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リアクション
【1】秘策
「随分と宮殿が近くなったものです」
「そうだね。……後は襲撃があることを祈るだけ、かな」
ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)とルカルカ・ルー(るかるか・るー)が他の誰にも気付かれないようにひそひそと話す。
「【新星】の方々も協力してくれた。成功させたいものだな」
周りを警戒しながら会話に参加するダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)。
現在、アイシャやアルティメットクイーンの周りには教導団が護衛に当たっている。
その全ての者に例の作戦が伝えられていた。
「本当は色々と聞き出したかったのですが、魔物たちのせいでそれどころではありませんでした」
「仕方ないよ。最優先事項はアイシャとクイーンの護送なんだしね」
「ソフィアがいてくれれば、結果は違ったのかも知れませんが……」
〜〜〜その頃のソフィア・クロケット(そふぃあ・くろけっと)〜〜〜
「はくしゅっ! ……誰かに噂でもされているのでしょうか? って雨ですか!? ああー洗濯物取り込まないと!」
〜〜〜それでは現場のルースさん、ルカルカさんにお返しします〜〜〜
……こうした日常を過ごすもののためにも、アルティメットクイーンを女王にしてはならないのだ。……ならないのだ。
「……絶好の波が来たぞ」
ダリルの言葉にルースとルカルカが反応する。
―――ドドドドドッ!!!
地鳴り。だが地震ではない。
魔物の大群。それが本隊へ向かってきているのだ。その中には百メートルクラスの超大型個体の姿もある。
「……ルカさんっ」
策を行う前にルカが目を配る。それに対して朝霧 垂(あさぎり・しづり)が合図を送る。
任せろ、と。
「うんっ……敵の大群を確認! このまま戦闘へ移行するのは危険と判断! よって緊急処置を取ります! 各部隊は停止し、控えてください!」
ルカの一喝のもと、全ての部隊が迅速に退避する。が、アイシャの護衛を行っていた者たちだけは前進をやめない。
「……間に合わないっ、行きます!」
途端、空気がかわり、大気が凍える。そして出来上がる氷の壁。
その氷の壁は、クイーンの進行を阻む。しかしアイシャたちは先行していたためその阻みを受けない。
クイーンとアイシャは、分断されたのだ。
「魔物の群れはあちらにいったか……」
ダリルが苦虫を噛み潰したような顔をする。クイーン側、つまり自分たちの方に魔物がくれば更なる進行停止が望めた。
だがそうでないのなら仕方ない、とクイーンの護衛に専念するダリル。
「クイーンは後で追いつくから、先にアイシャを宮殿に、戴冠の間にお連れして!」
垂にそう命令しつつ、ヴィサルガを使用してホークギフトを呼び寄せ、群がる魔物を軒並み蹴散らしていくルカルカ。
「了解だ! 皆、行くぜ!」
垂を先頭に一足先に宮殿を目指す一行。その行く手を先ほどの魔物の群れが阻む。
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