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二人の魔女と機晶姫 第2話~揺れる心と要塞遺跡~

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二人の魔女と機晶姫 第2話~揺れる心と要塞遺跡~

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■揺れる想いのぶつかり合い
 ――クエストキャッスルのエントランスホールにて姿を見せたモニカ。奇襲を仕掛けず、一人正々堂々を挑もうとする様は、やはり騎士としての本能だろうか。
 だが、護衛班たちはそうもいっていられない。前回の圧倒的な強さを一度目の当たりにしているうえ、今回はミリアリアからのお願いで捕縛後、二人で話し合いたいと言われていた。
「くそ、これじゃバイクで突っ込めそうにないが……構うものか!」
 モニカが襲撃を仕掛けてきた場所も考えられている。自身の甲冑姿を怪しまれることのない場所、そしてなおかつ外から護衛している契約者たちの足を少しでも遅れさせれることができるであろう遊園地の屋内。
 バイクに乗って遠くから護衛をおこなっていた桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)も、急ぎバイクを駆ってクエストキャッスルへ向かいつつ、《ティ=フォン》で別所にて待機中の桐ヶ谷 真琴(きりがや・まこと)へ連絡を入れる。
「――こっちは準備整ってます。けど狙撃ポイントが屋内ということもあって難度は上がってますけど……父様のためにも頑張ります」
 都市迷彩を施した《迷彩防護服》と《ブラックコート》で気配を極力消しながらビルの屋上より護衛をおこなっていた真琴。煉から連絡を受けるとすぐにモニカの狙撃ポイントへ移動して準備をしたのだが、いかんせん敵は屋内。死角が多く、狙撃難易度が上がっている。
 しかし真琴は自分の腕、そして煉や仲間たちを信じ、その時が来るまでスコープからモニカを覗き込むのであった。


 一方、エントランスホール内では雫澄が『護国の聖域』『フォースフィールド』《神獣鏡》で防御を固めたまま、モニカに対し説得を行おうとしていた。
「鉄仮面――いや、モニカさん。僕たちの話を聞いてくれないか? ――君の主は、お姉さんに会わせてくれたのか? 君は、実際にお姉さんを見たことがあるのか!?」
「……また問いかけか。――いかにも! 争いに巻き込まれたため全身包帯巻きだったものの、私の姉の姿は見たことがある。だからこそ、そこにいる魔女の言葉は嘘にまみれている!」
「……そ、そうなんですかミリアリアさん……?」
「違う! 嘘にまみれてしまってるのはモニカのほうよ!」
「黙れ、魔女が!」
 雫澄とモニカ、そしてミリアリアが言葉の応酬をする中、クルスが不安そうな目でミリアリアを見つめる。……この状況は良くないと判断した羽純は、すぐに歌菜へ『テレパシー』で話しかける。
(歌菜、ミリアリアとクルス……あと、戦闘に参加しない人たちをすぐに逃がしてくれ。クルスはまだ何も知らない身だ……これ以上余計な混乱を招かせるわけにはいかない)
(わ、わかった!)
