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桜吹雪の狂宴祭!?

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桜吹雪の狂宴祭!?

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第二章

「あ、山葉校長。お疲れ様です」
 涼司達が歩いていると、キリエ・エレイソン(きりえ・えれいそん)が声をかけてきた。
「ああ、お疲れ……」
「……何やら元気がありませんねぇ? 回復魔法、要りますか?」
「気にしなくていいのよ。身体じゃなくて心のダメージなのよ」
「は、はぁ……そうなんですか?」
 精霊の言葉に、キリエが泪に聞く。
「ええ……色々あったのでそっとしておいてあげて下さい……所で何をしているんですか?」
「ああ、私達は道案内とかやってます……っと、戻ってきたみたいですね」 
「キリエー、案内してきたよー」
「はぁ、やっと終わったよ」
 キリエが目をやった先から、ラサーシャ・ローゼンフェルト(らさーしゃ・ろーぜんふぇると)メーデルワード・レインフォルス(めーでるわーど・れいんふぉるす)が現れた。
「お疲れ様です二人とも」
 キリエが言うと、メーデルワードが溜息を吐いた。
「全く疲れたよ。道案内と言うのも楽ではないね」
「……さっき荷物持ったのは全部僕じゃないか!」
「肉体労働はラサーシャの方が向いているではないか」
「まあまあ……」
 口論を始めるラサーシャとメーデルワードを、慣れた感じで宥めるキリエ。
「……なぁ、一つ聞きたいんだが……それは何だ?」
 涼司が指差す先にあったのは、人だった。横たわっており、眠っているようにも見える。
「ああ、酔った方々ですね。こうしていると絡んでくる方も多くて……」
「……生きて、ますよね?」
「死んではいないね」
 恐々と泪が聞くと、メーデルワードが言った。
「全く、凍らせておけばいいと思うのだがね」
「そうそう、放っておけばいいじゃん」
「……死人は出さないようにしてくれよ」
 涼司が呟いた。その時。
「すいません……ちょっといいですかねぇ?」
 背後から佐々良 縁(ささら・よすが)が声をかけてきた。
「はい、どうしました?」
「この子、見ませんでした?」
 縁が携帯電話の画面を泪に見せる。そこには一人の少女の写真が映っている。
「うーん……私は見ていませんが……どうしたんですか?」
「ええ、はぐれてしまったようでねぇ……」
 縁の話を聞くと、写真の少女は彼女の娘であるそうだ。
「それはいけませんね……僕らも手分けして探し――」
「ちょっと待つのよ」
 キリエの言葉を遮り、精霊が言った。
「ちょっと、それ見せて欲しいのよ」
「え? ああ、はい」
 縁は戸惑いつつも、携帯を精霊に渡す。
 精霊は画面をじっと見つめたと思うと、目をそっと閉じた。
「……居たのよ」
 目を開くと、精霊はそう呟いた。
「居たって……その子ですか?」
「そうなのよ。案内するのよ」
 泪の言葉に精霊は頷くと、先導するように歩き出した。

「着いたのよ」
 暫く歩き、着いた場所は花見客がいる所から少し離れて人気の少ない場所。
「……こんな所に」
 縁が苦笑交じりに呟く。
 辿り着いた場所に生えていた桜の樹の根元。そこに写真の少女、佐々良 姫香(ささら・ひめか)はいた。
「……すぅ……すぅ……」
 根元に横たわり、静かに寝息を立てて眠っていた。その身体には花びらが積もっており、まるで布団のようになっている。
「あの、何で解ったんですか?」
 泪が精霊に聞く。
「さっき樹を通じて探したのよ。私は桜の樹の精霊だから。それくらいならできるのよ」
「ああ、成程」
「……ぐっすり寝ちゃってるなぁ」
 縁はそう言いつつ、姫香をそっと抱き起こす。
「見つかってよかったよ。ありがとうねぇ」
「今度は気をつけるのよ」
「そうするよ」
 精霊の言葉に縁は苦笑しつつ、姫香を起こさないように去っていった。

「……まま?」
 暫く歩いていると、姫香が眠そうに目を開いた。
「あ、ごめんごめん。起こしちゃったか」
「……ひめかね、うごかなかったよ。ままのいうとーりに」
「うん、えらいねぇ。姫香はいい子だよ」
「……えへへ、ほめられた」
 表情は眠そうだが嬉しそうに、姫香が笑った。
「まだ眠い? なら寝ててもいいよ」
「……うん……おやすみなさい……」
「……やれやれ、人の気も知らないでのうのうと寝てるなこいつぅ」
 すやすやと寝息を立てる姫香。
「ま、無事だったからいいか」
 そう呟き、縁は苦笑した。何よりも『姫香が無事で良かった』と思っている自分に。