空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】司令部にて

 空京郊外から離れた場所にある司令部。
 金 鋭峰(じん・るいふぉん)はここで総指揮を執っている。
 その補佐役にセレス・クロフォード(せれす・くろふぉーど)シェザーレ・ブラウン(しぇざーれ・ぶらうん)がついている。
「“鋼鉄の獅子”と“空の守護者”はどうなっている?」
 鋭峰に尋ねられ、セレスはやや間をとってから答えた。
「“鋼鉄の獅子”及び“空の守護者”は現在移動中です」
 セレスの報告に鋭峰は一度だけ頷き、押し黙る。
「グラヒトリについては何かわかったか?」
「シェザーレ?」
 セレスに名前を呼ばれたシェザーレは現状分かることだけを報告した。
「前線で戦っていたヴァーミリオンより、グラヒトリの機晶エネルギーの流れのデータを受信。
 かなり大雑把だけれど、契約者達なら大体わかるわね。
 また実際に操られたヴァーミリオンのパイロットからの体感だと、
 『無理繰りにジョイントされた感覚』と言っていたことから、
 電気か磁石等の力を用いて、無理やり繋いでると思われるわ。推測の域を出ないけれどね」
 グラヒトリの正体が少しずつ分かっていく。
「有用情報はフィードバック後、全イコン・戦艦へと通達してくれ」
「了解しました」

 忙しさの渦中にいる鋭峰。
 この混乱の中、その身を狙うものがいるかもしれない。
 予想だにできない凶刃から鋭峰を守るため、司令部には厳重な警備がされていた。
 その警備の指揮を執るのは香取 翔子(かとり・しょうこ)
 白 玉兎(はく・ぎょくと)オットー・ツェーンリック(おっとー・つぇーんりっく)ヘンリッタ・ツェーンリック(へんりった・つぇーんりっく)も警備に当たり、厳戒態勢が敷かれていた。
 イコン等の襲撃はイコン部隊に任せ、
 翔子達は司令部内部の人物に目を光らせていた。
 味方に紛れて、テロや暗殺をしようとする者がいないか。
 最悪のケースでもある、クーデターも念頭に入れて、全ての人物を入念にチェックする。
 玉兎とオットーは司令部に出入りする者と、監視カメラの映像越しに司令部内部をくまなく見透かしていく。
 その甲斐あって、今の所何の問題もなく司令部は機能している。
 ヘンリッタは万一の負傷者に備えて、いつでも治療できるようにスタンバイしている。
 部下も総動員して、鋭峰の身を命を賭して守る【新星】ベルゼー。
「……玉兎、オットーさん。私は外と連絡を取るため少し外します。
 後をよろしくお願いします」
「わかったわ」
「了解でございます」
 一旦、司令部の警備を二人に任せて翔子は司令部の外にいるサオリ・ナガオ(さおり・ながお)に連絡を取った。

『香取翔子です。そちら、何か異常はありましたか?』
 翔子から連絡を受けたサオリが異常はないと答える。
「時たまモンスターが来ることはないですが、
 作為的にやってくる者はいませんです」
『了解です。引き続き、警備をよろしくお願いします』
 通信が切れると、サオリはまた警備へと戻った。
 彼女は傭兵団を雇い、共に警備に当たっている。
 そのイコンの整備は藤原 時平(ふじわらの・ときひら)が担当していた。
 同時に、トラッパーを有効活用し、司令部入り口の周りを罠で固めていた。
 地雷の設置等も考えていたが、空京内ということもあり、
 誤って市民が踏んでしまう可能性を考慮し、
 設置箇所を司令部入り口と限定し、殺傷能力はないものに変更していた。
 やってくるのは訪問者は、今の所すべてモンスターだった。
 そしてまた迷えるモンスターが一体。
「……ここは立ち入り禁止ですぅ」
「にょほほ、牙剥き出しですな。では、応戦を」
 傭兵団にモンスターを任せて、サオリと時平は左右の警戒を強める。

 翔子たちの警備のおかげで、司令部の安全は確保され、
 鋭峰とセレスはイコン部隊に洗練された情報を、出来うる限り発信し続けていった。