First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last
リアクション
先程まで衿栖と未散が歌っていたステージには、赤いビキニのまま上がった美空が、華麗に歌を披露していた。
「うわ、美空ちゃん、歌が凄く上手ですね! さすがアイドル、一味違いますね!」
咲夜が笑顔で勇刃を見やる。
「うん、一味違うね。ここの飲み物も結構うまいし、さすが本格スパ施設だけのことはあるな」
ジャスミンティーを飲む勇刃が
「……暖かいココアがおいしいです。感謝します、マスター」
ニッコリとアスターが勇刃を見る。
「もう! 健闘くん、アスターちゃん? 美空ちゃんが折角歌ってるんですよ?」
口を尖らせる咲夜。
「わかってるって。心配しなくても緊急登板でも美空ならうまくやるさ」
話はここで少し遡る。
「おお! あそこにステージが……!」
勇刃達と少し休憩しようとプールサイドの出店前にやって来た四人。
美空は現在は空席となったステージに、アイドルとして胸の高鳴りを抑えられずにいた。
「……お疲れ。みんな、随分楽しめたみたいだな。何か飲みたいものがある?」
勇刃の声も、美空には届いていないぽい。
「オッケー、咲夜は紅茶で、俺はジャスミンティー。美空は……? 美空? おーい」
「(ど、どうしよう…胸の高鳴りが……ううう……やはり我慢できない!)」
椅子に下ろした腰を直ぐに浮かせる美空。
「ごめん、ちょっと歌ってくるね!」
「え? 歌うって、あそこのステージは……」
「問題ない。いや、寧ろ歓迎するよ」
そこには統とダリルの姿があり、二人の承諾を受けた美空はステージへと駈け出していく。
「しょうがないなぁ。アスター、君はどうする?」
勇刃が聞くが、アスターは沈黙している。
「……しょうがない、いつものあれでいいか?」
二人の傍では、ダリルから渡された美空の出演やギャランティーの承諾書を咲夜がサインするのであった。
一旦はアイドル生活の辛さから逃げ出したことのある美空だが、流石そこは現役であり、番組プロデューサーの統とダリルから頼まれたステージを難なく盛り上げていた。
「はいはいはいー!」
アップテンポの曲で客を盛り上げていく美空。
「今日はツキ過ぎてるぜ。まさか、あの銀河美空まで見れるとはな!」
「オゥフ! シン総統閣下、拙者も同意でゴザル! アイドル日和とはこの事でゴザルな!!」
「ああ……全くだジョニー……ん?」
シンは隣で肉布団をバウンドさせるジョニーを見て、ふと、妙な事に気付く。
「(コイツ……ゆる族なのか?)」
ジョニーの素肌の背中に見える小さなジッパー。だが、アイドルの追っかけをする仲間内では『プライヴェートに干渉しない(すると悲しくなるから)』という不文律があったため、シンは再び美空のステージに集中するのであった。
「みんなー。ありがとうねー!!」
「「「うおおおぉぉぉーーッ!!!」」」
ステージから至福の笑顔で降りた美空に、勇刃がマンゴージュースを手渡す。
「お疲れ」
「ありがとう! ね、どうだった?」
「美空ちゃん! 最高だったよ!」
咲夜が言う。
「あ、本当? よかったー! アイドル辞めるって言ったから、てっきり腕が下がってるかと思ってたんだ。アスターちゃんは?」
「はい。美空さんの情宣効果を、この目と耳でしかと確認出来ました」
「えへへっ。ただ、歌っただけだよー」
「汗かいたろう? また、温泉に行こうか?」
「私、健闘くんに賛成ー!」
咲夜が手を挙げる横で、美空は満足そうに頷いてマンゴージュースを飲む。
First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last