 歌菜はすぐさま、ミリアリアとクルスと戦闘に参加しない契約者たちを城の奥へ避難させるべく声をかける。しかし、モニカはそれを許そうとはしない。
「……姉を騙る魔女! お前を討ち取り、その機晶姫もいただく!」
 『ランスバレスト』で一気に突破し、ミリアリアたちと接触をしようとするモニカだったが、以前より防御の層が厚くなっているためか、ミリアリアたちを護衛するファイリアの『ライトニングランス』やウィノアの『ファイアストーム』、さらにオーランドの槍術でうまくいなされてしまう。
「ミリアリアさん、モニカさんと会えるのを楽しみにしていたですっ! ずっとずっと心配していましたですっ!! せめてお話だけでもしてほしいですっ!」
「傷つけてからお姉さんだとわかると、絶対に後悔するよ! だから一度だけでもいい、きちんと話をしてほしい!」
「――語ることなど何もないっ! 邪魔をするなら、お前たちも一緒に討ち取る!」
「あなたは自分の大切な人を自らの手で傷つけようとしている――たとえあなたにそのような意図がなくとも。そんなことを許すわけにはいきません!」
「お前たちの言葉など、信用できるか! その魔女を討ち取らねば、私の気持ちが収まりきらない!」
 並みならぬ豪勢で、オーランドとファイリアたちを圧倒するモニカ。さらにそこへ、佑也とカイもモニカを止めるべく戦線に加わっていく。
「お前はこの前のフラワシ使いか……! 以前の不覚はもう取るつもりはない!」
 どうやら、フラワシで動きを止められた事を覚えていたらしく、モニカは佑也へ一層の注意を向けていく。……どうやらこれでは、《氷像のフラワシ》で動きを止める作戦が通用しそうにない。
「だが……これならどうだ!」
 しかし策が尽きたわけではない。佑也はモニカに向けて《サイコネット》の不可視の網を張り、その動きを抑制していく。
「何をしたかは知らないが、私に通用すると思うな!」
 《サイコネット》をものともせず、佑也へ攻撃を仕掛けようとするモニカ。だがその行動を『行動予測』で読んでいたカイがモニカの攻撃をあえて受けていった!
「くっ!? ――後は任せた!」
 そしてそのまま、一時戦線を離脱するカイ。……これこそがカイの作戦であり、一時戦線離脱をして気配を《ブラックコート》でうまく消し、『リジェネレーション』で傷が癒え次第、隙を見せた所へ峰打ちを繰り出すという算段だった。
「他愛もない! 悪いがこれ以上付き合う義理もない……突破する!」
「悪いがそうはいかない――不滅兵団っ!」
「第一波状、攻めよ!」
 モニカが再び『ランスバレスト』で突破を試みようとした時、その横合いからアルツール・ライヘンベルガー(あるつーる・らいへんべるがー)の召喚した《召喚獣:不滅兵団》が司馬懿 仲達(しばい・ちゅうたつ)の号令を受け、突撃を仕掛けてくる。思わぬ方向の攻撃にも関わらず、モニカはすぐに武具を構えて応戦していく。
「邪魔……だぁぁぁぁっ!!!」
 感情を爆発させているモニカが、『ギャザリングヘクス』で強化された『サンダーブラスト』を周囲に撃ち、不滅兵団を一気に殲滅させる。しかし、仲達はすぐさまアルツールのコントロールで温存している不滅兵団の第二波状をけしかけていった!
「さて、こちらの想定通りに彼女のスタミナが切れてくれればいいのだが」
「街中……まぁ城の中ではあるが、大がかりな戦闘に――く、第三波状、攻めよ!」
 アルツールの想定では、不滅兵団の物量作戦でモニカのスタミナを削りつつ、他の護衛班たちの態勢を整えてもらう算段となっている。不滅兵団全体を第一の波状とすれば、他の仲間の攻撃は第二波状……小波と大波の二段波状にてモニカのスタミナを大きく削って捕縛する作戦だ。
「……思ったよりもやるようだ。しかし足止めと消耗はうまくいっているようで何より。――最終波状、攻めよ!」
 仲達の指示もこれで最後。残った不滅兵団が一気にモニカを攻めたてるが、守りを得意とする騎士の技量が兵団の力を大きく上回っているようだ。
「でぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 猛るモニカの豪声。槍を大きく振るって不滅兵団を一掃するが――すかさずそこへ、今まで魔法攻撃で牽制していたイリス・クェイン(いりす・くぇいん)が合図をし、クラウン・フェイス(くらうん・ふぇいす)が一気に接近戦に持ち込む!
「くっ……!」
「へへ、つっかまーえた!」
 不滅兵団に気を取られすぎていたか、クラウンに捕まられてしまうモニカ。すぐに振りほどこうとするが、隙ができたのには変わりない。
「申し訳ないけど、話を聞くためにも少し痛めつけて、その動きを封じさせてもらうわ……『ファイアストーム』!!」
 そしてそのまま、イリスは魔力全開の『ファイアストーム』でクラウンごとモニカにぶつけていく!
