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リアクション
★ ★ ★
『――できるだけ、ここで数を減らすよ』
『――了解です。任せてください』
ジェファルコンタイプのメイクリヒカイト−Bstに乗った十七夜 リオ(かなき・りお)がフェルクレールト・フリューゲル(ふぇるくれーると・ふりゅーげる)をうながした。
大型高周波ブレードを構えるとフェルクレールト・フリューゲルがメイクリヒカイトを近くにいたヴィマーナに突っ込ませた。
激しい火花を上げながら、高周波ブレードが敵艦の装甲深くに突き刺さる。そのまま、ヴァリアブルウィングスラスターを後方に移動させ、全速でヴィマーナを斬り裂いていった。
内部機構が誘爆を起こして、舷側に刻まれた一文字の傷跡から炎が噴き出してくる。あわてて、メイクリヒカイトがヴィマーナから離れた。それを待ち構えていたかのようにタンガロア・クローンが迫る。
『――後ろ!』
即座に、十七夜リオが精神感応でフェルクレールト・フリューゲルに注意を喚起する。
そのとき、ヴィマーナが爆発し、爆風がメイクリヒカイトをあおった。瞬間、バランスが崩れて迎撃が遅れる。
一条の光が、メイクリヒカイトのそばの空間を横切った。
撃ち抜かれたタンガロア・クローンが四散する。
「一機撃墜」
キャロライン・エルヴィラ・ハンター(きゃろらいん・えるう゛ぃらはんたー)が、アウクトールのサブパイロットシートで報告した。
「次は? キャリー」
砲撃モードとなったアウクトール・ジェイセルのメインパイロットシートで、トーマス・ジェファーソン(とーます・じぇふぁーそん)が次のターゲットを求めた。
現在アウクトールは西の通路端に陣どって、そこから敵を狙撃している。
「ミサイル接近! 下方、ヴィマーナ!」
「エネルギーシールド展開!」
まだ飛翔していないヴィマーナから、結晶体ミサイルが発射された。
エネルギーシールドを展開したアウクトール・ジェイセルが、正面に構えたヴリトラ砲を発射した。射線にあったミサイルを蒸発させ、黒い龍に似たエネルギー塊がヴィマーナに突き刺さり、大穴を開ける。
直後に、周囲に着弾したミサイルの爆風と破片が、全方位からアウクトール・ジェイセルに襲いかかった。
それらをエネルギーシールドで振り払うと、トーマス・ジェファーソンがアウクトール・ジェイセルをアウクトール・ブラキウムに変形させた。
「エネルギー残量が少ないよ。いったんテレメーアに戻って補充しよ」
キャロライン・エルヴィラ・ハンターがトーマス・ジェファーソンに言った。火力が高い分、全力攻撃するとエネルギーが尽きるのも早い。数隻のヴィマーナを破壊したものの、今は撤退するしかなかった。
★ ★ ★
「くっ……、さすがに生身じゃ、ちょっときついかな……」
爆風にあおられて、緋王 輝夜(ひおう・かぐや)が言った。
エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)がかけた迷惑のための手伝いとは言え、ここで流れ弾に当たったりしてはさすがに割が合わない。
「こんなことも……あろうかと……」
ネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)が、さっと片手を挙げた。あたかもその合図を待っていたかのように、飛び交うビームやミサイルの間を縫って魔瘴龍「エル・アザル」と四体の瘴龍が下りてくる。天井が開放されているため、中に入ってくるのは容易だったようだ。ならば、出るのも同じだと願いたい。
「さあ……。急ぎ……脱出を……」
ネームレス・ミストがうながすと、瘴龍たちが一番重いアーマード レッド(あーまーど・れっど)を掴んで飛びあがった。そのアーマード・レッドの上に、ひらりと緋王輝夜が飛び乗る。
「フリングホルニ……へ……」
エル・アザルの上に乗ると、ネームレス・ミストが遺跡の外を指し示した。そこには、まだ戦う方法があるのだった。
★ ★ ★
「出来る限り数を減らす! ヴィマーナを優先して狙うぞ!」
「ああ。身も心も一つとなった、我ら四人――いや、黒麒麟と魂剛もいるから六人か――の前に敵は無し!!」
一体となったイコンの中で、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)と朝霧 垂(あさぎり・しづり)が雄叫びをあげた。
「前の方に、敵イコン二体だよ」
ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)が、接近してくる敵を見つけて朝霧垂に言った。
「ようし、迷わず突っ込むぞ!」
「うん!」
避けるどころか、真一文字に敵の方に黒麒麟をむける。
「二式とアンチビームソードへのパワー伝達不足なし。いけるぞ、思いっきり斬るがよい!」
出力計を見つめながら、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が紫月唯斗に告げた。黒麒麟にまたがった魂剛は、移動のためのエネルギーをほとんど使ってはいない。その分のエネルギーは、すべて攻撃に回されていた。
「蹴散らす!」
すれ違い様、魂剛がタンガロア・クローンを斬り捨てた。胴体を大きく斬り裂かれた敵が空中で爆発し、斬撃と共に半身を氷塊に被われた敵が床に墜落して砕け散った。
「よし、敵が散ったよ。降下するなら今だよ」
紫月唯斗たちが敵を蹴散らした隙を突いて、フラン・ロレーヌがアストロラーベ号の降下ポイントをフルリオー・ド・ラングルに指示した。
「全艦、降下開始。着陸と共に、救助を開始してください」
小型艦の機動性を生かして逸早く遺跡内へ回り込んだアストロラーベ号を、フルリオー・ド・ラングルが攻撃をかいくぐりながら降下させた。
「おおっ、まさに救いの艦が来たぞ。撤退だあ!」
近くにいた敵機晶姫を、持っていたポントー・カタナブレードツルギ(ぽんとー・かたなぶれーどつるぎ)で斬り捨てると、鬼頭 翔(きとう・かける)はカミーユ・ゴールド(かみーゆ・ごーるど)と共に急いでアストロラーベ号へと走りだした。
「ほんに、朕の艦は、目だっていけまへんなあ。どれ、アストロラーベ号の横に下りますえ」
アストロラーベ号の後を追って、ルイ・デュードネ・ブルボンのラ・ソレイユ・ロワイヤルも遺跡内へと救助のために降下した。
「ボクたちも、あっちの艦に乗ってクイーン・メリーに戻るよ!」
『急いでくださいよ』
鳴神 裁(なるかみ・さい)の言葉に、魔鎧状態のドール・ゴールド(どーる・ごーるど)が言った。
パワードスーツを着た鳴神裁が、装着していた黒子アヴァターラ マーシャルアーツ(くろこあう゛ぁたーら・まーしゃるあーつ)で、力強く床を蹴った。ポーンと、一気に跳んでラ・ソレイユ・ロワイヤルへの甲板へと着地する。
「ち、ちょっと眩しい!?」
ラ・ソレイユ・ロワイヤルのきらびやかさに、ちょっと目眩のする鳴神裁であった。
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