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フューチャー・ファインダーズ(第3回/全3回)

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フューチャー・ファインダーズ(第3回/全3回)

リアクション


【5】


 謁見に行ったコルテロ達と別れ、斎賀 昌毅(さいが・まさき)カスケード・チェルノボグ(かすけーど・ちぇるのぼぐ)は見晴らしの塔に向かった。
 これまでずっと魔鎧カスケードを纏ってイコン人間を装っていた昌毅だったが、分離して今は普通の人になっている。
「これなら万が一、俺が失敗することがあってもコルテロに迷惑はかからないだろ。イコン人間としての俺しか知らないからな」
「コルテロには世話になったからのぅ」
 塔に入った2人は、中に居る神官を眠らせ、最上階に上った。
 スナイパーライフルを構え、カウンタースナイプを狙えそうなポイントにいる見張りを全て狙撃した。
 掃除を済ませて、時間を確認。16時。大神殿にアルティメットクイーンが光臨する時間だ。
「おい、あれを見ろ」
 カスケードは町を指差した。
 陽の落ちかけた町の上に、巨大なクイーンのホログラフィが浮かび上がった。次々に、町の至るところに、空に、光に包まれた彼女の姿が映し出された。
「おいでなすったな、あれが超国家神か……」
「わしらはいつ動く?」
「この後だ。17時にナンバーゼロのお披露目がある。そこに……」
 ライフルを構えた。
「こいつをブチ込んでやる。ナンバーゼロのお披露目を中止させ、奴が時空を超えるのを阻止してやる。どんな方法で時空移動するのか知らないが、奴が時空を超えるとしたらもうこのタイミングしかない」
 その時、ホログラフィが乱れた。
「なんだぁ?」
「あれを見ろ、昌毅!」
「え?」
 ライフルスコープを覗いて礼拝堂を見た。
 信者に紛れていた特務隊とレジスタンスが、テンプルナイツ、クルセイダーと激突している。
「……んな! 早すぎるぞ!!」

 グランガクイン司令部に警報が鳴り響いた。
 メインモニターに潜入隊から送られてくる映像が映し出され、幾つもの無線が折り重なって声が飛び交った。
 雅香は素早くコンソールパネルを叩き、情報の精査、統合を行う。
「始まったか」
 司令席に座る大文字博士は、サングラスの奥の瞳に炎を宿らせ見開いた。
「グランガクイン、起動!!」
 モニターにグランガクインの全身図が表示された。レッドに染まった機体各部が次々とグリーンに切り替わっていく。
『各部異常なし。オールオーケー』
『メインシステム起動。タマムスビドライブ正常作動。各種オペレーションシステム動作良好。オールグリーン』
『起動カウントダウン。総員持ち場に着け』
グランガクイン、発進!!
 天御柱学院普通科校舎が変形する。
 地下空間を揺るがし、すさまじい地鳴りとともに校舎から巨人……いや巨神の姿に変わる……!!
 その瞳に青き光が宿り、胸に輝く”テンガクハート”がまばゆい光を放つと、そこから機晶タキオンエネルギーを超絶収束させた、ガクインビームが放射された。
 閃光は大地を突き破り、地上までの道を切り開いた。大地から天空に昇った一筋の光のあと、大地を割り、雄々しき白の巨神がグランツミレニアムに現れた。
『緊急警報発令。緊急警報発令。グランツミレニアムに正体不明の巨大兵器が出現!』
 都市の警報装置が、ウーッ! と叫びを上げた。
 大神殿のまわり、教会地区にある見晴らしの塔が変形し、高射砲塔となった。都市の防衛舞台も動きだし、飛行戦艦が鳥の群れのように空に展開された。
「敵迎撃部隊を確認」
 雅香は言った。
 メインモニターに周辺図と敵部隊の位置情報が表示された。
「もう出てきちまったか。もう少しのんびりしてくれりゃいいものを」
 司令席の傍らに立った太公望が言う。
「グランガクインで迎撃を行うか?」
「いや司令、ここはあいつらに働いてもらおう。連中も外に出たくてうずうずしてるだろうしねぇ」
 そう言って、司令を下す。
イコン部隊出撃!!

