空京

校長室

選択の絆 第二回

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選択の絆 第二回

リアクション


【1】開戦

「この作戦に参加する全ての者へ通達する」
 アルティメットクイーンを護送するため、本隊の指揮を取る金 鋭峰(じん・るいふぉん)が声を張る。
「我等の目的はアルティメットクイーンとアイシャ女王を宮殿へ送り届けることである」
 簡潔に作戦目的を述べ、現在の状況を伝える鋭峰。
「上空には敵ゴーストイコン編隊、地上には二〜百メートル級の魔物がいる。更に、ソウルアベレイター“業魔”の姿も確認している」
 厄介、そして凶悪な敵たちが待ち構えているようだ。
「業魔に関しては馬場 正子(ばんば・しょうこ)及びハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)が率いる別働隊が引き受ける。そのため、イコン部隊や本隊はゴーストイコン並びに魔物を各個撃破しつつ進んでいく」
 作戦に参加している者たち皆、鋭峰の言葉を一語一句聞き逃すまいと耳を傾けている。
「この作戦、護衛を最優先とし“うまく”やるように頼む。以上だ。それでは進行を開始する」
 最後の言葉に含みを持たせつつ、本隊が宮殿へ向けて進行を開始。
 鋭峰の言った“うまく”やるを念頭に入れながら契約者たちも動き始める。

 進行を始めてからものの数分。イコン部隊、本隊の目の前に奴らは現れた。
「敵ゴーストイコン編隊を確認」
「敵機の数は?」
「前列に蜘蛛型、蜂型、後列に人型の陣形。これが三編成です」
 エリス・フレイムハート(えりす・ふれいむはーと)からの情報を聞き、すぐさま判断を下す相沢 洋(あいざわ・ひろし)
「即座に蹴散らす。ユーゲント、ダス・ライヒ、聞こえるか」
 洋からの通信にダス・ライヒのパイロットケーニッヒ・ファウスト(けーにっひ・ふぁうすと)ユーゲントのパイロットゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)が返答する。
「確認した。これから敵機に接近し交戦に入る」
「こちらでも敵機を確認しました。援護に回りつつ敵の索敵を行います」
「了解。荷電粒子砲の準備を開始する。指示があり次第射線から退いてくれ」
「「了解」」
 返答後、ユーゲントとダス・ライヒがプラヴァーを引きつれ敵ゴーストイコンに接近する。
「その編隊が飾りかどうか確かめてやろう」
「正面の敵、突撃してくるわ」
 索敵、通信をこなしていた八上 麻衣(やがみ・まい)が相手の動きを見極めてケーニッヒに伝える。
「なんだ、そっちもこれがお好みか。好都合だ」
 ケーニッヒも引きはしない。果敢に相手へと向かっていく。
 徐々に敵イコンとの距離が縮まっていく。相手は二機、対するケーニッヒは単身。
「これでいい。囮なんてそう何人もいらんだろう」
 突如として上へと転進するダス・ライヒ。相手イコンも追おうとするが、プラヴァーからの攻撃により回避に専念せざるを得ず断念する。
「だが、囮で終わらせることもあるまい」
 プラヴァーからの援護により出来た敵の隙をケーニッヒは見逃さない。
 旋回を行い再度転進、空いた敵イコン機の懐へと全速力で向かい、勢いそのままに蜘蛛型を一刀両断にする。
 それを見た蜂型、人型がケーニッヒに挟み撃ちの形で襲い掛かる。
「蜂型の方が近い」
「わかった」
 ケーニッヒは蜂型イコンへと一直線に向かい、そのまま鍔迫り合いに持ち込む。
 中々相手を押し切ることができない。しかし、それが狙い。
「援護します。各プラヴァーは一斉射撃」
 鍔迫り合いしている蜂型の後ろからゴットリープが急襲。
 後方に配置したプラヴァーの援護射撃にさらされる蜂型。鍔迫り合いを放棄して逃げようとする。が、既にそこはゴットリープの間合い。
「最早逃げることは叶いません。己の浅はかさを思い知りなさい」
 そう言いつつ一刀の元に斬り捨てるゴットリープ。
「お見事。次は、お前であろう」
 三度、百八十度旋回し、人型とぶつかり合うケーニッヒ。
「これで終わりです」
 すぐさま援護射撃をするゴットリープだったが、その攻撃は人型には当たらない。
 プラヴァーの攻撃もするりと抜け、人型は後退した。
「人型は後退、他二つの編隊に混ざりこちらに向かってきているわね」
「猪突猛進なだけではないということですか」
 鶴 レナ(つる・れな)の言葉通り、先行してきた残り二つの編隊が一斉に突っ込んでくる。
 ユーゲントとダス・ライヒの両機もこれを迎え撃つ、かと思いきや今度は回避に徹し始める。何故か。
 特大の後方射撃がそろそろくる頃合だとにらんでいるから。
「……荷電粒子砲の準備OK。撃てます」
「ユーゲント! ダス・ライヒ!」
「「了解っ」」
 言われるより早く覇王・マクベス改修型の射線から退く二機。
「両機及びその僚機、荷電粒子砲の射線から離脱。敵影、捉えました」
「よし! そのまま撃てぇーっ!」
 洋の掛け声と共に荷電粒子砲が敵イコン編隊に向けて放たれる。
 その射線上にいた編隊はボロボロとなる。先行してきた相手戦力は一気に三分の一にまで低下。
「ラインを超えさせるな! 次弾急げ!」
「了解。ウィッチクラフトライフルに切り替えます」
 残りの敵も逃がしはなしない。洋が指揮を取るイコン部隊は次々と敵イコンを撃破していく。だが、それも序章に過ぎない。
 レナが呆れながら状況を口頭で伝える。
「新しい敵の機影を確認。数……先ほどとは比べ物にならないほどの多数」
 その言葉は、戦いがまだまだ激化することを予感させる。