校長室
嘆きの邂逅(最終回/全6回)
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第2章 それぞれの使命 作業小屋。 御堂晴海は苦しげに呻きながら倒れている。 彼女を見下ろしながら、これ以上自分だけで判断はできないと、志位 大地(しい・だいち)はパートナー通話で、本部と連絡をとった。 晴海の離反、身柄確保、全体には知られていないこと、彼女を重体にして情報を得たこと、情報は指揮官に伝えてあること、だが、晴海が重体であることは指揮官は知らないということ、そして晴海のパートナーにも影響が出ているはずだということ。 それらのことを、早口で、しかし漏らさず現状全てを電話の先の相手春夏秋冬 真菜華(ひととせ・まなか)に話した。 彼女には判断が出来ず、ラズィーヤに判断を仰ぐとの答えが帰ってくる。 返事は非常に遅かった。応急処置をしながら、じりじりと大地は連絡を待っていた。 数十分後、本部から届いた返答は――。 適切な判断を。判断しかねる場合は本陣に連れていくようにだった。 本部を襲った晴海のパートナーの拘束は済んだそうだ。 大地はやむなく、通信機で全体に連絡をいれ『付近にも光条兵器使いの姿が見られるようになった。地下道からも光条兵器使いが上ってこようとしている。白百合団員も中に待機させた。作業小屋調査を任されている自分はどう動くべきか』と曖昧な説明で指示を仰ぐ。 監視の白百合団員の2人には既に状況を知られてしまっている。 彼女達は避難の目を大地に向けて武器を持ち、大地にも警戒しているようだった。 少しして、指揮官の神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)から返答が届く。 『顔が分からないよう布をかぶせ、厳重に拘束した状態で別邸まで連れてくるように。連行は白百合団員に任せ、キミは付近の光条兵器使い対策に動いて欲しい』 「了解」 そう返事をした後、大地は晴海を更に厳重に拘束し、猿轡をかませた後、応急手当を施し、パートナーのメーテルリンク著 『青い鳥』(めーてるりんくちょ・あおいとり)(人型名『氷月千雨(ひづきちさめ)』)に一度だけヒールを使わせた後、晴海を白百合団員に引き渡した。 外には光条兵器使いがうろついている。 「千雨さん……本気でやっていいですよ」 「わかったわ」 「白百合団の方は、別邸へ急いで下さい」 そう声をかけた後、大地は剣と刀を手に、目に付いた光条兵器使いに飛びかかっていく。 こちらに気付いた光条兵器使いが、光の剣を大地に振り下ろす。 大地は横に跳んで交わして、光条兵器使いの肩に剣を叩き込んだ。剣を支えに、刀で首を斬り落とす。 戦いの音を聞きつけ、光条兵器使いが集まってくる。 一番近い敵へと大地は飛んで、攻撃を受けながら自らも剣を繰り出し、心臓を貫いて倒す。 「いくわよ」 千雨の声を聞き、大地は一旦後方へと下がる。 禁じられた言葉で魔力を高め、千雨は瞳を紅色に輝かせながらブリザードを放つ。 発生した氷の嵐が、光条兵器使いに襲い掛かる。 集まっていた男達の体が凍りつき、倒れていく。 ぴくりと動きを見せた光条兵器使いに、大地が飛び込んで剣を突き下ろした。