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5000年前の空中庭園

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5000年前の空中庭園

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★プロローグ



 後日――百合園女学院校長室。
「それでは、ご報告致します」
 参考資料として2本のビデオと数枚のビラを渡し、美緒とフェンリルが報告を始めた。
 美緒のその手には、のどかのビラ――原紙がある。

 ――塔は砂時計みたいな形でした。
 ――入り口の石牢はピッキングで空きました。
 ――内部は螺旋階段で、窓がありました。
 ――8階にストーンゴーレムがいました。
 ――16階、メインシステムがありました。
 ――誰も解読できないほどの技術でした。
 ――メンテナンスに機晶姫さんがいました。
 ――珍しい機晶石を盗もうとする人がいて、内紛になりました。
 ――24階、石化のトラップがありました。
 ――どうやら女の子だけがガーゴイル化して、襲ってくるみたいです。
 ――男の子達で道を作りました。
 ――石化はアイテムとスキルで解除できました。
 ――30階、綺麗な庭園でした。
 ――突然ラフレシアになって襲ってきました。
 ――ここでも女の子が石化しました。
 ――男の子は食べられちゃいそうになりました。
 ――ひっ……し? に、にげ……て、ます。
 ――らふ……れ? しあ……おって、きま、す。
 ――疲れました。
 ――石牢をラフレシアが閉めたので、追い出されました。
 ――おしまい。

「……はい、美緒さんの感想は?」
 コピーされたビラと、ドキュメンタリー番組とお茶会が映ったビデオを交互に見ながら、百合園女学院校長の桜井 静香(さくらい・しずか)は感想を求めた。
「5000年前のラフレシアに会えて、とても素敵なピクニックになりました」
「はい、ご苦労様でした。フェンリルさんもお疲れ様でした。2人とも退室していいわよ」
 美緒とフェンリルは一礼し、校長室を後にした。
 残されたのは静香とパートナーであるラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)だけだ。
「ラズィーヤさんのご感想は?」
「……シャンバラ女王の妹君、ネフェルティティ様が造られ空中庭園でほぼ間違いないかと思いますわ。シャンバラ女王の末裔として、庭園に鎮座していたストーンゴーレムや、システムに用いられた術式などは少しだけ拝見した記憶がありますもの。それに、塔にいた機晶姫の対応も、そう確信させます」
「そう……」
 静香は表情を曇らせ、立ち上がった。
 窓に手をつきながら考えるのだ。
(シャンバラ女王が戻らない限り、このような呪われた場所はまだ在り続ける。そしてこれからも……)
「静香さん……」
 ラズィーヤは静香の手に自分の手を合わせて、優しく指を絡めた。
「とりあえず、空中庭園に出入り禁止の通達は出しておきましょう」
「ええ……」

 まだハッピーエンドを迎えるには、早いのだろう……。




(お終い)

担当マスターより

▼担当マスター

せく

▼マスターコメント

皆様、初めまして。新たにゲームマスターになりました、せくです。
新参者である私のシナリオに参加頂き、ありがとうございます。
処女作故の不安やクオリティ……様々な思いはありますが、これも皆様に参加して頂き、アクションを投稿して下さったからこそ、感じられるものです。
初めてのシナリオは、一文字一文字、それこそ句読点も含めて、機会を与えて下さった皆様への感謝を込めて、お贈りします。
そして、楽しんで頂ければ、幸いです。
それでは、またお会いできることを願いながら、これをマスターコメントとさせていただきます。
ありがとうございました。失礼します。