 アガートラームゴスホーク魂剛ジェファルコンフィーニクス・NX/Fバイラヴァバイパーゼロジェファルコン特務仕様ゾフィエル、9機の精鋭が夕闇に染まる空に放たれた。
 スラスター全開、目指すは大神殿、教団の心臓部。
「この大勝負。負けるわけにはいかねぇな」
 先行するのは、都市迷彩を施したジェファルコンと迷彩塗装のパイラヴァ。
 ジェファルコンのメインパイロットはレイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)、サブパイロットは閃崎 静麻(せんざき・しずま)
 けれど射撃だけは静麻の担当だ。低空飛行で都市に隠れ、スナイパーライフルで攻撃を行う。
「閃崎・静麻、目標を狙い撃つ……ってな!」
 一発目で正面の大砲を、二発目で側面のを、高射砲塔は自体はとても頑強に作られた施設なので、大砲に標的をしぼり、攻撃能力を奪っていった。
「こっちも負けてられねぇ」
 パイラヴァを駆るのは狩生 乱世(かりゅう・らんぜ)グレアム・ギャラガー(ぐれあむ・ぎゃらがー)。メインパイロットは乱世だ。
 こちらも位置を気取られないよう町に溶け込んで、スナイパーライフルを構える。同様に武装を狙い撃ちに。
 弾薬に火が点いた高射砲塔は爆発、そして炎に包まれた。
「グランガクインは強ええんだろうけど、如何せんデカすぎる。的にならねぇように、あたいらで敵を潰しとかねぇとな」
「12時方向、及び2時方向、高射砲塔の停止を確認」
 グレアムは淡々と報告をする。
「よっしゃ次に行くぞ」
 場所を映して、ライフルに弾丸を装填。構え撃つ。
「……狩生のやつ、いい腕してるな」
 静麻は口笛を吹いた。
「ま、俺ほどじゃないけど」
 そう言って、次の塔に照準を合わせる。
 しかしすぐロックを外した。
「どうしたんです?」
「いや、撃ったらあとで怒られそうだからさ」
「?」

「この時代ってイコンいないんじゃなかったのかよ。見慣れた機体が飛んでるじゃねぇか」
 高射砲塔にいた昌毅は目をパチクリさせた。
「くっそー、どうなってんだ」
 昌毅は高射砲で別の高射砲塔を攻撃した。
「そこのお前、そんな粗末なもんイコンに向けてんじゃねぇ」
 次々に射手を仕留めていく。
「よし、わしもちょっと行ってくる」
 カスケードは言った。
「どこにだよ?」
「となりの地区の高射砲塔を抑えてきてやるわい」
「と、となり?」
「なに、パパッと壁を走っていけばすぐじゃ」
 そう言うと、ほんとに壁を走って下りていった。
「元気なおっさんだぜ……」
 昌毅は上空を飛ぶイコンを見上げた。
「よぉし、お前ら高射砲塔は俺が抑えておく。イコンの素晴らしさをこの時代の人達に一度見せ付けてやれ!」
 高射砲塔上空を飛び去ったジェファルコンは教会地区に。
 静麻はバックアックに専念し、戦闘はレイナに任せる。
「正面に飛行戦艦。気を付けろ」
「了解です。加速しますよ」
 砲撃を抜けて、ソード二刀流。一太刀浴びせては退くヒット&アワェイで小回りの利かない戦艦を翻弄する。
「敵艦内部に爆発」
「このまま押し切ります!」
 二対のソードの柄頭を合わせ連結、デュエ・スパダの形状に。敵艦側面を十字に斬り裂き、スタスター噴射。そのまま中に突撃する。内部を破壊して反対側から飛び出た。
 その瞬間、無数の爆発が起こり、船は空の藻屑となって消えた。
「よし、次は教会施設だ、レイナ。叩いて敵をあぶり出せ」
「了解!」