「ぐぅぅっ!!?」
 爆炎に焼かれるモニカとクラウン。クラウンは『ファイアプロテクト』と《ファイアシールド》を事前に用意しており、炎のダメージを減らすことに成功している。
(本当にイリスは鎧使いが荒いなぁ……)
 クラウンはそんなことを思いながら、魔法が終わるタイミングを見てバッと離れる。これだけの威力、喰らえば相当のダメージが――。
「……参ったわね、あれを喰らってものともしないなんて」
 ――立っていた。モニカは灼けた鎧をそのままに、ミリアリアの逃亡した先を見つめる。
「私の『ファイアストーム』をぶつけてある程度相殺をした。仲間ごと犠牲にする見事な炎だが……私には通じぬ」
 一歩足を進め、ミリアリアたちに近づこうとする。しかし、そこへ某と康之が立ちふさがり、康之が『金剛力』でモニカを抑えにかかった!
「クルスを奪わせはしねぇっ!!」
「力だけでどうにかなると思うな!」
 『百戦錬磨』の感でモニカの攻撃をよけながらモニカに触れようとする康之。さらに某が『記憶術』で記憶したモニカの行動パターンを読みながら、『ライトニングブラスト』をモニカの顔面へ射出する。しかしこの攻撃はタワーシールドで防がれてしまう。
「なら――これだ!」
 間髪入れず、某は零距離まで接近し『放電実験』を放つ。モニカはそれを『ファランクス』で防御するものの、隙を作るには十分だった。
「今だっ!」
「話を聞くだけだ――おとなしく捕まってくれ!」
 その隙に呼応し、康之が大槍をがっしと掴んでモニカの動きを止めようとする。しかし、モニカはそのような状態にも関わらず『ランスバレスト』の突進で康之たちを振りほどかんとしていく!
「うぉぁぁっ!?」
 思った以上の勢いに、某と康之は振り払われてしまう。だが、すぐに次の攻撃が押し寄せてくる!
「振り払いにもスタミナを使ったはずだ――ウェンディゴ!」
 先に行かせはしない。アルツールは某や康之たちが残した攻撃と振り払いによって、疲労が蓄積しつつあるだろうモニカに対し、《召喚獣:ウェンディゴ》を召喚し、けしかけさせる。その一撃ならば、逃げる余力を無くせるはず――!
「あの魔女を討ち取るまでは――負けられないっ!」
 ウェンディゴの拳と、モニカの『ランスバレスト』がぶつかり合う。どちらの一撃も重く、拮抗するが……モニカの気迫とノーモーション詠唱による『サンダーブラスト』により、ウェンディゴを退けていった!
「せぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」
「たぁぁぁぁぁぁっ!!」
 攻撃の波状は止まらない。ウェンディゴを退けたところで、続けざまに緋柱 透乃(ひばしら・とうの)、ミルゼアとリディル、さらにシェスティン・ベルン(しぇすてぃん・べるん)が同時に攻撃を仕掛けてくる。しかしモニカはそれをタワーシールドと『ファランクス』で防いでいくが、同時攻撃の勢いで吹っ飛ばされ、城の外へと飛ばされてしまう。
「陽子ちゃん!」
 外で《迷彩防護服》で身を隠しながら《フレアライダー》でいつでも飛びたてるようにしていた緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)に声を変える透乃。すぐに陽子は《フレアライダー》で上空へ飛び立ち、戦闘へ参加していく。
「その強さ――確かめさせてもらうわ!」
 ミルゼアは本気の戦いをできると、血沸き肉踊る高ぶりを感じていた。大剣と大槍が一つ一つ刻みあうたび、その高ぶりはより高まっていく。
「とてつもない猛者と聞いていましたが、これほどとは――!」
 ミルゼアの攻撃の隙を無くすようにして連撃を仕掛けるリディル。しかしモニカはそれらを全て捌ききっている。かなりの手練れだということを認識させられ、改めて舞狐をクルスたちの護衛に回したのは正解だったなと思い知らされる。
 ルクレシアも後方から『光術』による目くらましや、やモニカの回避先へ弓による連携攻撃をしていくものの、あまり効果は得られないようだ。
「たぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 さらにミルゼアと一緒に透乃も本気の戦いを仕掛けていく。接近戦の間合いを保ちながら『行動予測』でモニカの動きを読みながら、『百戦錬磨』の経験と『金剛力』『チャージブレイク』を乗せた《煉身の声気》の一撃を繰り出す!
