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第一章 迎撃

「おまえら、邪魔だ!」
 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)は≪氷像の空賊≫に連撃を叩きこみ、一瞬で粉砕した。
 ≪秩序なき拳王――サルヴァ≫を追い掛けていた生徒達は、≪氷像の空賊≫によって足止めされていた。
「エヴァルト! こいつらしつこいんだけど!」
 ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)は苛立ちながら、パートナーであるエヴァルトを支援する。
「ああ、どうあっても俺達を≪サルヴァ≫の所に行かせない気らしいな」
「もう、さっきからこいつらまとわりついて来て――って、こいつどこ触ってるんだよ! このっ、このっ!」
 ロートラウトは抱きついてきた≪氷像の空賊≫の後頭部を、肘でボコ殴りにして引き離そうとする。
 ≪氷像の空賊≫は次々とまとわりついて来て、動きを封じようとしてくる。
「まずいっ」
「ロートラウト!」
 数の多さで圧され、動きを抑えられたロートラウトの元に、剣を振りかざした≪氷像の空賊≫が近づいてくる。
 助けに行きたいエヴァルトだが、自身に纏わりついてくる敵を排除するのに精一杯だった。
 必死に抜け出そうとするロートラウトだったが、ついに覚悟を決めて目を閉じた。
 ――瞬間。
「ワイバーン、お願い!」
 如月 玲奈(きさらぎ・れいな)の声が戦場に響き、≪氷像の空賊≫をレッサーワイバーンが吐いた炎が襲う。
 敵が怯んだ隙にロートラウトがようやく拘束から抜け出した。
「サンキュー。助かったよ」
「どういたしまして。それよりも、このままじゃ、≪サルヴァ≫に逃げられるわよ」
 玲奈は空中を飛んでくる≪氷像の空賊≫を足止めされながらも、大通りを走る≪サルヴァ≫を必死に追いかけようとしていた。
 すると、≪氷像の空賊≫の対応に追われるエヴァルトとロートラウトの脇を四谷 大助(しや・だいすけ)が抜けていく。
「オレが行く。援護を!」
 大助が≪サルヴァ≫を目指して真っ直ぐ駆け抜ける。その進行方向に≪氷像の空賊≫が立ちふさがるが、大助が止まる気配はない。
「ちょ、キミ!? あぁ、もう!!」
 玲奈が慌てて放った【天のいかづち】が、大助の進行を妨げようとする≪氷像の空賊≫に降り注いだ。
「ありがとう!」
「感謝はいいから早く≪サルヴァ≫を止めなさいよね!」
 大助は【神速】を使い、全速力で≪サルヴァ≫との距離をつめていく。
 大助はいつでも交戦できるように拳に力を込める。
 ≪サルヴァ≫が大助に気づき振り返ると、一瞬だけ足を止めた。
「ここだぁ!」
 大助は隙を付いて腹部に拳を叩きつけた。
 瞬間、大助の拳に鉛を叩いたような痛みが伝わる。
 ≪サルヴァ≫の破けた服の下から紫色の鎧が見えた。
 すると鎧から馬鹿にしたような笑い声が聞えてくる。
 ≪サルヴァ≫がニタリと笑った。
「魔鎧を装備していたのか……なら、ちょうどいいな」
 大助はこの状況を嬉しく感じていた。
「お前との戦いで僕は証明してみせる!」
 大助と≪サルヴァ≫が同時に地面を蹴った。