リアクション
* * * (そう、大体のことは分かったわ。じゃあ、お願いね) 慰霊祭の後日、シスター・エルザはコリマとテレパシーで話していた。 天御柱学院との姉妹校協定。それの締結に関してだ。 互いの人材交流の他、交換留学や機体の相互利用についての取り決めが、書面上の手続きでなされることになった。 (ああ、それと。以前、シャンバラ女王の乗ったイコンに特攻してった子がいたじゃない。堂々と通信開いて宣言しちゃったり) 葉月 可憐(はづき・かれん)のことである。 (あの子、少しうちで預かりたいんだけど、いいかしら?) (こちらとしては構わない。あとは本人の意思次第だ) 何でも、結局退学処分を受けたままらしいから、本人が希望すればこちらで受け入れられるだろう。 そして、客人の方に目を向ける。 「……ってなわけで地球は完全平和路線なわけだけど、あなたはどうする? 十人評議会も、三人しか残ってないわよ」 十人評議会の第六席、メニエス・レイン(めにえす・れいん)だ。右目に包帯が巻かれ、血が滲んでいる。 「こんな地球に、もう用はないわ」 シャンバラの地球人・地球文化に敵意はあるが、地球人のことはほとんど眼中にない、というところだろう。 「ま、上三つの席が全部空いちゃったから解散決定権はあたしにあるわけだけど……あら、いらっしゃい魔術師さん」 現れたのは、クロウリー卿だ。 「あなたがあの戦いにいたら、状況もまったく違っていたことでしょうね」 「我には興味のないことだ」 「で、ご用件は?」 「メニエス・レインを迎えに来た。それだけだ」 魔術師としては、教会の人間と話すのも反吐が出るほどに嫌なのだろう。この男も、マヌエル同様に青い所があるから面白い。 「貴様こそ、直接前線に出向けばよかったものを。さすれば契約者共も、苦戦などしなかっただろう」 「あたしはただの傍観者よ。そんなことはしないし、『出来ない』わ」 魔術師の言葉をあしらい、告げた。 「とりあえず、評議会は解散するわ。今から新体制で再編しても、陰謀論で使われてる名前ってのは芳しくないのよ」 話は済んだ、といった様子でクロウリー卿が去っていく。 「行くぞ、メニエス・レイン――ザナドゥへ」 |
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