悟しとけよ) 「会わないってのと矛盾してないか?」 (謎の正義の味方の美女、とでもしておけば問題ない) 「自分で美女って言うかなぁ……」 そして、彼は去ろうとする。 「どこに行くんだい?」 (この世界のどこか、さ。まあこの姿での、新しい生き方でも探すとするぜ) じゃあな、と残してそのままどこかへと消えていった。 * * * 「ヴェロニカちゃん」 霧羽 沙霧(きりゅう・さぎり)は、学院のベンチに腰を下ろしていたヴェロニカに声を掛けた。 「……今まで、変に当たってごめんね。それから……一緒に戦ってくれてありがとう」 「ううん、こちらこそ。力を貸してくれて、ありがとう」 その横顔には、どこか寂しさの色が浮かんでいた。 「もしかして、ニュクスちゃんのこと……」 「大丈夫」 沙霧を見上げ、静かに微笑んだ。 「また会えるって、信じてるから」 |
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