「ふんっ!」
 モニカはその攻撃を大槍でいなしていく。しかし、その隙に合わせて陽子が上空から『陰府の毒杯』を使い、モニカを状態異常へ持ち込もうとし、同時に《光刃宝具『深紅の断罪』》を大剣モードにしているシェスティンが地面へ『スタンクラッシュ』を打ちこみ、動きを封じようとする。
「動きを封じさせてもらう――無論、手加減は無し……覚悟してもらおうか、鉄仮面!」
 そして間髪入れずに『チャージブレイク』を込めた『一刀両断』を、さらにミルゼアの強力な一撃が同時にモニカへと襲いかかる!
「邪魔を――するなぁっ!!」
 モニカの怒号と共に、周囲を燃やし尽くさんとノーモーションで放たれる『ファイアストーム』。その威力は『ギャザリングヘクス』によって強化されており、豪炎によって透乃、ミルゼアとリディル、そしてシェスティンが吹き飛ばされてしまった。特に透乃は《煉身の声気》と『肉体の完成』、さらに《神獣鏡》で守りを固めていたにも関わらず、跳ね返し切れずに吹き飛ばされたのだから、その威力は計り知れないほどに高まっているようだ。
「きゃあああっ!?」
「く、なんて威力……あれは!?」
 吹き飛ばされ、体勢を立て直そうとした時――煉の駆る二体のギフトが先行してモニカに飛びかかり、少し遅れて煉の乗っていたバイクだけがモニカに突っ込んでいく!
「なにっ!?」
 ギフトを振り払おうにも噛みついててすぐには解けない。離れたのはバイクの接触直前であり、モニカはもろにバイク突進を喰らっていった。
 バイクをぶつけられ、体勢を大きく崩すモニカ。その隙を狙い、ようやく合流できた煉が二体のギフトをそれぞれ《機晶剣『ヴァナルガンド』》と《機晶鎧『マーナガルム』》に変形させ身に纏い、素早く突撃を仕掛ける。
「そいつだけではないぞ!」
 さらにそこへ、煉からモニカ襲撃の連絡を受けて急行してきた毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)が《ガーゴイル》に乗ってモニカに石化攻撃の奇襲を仕掛けていく!
「――なめるなっ!!」
 しかしその襲撃をモニカは『サンダーブラスト』で一蹴する。だがその魔法をプリムローズ・アレックス(ぷりむろーず・あれっくす)は『龍燐化』や『歴戦の防御術』、そして『リジェネレーション』で無理やり防御しながら突貫し、《インサニティムーン》で気絶狙いの頭への一撃を加えようとし、その一撃を通そうと毒島は様々なスキルを用いて妨害を仕掛けつつ、手持ちの槍でプスッと刺そうとしたりしている。
 さらに煉も『エンデュア』『肉体の完成』で威力を軽減させながら素早く接近し、『ウェポンマスタリー』『アンボーン・テクニック』での威力強化、さらに『超能力』で剣速強化を図った二つの複合『ヒロイックアサルト』……真・雲耀乃太刀を浴びせてゆく! こちらの優勢と見てか、陽子も上空から『絶対闇黒領域』と『シャープシューター』で強化した《呪鎖【氷葬】》を込めた『魔弾の射手』で援護を加え、強力な波状攻撃を生み出していく。
 それらの怒涛なる攻撃を、毒島の重なる妨害のせいでタワーシールドで防ぐほかなくなるモニカ。威力と反動を相殺しきれず、再びエントランスホールまで吹き飛ばされてしまう。
 ――連続で攻撃を受け続け、甲冑やタワーシールドにはひびが入りつつある。それでもモニカは立ち上がり、標的である魔女の命と機晶姫の奪取を試みようとする。だが、まだモニカの前には攻撃を仕掛ける契約者たちの姿があった――。