空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】超大型機動要塞vs艦隊部隊 1

 片や全長壱千メートルを越える超巨大機動要塞。
 片や梯形陣を敷いた五艦の機動要塞。
 ……息を呑む光景だった。
「この艦隊を前にして見劣りせん、そこだけは評価してやろう」
 テメレーアの艦長兼艦隊統率を務めるホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)
 自分達の艦隊に見劣りしない巨大すぎる機動要塞を前にしても、余裕の態度を崩さない。
 情報解析と主砲照準を担当していたローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が洋達から送られてきた戦闘データをまとめていた。
「ビッグバンブラスト及び荷電粒子砲を受けて、予測被害値はこれだけ。まさに要塞ね」
 ローザマリアが送られてきたデータを見て呆れる。
 今まで戦ってきた要塞よりも、厄介な相手なことが手に取るようにわかる。
「……テメレーアより各艦へ。敵は見かけ倒しのハリボテではない。
 これよりオペレーション『スリガオ・ストライト』を発動する。
 敵の要塞を空京に入れてはならん」
 ホレーショがH部隊の面々へ通信を入れる。
「砲撃を終えた艦は装填及びチャージに専念し、その間は別の艦が攻撃を開始する。
 これを五艦で行い絶え間なく攻撃を続ける。
 では先陣伊勢、頼むぞ」

「了解であります! H部隊の特攻戦艦伊勢、尋常に参るであります!
 奴等の目を伊勢に釘付けにするでありますよ!」
「イコン隊全機発艦! 僚機イコンと傭兵部隊を含むイコン隊は予定通りの配置について!
 デカ物も機動要塞もちまい敵イコンにも目にもの見せてやりましょう」
 息巻く葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)、イコン隊を配置につかせたコルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)
 既に入念にシステムチェックを行い、オールグリーンなことは確認済み。
「イコン隊の指揮はお任せするわ」
『了解や。伊勢の周りは任せとき』
 コルセアから連絡を受けたシーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)が快活に返事をした。
「さあ、機動要塞対我等H部隊のぶつかり合い、その合図をするでありますよ!」
 バンッ!と思い切り操作盤に手を叩きつける吹雪をコルセアが注意する。
「こらこら、壊れるからもっとデリケートに扱って頂戴。
 でもまあとりあえず、合図を出すのは悪くはないわ。それじゃ艦長、いつものどーぞ」
 コルセアが吹雪を見上げて指示を待つ。
 吹雪はすぅと息を吸い込み、吐き出すと共に叫ぶ。
「容赦無用! 生意気な金城鉄壁気取りの奴に、一泡吹かせてやるであります!
 難攻不落を叩き落し、我らに完全勝利を! ビッグバンブラスト、はっしゃあぁあ!!」
「はいポチっとね」
 伊勢から全てを破壊する戦術ミサイルが放たれる。
 的はあれだけでかいのだ。目を瞑っても当てられるだろう。
 吹雪たちはすぐさま荷電粒子砲発射の準備に移行する。

 無防備となった伊勢を守るのはジェファルコン特務仕様を操る笠置 生駒(かさぎ・いこま)。伊勢に展開されているイコン隊と連携し、敵イコンの猛攻を防ぐのが任務。
「このまま様子を窺ってくれれば楽なんだけど」
「そうはいかんざき、奴さんがくるでぇ!」
 レーダーに敵機影を確認したシーニーが叫ぶ。
 より早く敵が来ることを予測していた生駒が起動する。
 セラフィム機が混じった敵イコン部隊が接近してくる。
「僚機へ、ワタシ達はセラフィム機を迎撃。
 他イコンは一旦伊勢側のイコン隊に一任、迎撃後フォローに入る」
 ジェフェルコン特務仕様がセラフィム機に追従する。
 敵イコン部隊もそれに気付くものの、伊勢の上で展開するイコン達の攻撃により、生駒達の相手に集中できない。
「それが連携ってやつだよ、ダメダメ小隊君」
 多弾頭ミサイルランチャーを発射して、足の止まった敵イコンをまとめて落とす。
 しかし、セラフィム機だけは攻撃を止めたようで、損傷しながらも突進してきた。
『こんのっ!』
 僚機がセラフィム機とジェファルコン特務仕様の間に割って入る。
「ちょ、無茶しなさんなって」
 突然のことに驚きながらも、動きのとったセラフィム機にデュランダルを突き立てて、撃墜する。
「……私達は前みたいになっちゃいけない、わかるね?」
『……はい、出過ぎました。出撃前、イコンドックで色々ありまして……すいません』
「そっか。でも、うん。いい援護だったよ。おかげであっさり倒せた。
 無茶しない程度なら、よろしくお願いするよ」
『は、はいっ!』
 部下の行いを律しつつも褒めることを忘れない生駒。
 それを見ていたシーニーは「甘ちゃんやなぁ……」と言葉を漏らした。