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 白百合団副団長の神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)の元にも面談希望者が沢山集まっており、順番に面談が行われていた。
 怖い印象のある彼女のもとに集まる生徒のほとんどは白百合団員だ。
 しかし、中には所属していないのに、優子を指名する者がいた。
「ルーシェリア・クレセントか。キミとはこうして話をするのは初めてだね。どうして私を選んだ?」
 部屋に現れて、向かいに腰かけたルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)に、優子はまず、そう尋ねた。
「白百合団に興味があるからですぅ。これまで、生徒会の仕事に関わってきませんでしたが、百合園の生徒として、出来ることがあるのなら私も協力していきたいと思いました〜」
「そうか。白百合団については、総会でも配られた資料に載っている通りだが他に何か聞きたいことはあるか?」
「はい〜」
 返事をして、ルーシェリアは資料をめくりながら質問をしていく。
「活動内容について、もう少し教えていただきたいですぅ。あと、参加基準はありますか〜?」
「活動内容は多岐に渡っていて、普段の仕事以外の仕事は、実際来てみないとわからない。だが、仕事を受けるか受けないかは自分自身で決めていい。一般団員に仕事の命令が下さることはほぼないと言っていい。ただ、仕事を受けて任務に加わる場合は、指揮官の指示に従い、達成の為に全力を尽くすことが求められる」
 百合園女学院には通常の警備員も常駐しているが、それとは別に、白百合団は生徒や自分達の学校を護るための活動をしている。
 必要により武器を取ることもあるが、本来は救護に特化した活動が望ましい。
 とはいえ、最近は多発する事件や、戦争の影響で戦闘能力を求められることも多くなってきた。
 それでも、白百合団が守りの団体であることに変わりはなく。
 派手な活躍や活動ばかりスポットを浴びてはいるが、生徒達の世話に護衛、ヴァイシャリー市民からの一般人では対処しにくい事件の依頼も受けることがあり、地道に保護者や市民からの信頼を得ている。
「志願制ですかぁ……。昇格は希望者のみというわけではないようですが、昇格後も仕事は選べるというわけですねぇ?」
「受けるか受けないかは自由だ。ただ、受けざるを得ないような事件も最近は多いけれどな。昇格も辞退は可能だ。一般団員が合っているのなら、一般団員のままで構わないよ」
 そして、優子は軽く微笑みを浮かべて、こう続ける。
「キミは契約者だし、団員として力を発揮することができるだろう。興味があるのなら、見習いとして体験してみないか?」
 優子の言葉に少し考えた後。
 ルーシェリアは意を決して、書類を閉じる。
「いいえ」
 答えた後に、すぐ言葉を続ける。
「見習いではなく、団員として加えていただきたいですぅ。学院を守っていくという方針には賛同できますので……。これからは、私も一員として、百合園を守るために頑張りたいですぅ」
「そうか。それじゃ、パーティ後に、生徒会室に来てくれ。手続きをするから」
「はい〜。よろしくお願いしますぅ」
 ルーシェリアは立ち上がって、頭を深く下げた。
 彼女は百合園の生徒として、生徒会の一員として、白百合団員としての活動を選んだ。
 百合園を護りたいという、心と、力を持っていたから。